夏休みも残りわずか。帰省などで静かだった猫鳴館にも活気――というかカオスが戻りつつある。
そしてこの夜、彼らはまだ真っ白な夏休みの宿題を前に勉強会を開いていた。会場である大部屋は、解けぬ問題や減らぬページに阿鼻叫喚の様相。中には猫鳴館住人ではない者の姿もちらほらある。勉強会開催の噂に、やはり真っ白な宿題に頭を抱える者たちが集ってきたのだ。
「勉学というものは、毎日コツコツと行うことが理想です」
『猫鳴館のブッダ』と崇めたくなるような風貌の
森 蓮は、その風貌に違わぬ穏やかさで語る。
「芸事の世界では『一日休めば自分にわかる二日休めば先生にわかる三日休めばみんなにわかる』といいます。勉学もまた同じでしょう」
「それが出来れば苦労せんたい!」
橘内 みちるは笑って蓮の肩を叩いたが、積みあがった宿題の山は楽天的状況じゃないことを示していた。
それにしても、とみちるはあたりを見渡す。
寮内は真っ赤なバラ、バラ、バラだらけである。どうなっとっと!?
それは
鷹取 洋二が連れてきた友人のせいだった。
アレクサンダーというトレビアンな金髪巻き毛の星ヶ丘寮生が『僕はバラの上しか歩かない』とかなんとかいって、あちこちにバラをまき散らしたのである。こんなところに来るくらいだから、宿題は相当出来ていないのだろうが……。
「セレブの考えることはよくわからんとー」
まったくだ。
そのアレクサンダー本人はお手洗い――本人曰く『お花畑』――に立ったようで姿が見えない。
大部屋にちいさな隣人の
鳶色彦が飛び込んできたのは、それからしばらく、みんな宿題に夢中でアレクサンダーのことなど忘れたころのことだった。
「助けてください……!」
ねずの鳶色彦は息も絶え絶えにいった。
「ヤツらが……! ヤツらが私の住まいを襲って……!!」
「鳶色彦さん!」
蓮は慌てて鳶色彦の小さな身体を抱える。これはただ事ではない様子だ。
「ヤツらとは?」
「黒光りするひどいヤツです。羽根があって、何十匹、何百匹と、大挙して押し寄せ……」
長く尾を引く悲鳴が聞こえたのはそのときだった。
きゃああああああ……!!!
食堂の方からだ。
みんなが慌てて駆け付けると、
神野 美野梨がぺたりと尻餅を付き奥の方を指差していた。
「あ、あれ……」
嗚呼! 猫鳴館の廊下というものは、こんなにもおぞましいものだったろうか!
薄暗い真夜中の廊下。暗闇が蠢いてみえる。ただの闇ではない。それは、それは……!
「G、です!」
――これが真夜中0時を回ろうかという頃のことである。
こんにちは。猫鳴館の皆様、お久しぶりです。Gは苦手ですが、カマドウマは大丈夫!
ゲームマスターを務めさせていただきます笈地 行(おいち あん)です。
さて。あれです、夏ですからね……猫鳴館ともあればGくらい日常茶飯事でしょう。
にしても増えすぎ? なぜ? 日頃の不衛生のせい? それともまた神魂のせいなの?
そのへんを探って、Gを撲滅していただければと思います。
猫鳴館の平和のために! みんな、がんば!
◇状況
夏休み終盤、大部屋で勉強会が開かれていたある夜、大量のGが猫鳴館に現れました。
Gは寮内及びその地下を所構わず這いまわっています。
あなたは、猫鳴館寮生、もしくは勉強会に参加している寝子高生です。
寝子高生以外のキャラクターの方は、ピンチに呼び出された、九夜山夜間行軍中だった、など
真夜中の猫鳴館に来た理由をこじつけていただければ幸いです。
【行動選択肢】
A~Dの中から一つ選び、それについてアクションを掛けてください。
【A】.寮内のGを駆逐する
【B】.地下帝国や、鳶色彦の住まいなど地下のGを駆逐する
【C】.G大量発生の謎を解く
【D】.その他(真面目に勉学を続ける等)
※アクションに<行動選択肢1つ><Gに出会った時どうするか>を入れてください。
【Gについて】
Gとは、ガ○ダムでもガムダンでもなく、ごきちゃんです。
1体1体はふつうのGです。特殊な力はありません。
ただ、みなさんのろっこん等がGを弱体化させたり強大化させたりということはもちろんあり得ます。
数は多いです。尋常ではないです。
現在は旧館1階廊下の一部がGにより占拠された状態です。
旧館1階にお部屋がある方はもしかしたらすでに被害があるかもしれません。
奴らはどうやら床下から来ているらしく、
このままだと1階→2階、床下→地下へと被害が拡大しそうです。
放っておくと、夜が明ける頃には猫鳴館が黒いモゾモゾで覆い尽くされてしまうかもしれません。
【NPC鳶色彦について】
猫鳴館の地下に棲むねずという一族の少年です。
食堂の床下にある小さな社(ねずの社)の先、
人ひとりが這ってようやく進めるほどの細い地下通路から鳶色彦の住まいに行けます。
住まいは人が立てるほどのトンネル状の空間で、丁寧に整えられたトンネルの壁面には
子どもの手のひらほどの無数の窓と、大人の手のひらほどの扉がいくつかあります。
いまはその住まいがGによって占拠されてしまっています。
【その他のNPC】
猫鳴館寮生の鷹取 洋二が友人がいないと騒いでいます。
友人の名はアレクサンダー(芸術科2年・洋二のクラスメイト)。
星ヶ丘寮住まいのお金持ちで、自分がいる空間には常にバラを撒くという
変人高貴な人。頭の中は、中世のような金の巻き毛とバラのことばかりでそのほかはわりと空っぽ、お蔭で宿題は真っ白。
変人貴人なりに焦りがあるようで、洋二から勉強会のことを聞き猫鳴館にやってきましたが、姿が見えなくなったそうです。
海原 茂は玄関先で、アレクサンダーがまき散らした
百万本(自称)のバラの花びらの掃除をしています。
バラ掃除に加えてゴキブリ発生の知らせに、青筋が……機嫌は悪そうです。
猫鳴館久々のため、マスターもいろいろ忘れちゃってるかもしれません。(すいません)
マスター知ってるだろ、と過信せず、ご自分や寮内の設定などあれこれ教えていただけるとありがたいです!
あと穴開いてたのを直したとか、また開いたとかそういうのも……。
あんまりトンデモすぎなければできるだけ反映したいと思います。
それではご参加お待ちしています!