学校サボってどこいこう｜リアクション

学校サボってどこいこう

【昼休み〔a lunch break〕(1)】

　後木真央は両手一杯に購買のパンを抱えて、学校を抜け出して旧市街までやってきていた。
「おお！　今日はお猫様がいつにも増してたくさんいらっしゃるなのだ！　眼福、眼福なのだ～♪」
　真央は猫好きだった。
　あまりに猫が好き過ぎて、ときどきこうして昼休みに学校を抜け出して、お昼のパンをお裾わけをするのが、彼女の密かな楽しみだった。
「だいじょうぶ！　喧嘩しなくても、パンはたくさんあるのだ！　いざとなれば常備品のかつぶし粉もあるのだ！」
　我先にと群がる猫達を愛でながら、真央は買ってきたパンの具などを猫達にわけあたえてやった。
「んふふ～。お日様もポカポカ温かいし、極楽極楽なのだ～♪」
　日向ぼっこをしながら、真央は鼻歌混じりにご機嫌に猫達と至福の時を過ごしていた。
「ふわぁああああ～。なんだか真央ちゃん、ちょっぴり眠たくなってきちゃったのだ……」
　そして。

「やっちまったのだ！！」

　気がつけば、すっかり昼休みが終わってしまっていた。
「スマホのアラームかけておけばよかったのだ～！？　せめて、がおーに起こせと頼んでおけばっ……！」
　がおーというのは真央のろっこん《にゃにゃにゃがおー！》によって召喚される大変に福福しい三毛猫のことである。
「うう……」
　真央はがっくりと膝をついて、頭を垂れた。
　しかし、
「まあ、今更気にしても仕方ないから五限は諦めるのだ～♪」
　彼女はとても切り替えが早かった。
「そうと決まったら旧市街の集会場を全部まわってみるのだ～。学校には部活の時間までに戻ればいいのだ～♪」
　そして、真央はお猫様を求めて、旧市街の散策を始めたのであった。