おもちゃのお医者さん｜リアクション

おもちゃのお医者さん

●エピローグ（２）●

　後日、星ヶ丘寮の十文字若菜の部屋に、１つの小包が郵送されてきた。
　差出人の名前を見れば、それはあの日……本来Ze Petに来る予定だった、おもちゃのドクターからの荷物だった。急いで若菜が梱包を解けば、中にはサンタと雪だるまの人形付きのあのオルゴールと、ドクターからのお手紙が。ひと目読んだ若菜が叫ぶ。
「……直ったんだ！」
　文面は、修理が遅くなってしまったことへのお詫びと、詳細なカルテ、調律の内容などが記されていた。少しふるえる手で、若菜がオルゴールのゼンマイを巻き上げると──

　部屋いっぱいに、ピカピカの音楽が溢れ出した。

　粒立ったその音の１つ１つが楽しげに、部屋の中を跳ね回る。音が、喜んでいるのが分かる。
「あの時の、音だ……」
　思い出す。あのホテルの部屋を。頬杖をついて寝転んだ、あのベッドのぬくもりを。若菜が何か言うたびに笑ってくれた、母親のあの温かな声を。
　回る人形を何度も何度もいっしょに見つめた、お母さんのあの幸せそうな笑顔を。

（今度、実家に帰る機会があったら──）
　このオルゴールを見せて、もう一度いっしょに聴こうよって、誘ってみようか。
　そんなことを考えながら、若菜はいつまでも、その音色に耳を傾けるのだった。

『おもちゃのお医者さん』　おしまい

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あとがき

担当マスター：鈴木二文字
ファンレターはマスターページから！

　
●皆さまのおかげで、おもちゃも元気な姿に戻ったようです。おもちゃのお医者さんとして駆け付けて下さった全てのＰＣさん、どうもありがとうございました。持ち込み側のＰＣさんのおもちゃにまつわるエピソードも、それぞれにそのＰＣさんらしくて、ニヤニヤさせていただきました。

●また今回、他のＰＣさんとのアクションの絡みなどで、心情のアドリブを結構やっております。行動のアドリブ描写なら割とよくやりますが、心情のアドリブはいつ書いてもドキドキしますね……ＰＣさんのキャラを損なっていないことを、切に願って。

●ではお疲れ様でした。また、寝子島のどこかでお会いしましょう。鈴木二文字でした。
　

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