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爆走する恋心
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夕焼けでほんのりと色付いた街の通りを若者達が楽しそうに行き交う。
六月一日宮 檸檬
は名前に反して赤い顔で歩いている。青い丸首のシャツに濃紺のジャケットを羽織って下ろし立てのようなズボンを穿いていた。何かに耐えるような表情で胸元のシャツを強く握り締めた。
隣には緊張した面持ちの
澪乃 澄佳
が潤む瞳で頬を赤らめていた。少し俯いた姿のせいでお下げの赤いリボンも萎れて見える。淡い桃色のチュニックは風が吹く度に長袖の部分が柔かくはためいた。落ち着きのない手は首に掛けた蝋引き紐の先端の丸い飾りを指で弄る。
「なんか、初めてみたいな感じで、ドキドキするってゆーか、ヘンな気分っす」
「……檸檬くんとは、初めてのお出かけ、ではないのに、なんだろう……なんか、あたしもヘンだよう」
澄佳は弱々しい上目遣いで檸檬を見る。少しでも視線が合うと、火照った顔で短めのプリッツスカートを小刻みに振るわせた。
檸檬は顔に掌を当てて急いで上を向く。
「澄佳センパイ、ダメっす。その動きはダメっす。俺には、耐えられないっすよ……」
「……ごめんなさい」
夕陽のせいにするには赤すぎる顔で二人は寝子ヶ浜海浜公園に到着した。周囲には寄り添う若い男女の姿が多く見られた。檸檬と澄佳は正面だけを向いて足を速めた。
「澄佳センパイ、ボートに乗るっすよ! 池が夕陽の色に染まって、とてもきれいっす」
「そうだねえ。でも、あたしにボートが漕げるかなあ」
「もちろん、男である俺が漕ぐっすよ!」
「ふふふ、お願いしようかなあ」
檸檬は自身の胸を叩いて勇んでボートを借りた。先に乗り込んで澄佳を待つ。
「乗る時に揺れないかなあ」
ボートに怖々と足を下ろす澄佳に檸檬は手を差し出した。ありがとう、と澄佳は素直に手を握って乗り込んだ。
二人は向かい合って座った。澄佳はスカートを手で伸ばすような動きをして横を向いた。
「オレンジ色に輝いていて、本当にきれいだねえ」
「……最高にきれいっす」
檸檬は澄佳の横顔に向かって言った。自身の言葉に少し目が泳ぎ、急いで左右のオールを握った。
「澄佳センパイ、いくっすよ!」
「いいよう」
向き直った澄佳の温かい微笑みに檸檬は身を震わせた。最初の一掻きは力んでボートの船首が上がって上下に揺れた。
「なんかふわっとしたよう。檸檬くんは力が強いんだねえ」
「い、今のは軽い練習で、ここからが本番っす。池をぐるっと一周するんで。まずは直進から」
ジャケットの袖を捲った檸檬は全身を使って漕ぎ始めた。出だしから緩やかに一方に曲がる。
「左が弱いんだなっ」
左のオールが乱暴な動きで水飛沫を立てた。ボートは急速に逆へと曲がり始めた。
「そうじゃなくて真っ直ぐ進むんだよっ!」
ボートは行き先に迷うかのような動きで蛇行した。澄佳は左右に揺さぶられながらも笑みを見せて、代わろうかあ、と声を掛けてきた。
「心配はいらないっすよ! 半端な漕ぎ方がダメなんで、今度は全力でいくっす!」
ボートは迷いを捨てて、その場を全力で回り始めた。檸檬の表情は泣き顔に近い。
「うわー、なんで同じとこ、ぐるぐる回ってるんだよ!」
「ええと、池のぎりぎりを回るよりも、こっちの方が早くに一周できるよねえ」
「そんな一周は切ないっすよ!」
檸檬は懸命に手を動かした。片方のオールが水中に深く沈み込んだ。掻き上げた勢いで水面が盛り上がり、横波と化してボートを大きく傾けた。
澄佳の腰が浮いた。笑顔が真横に倒れていく。センパイ、と檸檬は座った姿勢から舟底を蹴って半身で手を伸ばした。
檸檬は腕の中に辛うじて澄佳を収めた。その状態で項垂れて長々と息を吐いた。
「あ、あの、檸檬くん、ありがとう」
澄佳は腰に回された腕をぽんぽんと叩いた。その大胆な行動に檸檬自身が驚いて急いで離れると、俯いたままで言った。
「だ、大丈夫でしたか?」
「檸檬くんが守ってくれたからねえ」
沈む夕陽と同じように檸檬の頭が下がっていった。吹き付ける風に夜の気配が混ざって公園内に白い照明が灯る。
