猫鳴館、Ｇ襲来！｜リアクション

猫鳴館、Ｇ襲来！

●地下、入り乱れて

　台所の入り口に戻るという選択肢は真っ先に排除された。
　あそこではみゆきが食事の準備をしている。これだけのＧを引き連れて台所を戦場にするわけにはいかない。
　地図によると、床下には地下帝国方面へ続く道があるようだ。そちらならそれなりの空間が期待できるはず。綾花は先頭に立ち、Ｇとアレクサンダーを誘導しながら地下帝国の広間を目指す。

　一方、男子トイレ前の穴を下りて足跡を追ってきた調査班一行も、この地下帝国広間へとたどり着いていた。
「なんか、煙たいな……」
　御剣刀が新聞剣を構えてあたりを見回す。ほの白く、煙が立ち込めている。と、利平、綾花、蓮の三人が広間に飛び込んできた。その後ろからＧの群れ、そして、アレクサンダーの姿が！
　八神修が必死の形相をした金の巻き毛先輩に向かって叫ぶ！
「もう帰ろう！　トイレなら星ヶ丘ですればいい！」
　しかし完全パニック状態のアレクサンダーに、その言葉は届かない。
　必死にバラを撒きつづけ、そのバラは次々とＧへ変わってゆく！
　後木真央は怒りに身を任せ、ものすごい勢いで腕を振り回しＧを蹴散らす。
　残像で、その顔は三つに、その腕は六本にも見える。すさまじきこと、まさに阿修羅！
「後木！　一人で行くな！」
　如月庚が静止する声も聞かず、真央は唸り声をあげ突っ込んでゆく！
「止めてくれるな発生源絶対殺（や）るのだ～！」
　そんな真央を強く後ろに押しやったのは伊賀解理だ。
　立ち込める煙が濃くなっている。互いの顔も、もう見えない。
　解理は勘でＧが多そうな方向へ両手を突き出す。それは発射五秒前のサイン。
「そこが発生源か！　みんなどいてろー！　滅菌処理しちゃる！」
　アレクサンダーが巻き込まれる可能性については敢えて考えない。
「手段が強引？　知らんなぁ……！」
「やめろ！」
　修が叫ぶ。
　真央にもわかった。なぜ修が真っ青になっているのか。
　なにせ、自分もこれを部屋に焚いて来たのだ。
「これって、ニャルサン……！！！」
　当たり前だが、火気厳禁！
　だが、もはや解理の掌はほの白い光を纏っている！

　間に合わない、爆発する！　誰もがそう思った。
　身を屈める者、逃げを打つ者、突然のことに固まる者、友人を庇って守る者、その中で。
　御剣刀が＜加速＞する！　彼のフツウを守るために！
　アレクサンダーを捕らえるや、抱きかかえて横っ飛びに転がり、ビームの予測進路上から逃れる。
　そこに颯爽と現れたのは恵御納夏夜！
　彼女はアレクサンダーに駆け寄ると、その身体に猫シールを貼りつける！

「うおぉぉぉ！　『彼』との居場所を奪うなんて本当に許さないんだからなーーー！！！」

　解理が絶叫と共に＜代理告白＞でビームを放つ！
　夏夜が＜重く軽く＞の重い方最大出力でアレクサンダーの意識を落としたのは、まったく同時だった！