学校サボってどこいこう｜リアクション

学校サボってどこいこう

【三限目】

　朝鳥さゆるは寝子島電鉄を利用して、シーサイドタウンまでやってきていた。
「……さて、どうしよっか？」
　投げやりに呟きながら、賑やかな街を適当にぶらつく。
（映画は――特に観たいのがないわね。何か近場で面白そうな催しは……何もやってない、と）
　さゆるは一つ一つの候補をあげてはそれを清々しいぐらいあっさりと斬り捨てていく。
（ゲーセンという気分でもなければ、本屋や図書館に足を向ける気にもなれない、か）
　ふぅ、と我ながら文句の多い自分に一つため息を漏らす。
　天を仰げば、秋の空は忌々しいくらいに晴れやかだった。
（そういや、もうすぐ体育祭だったっけ……？）
　ふとそんなことを思い出し、さゆるはあまり熱心に通ってはいない寝子島高校のクラスメイト達のことを少しだけ頭に思い浮かべる。
（今頃、みんなで真面目に授業なんか受けてるのかしらね）
　さゆるは出席日数こそ常に不足気味であったが、成績は決して悪くなかった。
　むしろ、学年でも上位に位置していると言っていい。
（だから、何って感じだけどね）
　さゆるはふっと息を漏らして、少し自嘲気味に笑った。
（あー、ほんとにどうしよう？）
　柄にもなく少し感傷的な気分になってしまうのはやはり秋のせいだろうか。
　ひどくもやもやとした感情が頭の中にわだかまっているのを感じたそのときだった。
「……寝子島、スポーツセンター」
　ふと目の前にある運動施設の看板が目にとまった。
（たまには身体を動かすのも悪くないか……）
　さゆるは内心で呟くと、くるりと足をそちらの方へ向けてスポーツセンターの少し反応の悪い自動ドアをくぐった。