「檸檬くん、夜になるねえ」
「そうですね。暗くなる前に全力で戻るっすよ!」
「檸檬くんばかりに漕がせるのは気が引けるよう。だから、今度はあたしの番でいいよねえ?」
「……はい、お願いします」
座る位置を変わった澄佳は、どうかなあ、と言いながらオールを細かく動かした。ボートは大きく曲がることなく、無事に元の場所に戻って来れた。
「檸檬くんみたいに力強い漕ぎ方は、あたしには無理だねえ」
微笑む澄佳に檸檬は、どうも、と照れ臭そうに頭を下げた。
二人は公園を出て並んで歩いた。どちらも帰りの言葉を口にせず、ゆっくりとした歩みを続けた。
へくちっ、と小さなくしゃみに檸檬が瞬時に横を向く。えへへ、と澄佳が鼻の下を指で摩りながら笑った。
「寝子島に慣れちゃったのかなあ。道産子なのにくしゃみするなんて、ヘンだよねえ」
檸檬は着ていたジャケットを素早く脱いだ。え、と声を漏らす澄佳の肩に掛けると、俯き加減で目を逸らした。
澄佳はジャケットを深く被って口付けするように顔を寄せた。
「ありがとうね。大きくてぬくくて、干し草のいい匂いがするよう」
心持ち目を細くして温もりに浸る。
「誘ったのは俺だから、風邪を引かせるわけにはいかないっすよ」
「……今日は楽しかったねえ」
「そうですね」
檸檬は懐かしそうな目で通りを見やる。街に灯る淡い光の列は縁日の出店を彷彿とさせた。
「澄佳センパイと一緒にいった夏祭りは楽しかったなー。センパイの浴衣姿がよく似合ってた」
「えへへ、あの時も言ってくれたよねえ。嬉しかったよっ」
「今日の服も負けないくらいに可愛いっすね!」
不意打ちに近い言葉に澄佳は、ありがと、と小さな声で返した。
二人は橋の上に行き着いた。川には白い光が揺れて水面と戯れている。檸檬は欄干に肘を預けて金色の瞳を傾けた。澄佳は寄り添って同じ景色を眺めた。
「……お祭りの時も、こんな感じだったねえ。二人で色々と回って。檸檬くんが射的でぬいぐるみを当てて。貰ったぬいぐるみは枕元に置いて、今でも大事にしてるよ」
檸檬は川面を見ながら黙って聞いていた。眦を上げた表情には強い意志が見て取れる。
「日も沈んだし、もう帰らなきゃ……ん、なしたの?」
「……澄佳センパイは今、気になってる人、いますか」
真剣な声に澄佳は一気に追い詰められた。限界を突破するような恥ずかしさに涙目となって唇が戦慄く。
「わわわ、い、いるよっ! あ、あの、内緒だよ。誰にも言わないでねっ」
檸檬は表情を緩めた。澄佳の意中の人については聞かなかった。ただ、自分の想いを訥々と語り始めた。
「……俺も、いるんです。すっげー可愛くて、笑顔が太陽のように眩しくて」
「へ、へー、そうなんだあ」
「少し訛ってるところが、また可愛くて、最近では見てるだけでここが――」
檸檬は左胸に手を当てて、その部分のシャツを強く握り締める。澄佳は熱く語る横顔を慌てふためく動作で見ていた。
「この胸が熱くなって、どうしようもなくなるんです!」
瞬時に振り返って澄佳を見つめた。檸檬の強い視線に跳び上がるような驚きの表情を浮かべる。借りていたジャケットをあたふたと脱いで返した。
すっかり茹で上がった顔で澄佳は徐々に距離を空ける。
「あ、あのあのあの、もう遅いからっ! し、したっけねーっ!!」
方言を丸出しで澄佳は走り出した。激しく動く手足に反して速度は上がらない。
檸檬は追い掛けなかった。目で見送ったあと、その場にしゃがみ込んだ。
「今日は、もう限界……」
表情は一気に崩れて顔は真っ赤になった。何回かの呼吸で立ち上がると、ジャケットを肩に引っ掛けた。
「……告白は次に会った時かな」
祭りの帰り道のような寂しさを表情に滲ませて、檸檬は白い光が灯る通りを歩いていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月29日
参加申し込みの期限
2014年10月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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