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8月の★ハッピーバースデー
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★八月一日
朝と呼べる時間帯、
霧切 翠子
は桜花寮の一室で笑みを隠せないでいた。床には配達されたばかりの誕生日プレゼントが封を解かれた状態で並べられていた。
伯父の名で送られてきた白地のワンピースは作りが簡単で質素に見えた。しかし、そうではなかった。目を凝らすことで初めて真価を発揮する。胸元には細かい草花の刺繍が入っていた。流れ落ちるような曲線でスカートの裾まで続き、終わりに一輪の花が可憐に咲き誇る。
父親からはハンカチであった。白い光沢は一目でシルクとわかる。母親はダイヤのネックレス。ペンダントトップのダイヤは六つの立て爪で留められていて、それ自体が小さな花のように見えた。
「朝から送ってくるなんて、みんな律儀だよね」
嬉しくてたまらない、という風に茶色い髪を震わせた。灰色の瞳はダイヤへと向かい、両手で掬い上げた。
「ネックレスはちょっと大人っぽいけど、今日くらいはいいよね」
翠子は恥ずかしそうな顔で言った。
シーサイドタウン駅の噴水近くに
新井 米太郎
が立っていた。太陽の光を浴びて赤い上下のジャージは新調したかのように色鮮やかであった。
「……どうやって渡そうかな」
米太郎は持っていたポインセチアの花束を見て呟いた。不意に羽織っていたジャージを脱いで腰に結んだ。白いTシャツには墨のような文字で『男』と印刷されていた。
「先輩、誕生日プレゼントだ。受け取って欲しい」
強気な言葉で花束を前に突き出した。本人を想定しただけで黄色い目が泳いでいる。米太郎は顔に掌を当てて、ダメだぁ、と項垂れた。頭頂の飛び出た毛まで元気を失って萎れた。
「まだ時間はある」
急いでジャージを着て花束に目を落とす。その表情が俄かに曇った。
「これだけでいいのか?」
不安を口にして表情が強張った。慌ただしく財布を取り出して中身を目で数える。
「こめ君、待たせてごめんね」
突然の翠子の声に身体は瞬時に動いた。財布をジャージのポケットに押し込み、花束を後ろ手に隠した。
「ぼ、僕も来たばかりなので――」
声の方に振り向いた瞬間、米太郎の言葉が途切れた。呆けたような顔で数秒を経て、急いで眼鏡を押し上げる仕草に励んだ。
翠子は、ふふ、と目を細めて笑った。
「こめ君、今は眼鏡を掛けてないよ」
「そ、そうでした。びっくりしちゃったなー」
「何に驚いたのかな?」
翠子は少し顔を傾けて花の髪留めの位置に手を加える。その間に米太郎は瞬間的な視線を何回も送った。
「せ、先輩の格好がヒロインみたいで、ちょっとびっくりしたっていうか」
「全体的に大人っぽいから、私には少し早いかなって思ったんだけどね」
「そんなことないよ! じゃなくて……とても似合ってます」
強い言葉は急激に失速した。米太郎は落ち着きを欠いた様子で前髪に手をやった。
「ありがとう。チャレンジして正解だね。少し歩こうよ」
翠子は周辺に目を向けてゆっくりと歩き出した。米太郎は慌てて車道側に回る。危ないから、と言葉を付け加えた。
二人は良い雰囲気で並んで歩く。ショーウインドウを眺めながら、翠子はそれとなく話を振った。
「シーサイドタウンに買い物に誘われるなんて、初めてのことだよね。こめ君はバイトで忙しかったし、もしかして少し余裕ができたのかな」
「そ、それとはちょっと違うかな」
米太郎は翠子の死角に当たる太腿に花束を軽く押し付けた。
「しんみりした話になってごめんね。気を取り直して二人っきりのデートを楽しみましょう」
「ええっ、デ、デ、デート!?」
思いもしない言葉に米太郎は激しく動揺した。手と足の動きがおかしくなり、花束が太腿から見え隠れした。結果、隣にいた翠子の目に留まる。
「こめ君、赤い物がチラチラと見えるんだけど」
「え、あ、これはなんていうか」
立ち止まった米太郎は、どうぞ、と頭を下げて翠子に花束を差し出した。気の利いた言葉は口から出て来なかった。
「もしかして誕生日プレゼント?」
