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学校サボってどこいこう
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【昼休み(3)】
その日、
篠崎 響也
は高校を途中で抜け出した。
「まあ、今日は別にサボっても問題ないだろ」
独り言のように呟いて、響也はふらふらとあてもなく街を歩き出す。
とはいえ、彼がやるべきことはいつもと特に変わらない。
「どこかでヴァイオリンの練習でもするか」
学校はサボっても、ヴァイオリンの練習をサボることはしない。
彼はサボり魔だが、音楽に対する姿勢は真面目で、人一倍努力を惜しまない性格だった。
「ん?」
と、そこで響也はふと一人の少年の姿に気づく。
(あれは、津田……?)
少年――
津田 亮悟
の姿を響也はこれまでに何度か寝子島クラシック同好会(通称、NCC)で見かけたことがあった。
(こんな時間にほっつき歩いてるってことは――あいつもサボりか?)
響也は少し考えてから、とぼとぼとどこか寂しげに歩く津田の背中に声をかけてみることにした。
津田 亮悟
は後ろから何者かに声をかけられた。
「……っ」
亮悟は手負いの猫のように鋭く身を翻し、そして声の主に目を丸くする。
「あんたは、確か……」
「NCCの
篠崎 響也
」
篠崎 響也
はぶっきらぼうなようで、それでいてどこか人懐こいようでもある微笑を浮かべて先に名乗る。
「お前は津田、だったよな? 今日はこんなところでどうした? お前もサボりか?」
「……」
亮悟は無言のまま、目を逸らす。お説教ならたくさんだ。そんな感情が表情から漏れ出てしまう。
響也はそんな亮悟に少し苦笑し、
「なあ、ちょっとつきあわないか?」
と、彼を誘った。
亮悟が響也に誘われてやってきたのは人気のない静かな公園だった。
「ここは……」
「俺のお気に入りの場所。何故かいつも人が全然いないから落ち着いて練習できるんだよな」
そう言って、響也はヴァイオリンケースを下ろして公園のベンチに腰かけた。
(サボりでもヴァイオリンは持ち歩いているわけか……本当に、好きなんだな……音楽……)
亮悟はそんな響也をどこか羨ましく思う。
「座れよ」
「……」
響也に促され、少し迷ってから亮悟は彼の隣にすとんと腰を下ろす。
しばしの沈黙があった。
それは、互いに何を話していいかを探りあっているような、そんな微妙な間。
やがて。
「……なあ、あんた音楽で救われたことってあるか?」
先に静寂を破り、口を開いたのは意外にも亮悟の方だった。
「え……?」
やや唐突にも聞こえるそんな問いに響也は目を瞬かせた。
「……よく音楽で救われたとか感動したとかって言うけどさ。俺は歌聞いて救われたと思ったことはねぇ。前にあんたの演奏を聞いたときはすごいっておもったけど、感動とはちょっと違う気がする……」
そこで、亮悟は一旦言葉を切った。
「……そもそも音楽って誰かを救えたりするものなのか?」
最後の呟きは響也に対してというより自分自身への問いかけであるようにも聞こえた。
「……音楽で救われたこと、か」
響也は少し考えてから、「俺は特にないな」と静かな口調で答える。
亮悟が意外そうな顔で響也を見た。
響也は少し笑って、言葉を続ける。
「むしろ俺は、音楽が苦しかった時期の方が多い。でも、そうだな。俺はなかったけど、音楽で救われた奴も確かにいるんじゃないかとは思う」
「……それがあんたが音楽をやる理由?」
「さあ、どうだろうな」
亮悟の問いに、響也は答えをはぐらかすように天を仰いだ。
「……」
亮悟は響也の言葉の意味を噛みしめるようにしばし顔を俯けた。
やがてまたぽつりと亮悟は口を開き始める。
「……俺は自分が好きだからって理由でしか弾けない。それに誰かと一緒に何かするのは苦手だ。学校も皆と一緒に何かしなきゃいけないから苦手だし、だから合奏も苦手だと思う」
亮悟の独白に、響也はまた黙って頷き続ける。
そして聞きながら、響也はふと、
(津田はどんな演奏をするのだろう?)
と思った。
だから、
「そんなだけれど、俺はNCCにいていいのか?」
響也は亮悟の問いに返事をする代わりに、黙ってベンチから立ち上がってヴァイオリンのケースを開いた。
「……え?」
亮悟は目を見開いた。
響也は少し口の端を上げて笑う。
昼下がりの公園に響也の正確無比で端正な音が広がっていく。
(……やっぱり、すごい)
亮悟は目の前の演奏者の奏でる音に、ただ息を飲んだ。
と、そこで響也が、亮悟になにやら意味ありげな目配せを寄越す。
(……俺にも何か弾けって言うのか?)
二人はそれほど親しい間柄ではなかったが、音楽が歳の離れた二人の心を正しく繋いでいた。
亮悟はそっと愛用のハーモニカを取り出す。
響也がそれでいいと頷いてみせる。
亮悟はすぅっと息を吸って、ハーモニカに口をつけた。
ハーモニカの音色が秋の空の下に広がっていく。
(へぇ、なかなか上手いじゃないか……)
と、響也は亮悟のハーモニカを聴いて、素直に思う。
それから響也は彼のハーモニカに合わせて即興でヴァイオリンを弾き始める。
合奏が始まった。
響也のヴァイオリンと亮悟のハーモニカの音色が昼下がりの公園の中で融けあって混じる。
響也は共感覚の保持者で、亮悟の音色に草の萌ゆるような若草色を見ていた。
それがだんだんと自分の音と混じりあって、暖かな春色に変わっていく。
最初は寂しげだった亮悟の音色がだんだんと楽しげなものに変わっていく姿を見て、
(なんだ、楽しそうに吹けるんじゃないか)
響也は満足げに演奏を続けた。
亮悟は時間があっという間に過ぎていく様子になかば圧倒されていた。
(ああ、やっぱり俺、音楽が好きだ)
亮悟は、この瞬間に、はっきりとそれを自覚した。
響也と音を重ねるのは楽しかった。
学校の合唱や合奏のように音が外れたりしない、安定していて、それでいてどこまでも軽やかなヴァイオリンの音色。
そして何よりも嬉しかったのが、響也の音が決して亮悟の音を否定してこなかったところだった。
ただ亮悟の音色に寄り添うように、支えるように、響也の音は優しく、心地良く、亮悟の胸に響いてきた。
(たぶん俺にあわせてくれてるんだろうな)
そのことがくやしくて、でもやっぱり楽しくて。
亮悟は力の続く限りハーモニカを吹き続けた。
そして楽しかった時間は本当にあっという間に過ぎて。
「楽しかったよ、津田。また今度一緒に演奏しよう。放課後なら、俺はだいたいいつでも音楽会館にいるからさ」
響也の言葉に、亮悟は不器用に頷いた。
そうして二人は別れ、それぞれの帰路に着く。
ようやく施設に戻った亮悟の背中はもうそれほど寂しげではなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
水月 鏡花
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月29日
参加申し込みの期限
2014年12月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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