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8月の★ハッピーバースデー
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★八月十五日
「今日は私の誕生日ですね」
机に向かっていた
哀坂 零葉
は端のケータイに目をやる。手には取らず、机の引き出しを開けた。小さな布地の袋を取り出し、中身を掌に転がす。深い緑に身を染めたペリドットは不規則なカットで親指程の大きさを有していた。突端に当たる部分に銀色の金具が付けられ、ペンダントトップのようだった。
零葉は親指と人差し指でペリドットを摘まみ上げる。射し込む陽光の中、色々な角度を試していく。ある方向で動きを止めて赤い瞳を近づけた。
「石の中に光のハートが見えます」
その時、ケータイが震えた。少し慌てた様子で零葉は電話に出た。
「おはようございます、兄さん」
『おはよう、零葉。声の様子だと起きていたようですね』
聞こえてくる柔らかい声に零葉は微笑みを浮かべる。
「はい、夏休みにかまけて自堕落な生活はできません」
『気を張るのはいいですが、今日くらいは羽を伸ばしてもいいでしょう。私とデートしませんか』
「デ、デートですか?」
零葉は上ずった声を出した。
『実の兄では物足りませんか』
「いえ、そんなことはありません。出掛ける用意をしますので、少し待っていて貰えますか」
『愛しい零葉の頼みです。私はいつまでも待ちますよ』
「そ、それでは急いで用意します」
零葉は通話を終えると、兄さんったら、と少し赤らんだ顔で言った。備え付けのクローゼットにいそいそと向かう。
「今日は双子の兄さんの誕生日。薄桃色のチュニックにしましょうか」
零葉は女性らしい笑みを浮かべた。
桜花寮の出入り口付近に
哀坂 極夜
はいた。白い長袖シャツにコバルトブルーのジーンズを穿いていた。胸に届く黒髪は女性に見える。翡翠の色に近い目は穏やかで、反面、切れ上がった目尻には強い意志を感じさせた。
「そろそろでしょうか」
何気なく口にした言葉は見事に当たった。
「兄さん、遅くなってすみません」
「零葉の愛らしい姿が見れたので癒されました」
「私でもチュニックくらいは普通に着ます」
零葉は長い髪に手櫛を入れながら答えた。極夜の視線は下へと向かう。
「スカートではないのですね」
「動き易さを考えて青いジーンズにしました」
零葉はそれとなく反応を窺う。極夜の納得した表情に軽く息を吐いた。
「ペアルックですね」
「そ、それは違うと思います」
黙って微笑む極夜に、それでいいです、と消え入りそうな声を出す。
「今日は零葉の誕生日です。行きたいところはありますか」
「兄さんの誕生日でもありますよ」
「私は自分の誕生日にあまり興味はありません。今日は零葉の為に時間を空けました。好きなところにエスコートしますよ」
すっと前に出た極夜は零葉の目を見つめる。吸い込まれそうな感覚を拒むかのように零葉は身体の向きを急いで変えた。
「そ、そうです、歩きましょう! 街の方に行けば遣りたいことが見つかるかもしれません」
「そうですね。ショッピングモールを恋人気分で歩きますか」
「で、では、兄妹気分で歩きましょう!」
さり気なく訂正すると、二人は揃って街の方に歩いていった。
行き着いたショッピングモールは若者が中心で賑わっていた。所々に置かれたベンチでは恋人達が笑顔で語らう。一つのフラッペを仲睦まじく食べる姿も目にした。
極夜は微笑ましい眼差しを向けた。
「私達のように仲がいいですね」
「そうですね、兄さん!」
零葉は兄の部分を強調した。連なる店に目を向けて足早に歩き出す。エスコート役を買って出た極夜は自然とベンチから引き離された。
「ここは子供服の専門店のようですね」
足を止めた零葉がショーウインドウと向き合った。カラフルなTシャツが横並びに置かれていた。まるで手を繋いで走り回っているかのようだった。
隣にきた極夜が笑みを浮かべる。