翠子の問い掛けに米太郎は深く頷いた。
「私の誕生日。覚えていてくれたんだ、嬉しい」
花束を受け取った翠子は赤と緑の色彩に口元を綻ばせた。
「ポインセチアの花ってクリスマスのリーフみたいで綺麗だね! ありがとう、家に帰ったらちゃんと花瓶に入れて飾っておくね」
「あの、先輩が喜んでくれて、僕も嬉しいです」
持続はしないものの、米太郎は翠子の顔を見て言った。
「私ばかりが楽しんで、ちょっと気が引けるかな」
「そんなことないですよ。今日は先輩の誕生日ですし」
米太郎の言い分を耳にしても翠子は納得していない様子であった。そうね~、と物思いに耽るような声は一瞬の笑顔で吹き飛んだ。
「こめ君はバイトで忙しくておしゃれに余裕がなさそうだし、私が服をコーディネイトしてあげるよ。そのあと、レストランでランチもいいよね!」
「た、たくさんジャージがあるし、朝はしっかり食べたんで。せ、先輩! なんか見たいもの、ありますよね!」
「そうね、ティディベアのお店に興味があるかな。この近くにあるらしいのよ」
「そこ、そこで決まりですよ!」
米太郎は速足で歩き始めて、駆け足で戻ってきた。
「先輩、その店はどこにあるんですか」
「ちゃんと付いて来てね、こめ君」
翠子の笑顔に米太郎は、はい、と恥ずかしそうにして言った。
二人はロッジ風の建物の前で立ち止まる。アーチ状のアンティークドアを押し開けて中に入っていった。
横手に大きなテディベアが水色のTシャツを着て出迎えた。首から下げた木のプレートには『welcome』と文字が彫られていた。
「すごく大きいね。こめ君よりも大きいかも」
「そうですね」
「奥も見て回りましょう」
森の中を散策する少女のように翠子は笑顔で軽やかに店内を歩いた。米太郎は安らかな表情で付いて回る。
「この子、帽子を被ってるよ」
翠子は麦藁帽子を被ったテディベアを指差した。木の切り株を模した丸い台に座っていて、他にも沢山のぬいぐるみが縁を埋めていた。
「この子は大きいね」
立っていたテディベアを翠子は胸に抱いた。それで満足したのか、頭を撫でて離れた。
「置く場所に困るよね」
「う、うん、そう! そうだよ!」
翠子は壁際の棚に目を向けて歩き出した。目が離れた瞬間、米太郎は値札を一瞥して、ほっとした息を吐いた。
「先輩、そのぬいぐるみが、どうかした?」
翠子はテディベアを両手に乗せて見つめている。全身は茶色で首に赤いリボンを巻いていた。
「大きくはないけど、なんか一目で気にいっちゃった!」
「わかりました」
「え、いいの?」
心配そうな顔で翠子はテディベアを渡した。米太郎は親指を立ててレジへと走る。
数分後、米太郎は神妙な顔で戻ってきた。翠子の前に立ち、目を見つめて言った。
「先輩、お誕生日おめでとうございます」
緑の葉が印刷された包装を翠子に渡した。
「さあ、先輩。行きましょうか」
米太郎はにこやかに笑ってドアへと向かう。強気な一面に翠子は少し照れた顔で後に続いた。
店を出た二人は通りを黙って歩いた。先に沈黙を破ったのは米太郎であった。
「あの、先輩……手を繋いでもいいですか?」
翠子は隣に目を落とし、そっと米太郎の手を握った。驚いたような反応はすぐに消えて、しっかりと握り返してきた。
各々の頬がほんのりと赤らむ。その中、唇を引き締めた翠子が言葉を告げた。
「この日を絶対に忘れないよ。ありがとう、こめ君」
米太郎は顔を真っ赤にした。それでも頭は下げなかった。
「僕も忘れない」
黄金に輝く目で力強く答えた。
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担当ゲームマスター
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月30日
参加申し込みの期限
2014年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年09月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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