「懐かしいですね。あの右端の黒いTシャツを見てみなさい」
「どれですか」
極夜が指差した方向に目を動かすと、黒地に白いアンカーマークのTシャツがあった。
「小さい頃の零葉も、あのような服を着ていましたね」
「えー、もう少し可愛らしい服でしたよ」
やんわりと反論する零葉に極夜は真面目な顔付きとなった。
「今では素敵な女性に成長しました」
「あ……あうう、そんな恥ずかしいことを、真顔で言わないでよ……」
両手を頬に押し当てた零葉は周囲に狼狽えるような視線を向けた。極夜は零葉の肩に手を置いて温かみのある笑みを作った。
「本当に綺麗になりましたね」
「わ、私をですね。無自覚で口説かないでください!」
「はは、実の妹を口説く兄はいないですよ」
爽やかな笑顔の前に言葉は不要。零葉は肩に乗っていた手を引っ掴んで猛然と歩き出した。
周囲の混雑が目に見えて減ったことで、ようやく速度を緩めた。店舗の種類が変わって飲食店を多く目にすることができた。道端には休憩用の長椅子が目に付く。
極夜は近くのファーストフードの店に目を留めた。
「零葉、小腹は空いていないですか」
「そう言われると、空いているような気がします」
「外にはベンチがあります。座って食べられる軽い物がいいでしょう」
極夜の言葉に耳を傾けていると、零葉の目にファーストフードの店舗が飛び込んできた。自動ドアには夏限定と書かれたポスターが貼ってあり、見出しには『フラッペ』の文字が見て取れた。
「フラッペは無理! 一つのスプーンで、さっきの恋人みたいに、それは禁断の何かです!」
「どうしたのですか? 急に興奮して」
極夜の声を無視して零葉は目で周囲に助けを求める。
そこに
マウル・赤城・スティック
が現れた。Tシャツやズボンを穿いた大型の肉食獣のようだった。肩に引っ掛けたバッグも相応の大きさで荒々しい崖のように凹凸が激しい。無理に作られたチャックの部分は特に大きく迫り出していた。
その圧倒的な大きさに少し躊躇いを見せつつ、零葉は声を掛けた。
「あの、何か探し物でしょうか」
「よくわかったな」
マウルが振り向いた瞬間、零葉の前髪が風を受けて揺れた。日焼けした精悍な顔が目の前に現れた。荒々しい印象の中、何故か頭髪はきっちりと中央で分けられていた。利発な子供を思い起こさせる。
零葉は少し表情を緩めて言った。
「頭がよく動いていましたので」
「日本は夏にバーベキューを食べる習慣があると聞いた。シーフードが基本だ。そうだよな」
「確かに、夏にバーベキューをする人もいますが、シーフードですか?」
零葉の目は泳いだ。心中を察したかのように極夜が前に出た。
「バーベキューには肉も必要になりますね」
「お、そうか。その肉はどこに売っているんだ。出来れば上質な食用のカンガルーがいいな」
マウルは陽気な口調で言った。悪意の感じられない笑みに極夜の表情も釣られた。
「この島では手に入らないかもしれないですね。牛肉で代用してはどうでしょう」
「牛肉か。予算は一万円を考えているが足りるかな」
「肉の種類にもよりますが、十分だと思いますよ」
極夜の言葉に、そうか、とマウルは白い歯を見せて笑った。人懐っこい笑みに零葉が言葉を足した。
「野菜もあった方がいいですね。タマネギやシイタケ。あとはトウモロコシも甘くて美味しいですよ。それで何人分の食材を買うのですか」
「一人分だ」
マウルの言葉に二人は顔を見合わせる。
「どうした? バーベキューを一人でしてはおかしいのか」
「おかしくないと思いますが、少し寂しくはないですか」
零葉は言葉を選んで言った。マウルは考える間もなく、二人に屈託のない笑顔を向けた。
「あんた達もバーベキューに参加するか」
マウルの突然の申し出に、いいのですか、と零葉が遠慮がちに言った。
「三人いればバーベキューは寂しくないな。できれば俺の誕生日を祝って欲しい」
「え、私も今日が誕生日ですが」
「そうなのか! 凄い偶然だな。まさか、そっちの女性も誕生日だったりしてな」
えっと、と零葉は微妙な笑顔で状況を見守る。極夜は気にした様子もなく笑って答えた。
「私は零葉の双子の兄で誕生日は同じですよ」
「そうか、双子なのか。よろしくな、俺はマウルだ。食材を買ったあとでバーベキュー会場に案内するからな」
奇妙な縁で合流した三人は談笑を交えて食材探しに動き回るのだった。
寝子ヶ浜海岸の海寄りの砂浜にバーベキュー会場が設けられていた。
「二人はそこの席に座ってくつろいでいればいい。買い込んだ食材で俺が手早く焼き上げるからな」
二人は砂袋のような形態の物を同時に指差した。バッグを砂地に突き立てたマウルが笑顔で頷く。
「まずは着火だな」
マウルはバッグの上部を開けた。小型のバーナーを取り出して火を点ける。事前に置かれたバーベキュー用のコンロの燃料を万遍なく炙り始めた。間もなくして網の上に掌を翳す。
「あと五分くらいだな」
マウルはバッグに手を突っ込んだ。木の俎板と小さなハンティングナイフを手にする。行動を予期した極夜が声で制した。
「待ってください。手は洗わないのですか。そのナイフは清潔な状態なのでしょうか」
側にいた零葉も同意見なのか。頻りに頷いている。
「二人は綺麗好きなんだな。じゃあ、ちょっと行ってくる」
マウルは海に向かって駆け出した。
「兄さん、あれって」
「手を洗っているのでしょうね」
諦めにも似た声で二人はマウルの様子を眺めていた。
ナイフはバーナーの火で滅菌処理となり、上機嫌のマウルによって食材は切り刻まれた。網の上に綺麗に配置して焼き加減を見ながら裏返す。
「いい感じに出来てきたな」
網の上で肉や野菜が香ばしい匂いを放つ。マウルの選別で紙皿に移し、目分量で上からタレを掛けた。
「とても美味しそうです。では、いただきます」
零葉が食べようとすると、真横から肉を挟んだ割り箸が口元に伸びてきた。
「はい、零葉、口を開けてください」
「ちょ、ちょっと兄さん。こんなところで……マウルさんが見ていますよ」
「二人は仲がいいんだな」
豪快に笑うとマウルは肉と野菜を一緒に口に放り込んだ。
「早く食べないと、肉に付いたタレが落ちてしまいますよ」
「あうぅ……恥ずかし過ぎます……」
あーん、という妙な合いの手を入れられ、身悶えるようにして零葉は口にした。完全に茹で上がった顔で俯き加減に口を動かす。
「あれだな。バーベキューは人数がいた方が楽しい気分になれるよな。いい誕生日になった。ありがとな」
「こちらこそ、楽しい一時をありがとうございます。零葉も同じ気持ちですよね」
極夜の問い掛けに顔を赤くした零葉が斜めに頷く。微妙な心を表現しているかのようであった。
青空の下、バーベキューは歓談と多少の言い合いで終わりを迎えた。
「今日は楽しかった。まだどこかで会おうな」
マウルは満足した顔で腹を摩り、無骨な相棒を肩に掛けて歩いていった。
「それでは私達も帰りましょうか」
歩き出そうとした極夜に、あげます、と零葉が素っ気ない感じで小さな布地の袋を手渡す。中には大粒のペリドットにペンダントが入っていた。
「誕生日プレゼントですか」
「あげます」
背を向けた零葉が黒髪を靡かせて足早に歩いた。可愛い顔が台無しですよ、と極夜は横に並んで声を掛ける。
「最初からこういう顔です」
その途上で極夜はフェレットのぬいぐるみを購入した。プレゼントとして零葉に渡すと、子供扱いしないで、と言いながらも抑えた笑顔でぬいぐるみを抱き締めた。
「零葉のプレゼント、大事にするよ」
「……こんな時に、兄さんはずるいです」
零葉は赤くなった顔をぬいぐるみに押し付けた。極夜は隣で微笑んでいる。
しっかりと手を繋いで二人は帰っていった。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月30日
参加申し込みの期限
2014年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年09月06日 11時00分
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