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8月の★ハッピーバースデー
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★八月九日
参道商店街に程近い場所に神無組の本拠地がある。広大な敷地には二階建ての日本家屋がどっしりと構えていた。周囲に配置された楓や桜は見頃の季節を迎えれば艶やかな姿を惜しみなく披露して、殺伐とした日常に僅かばかりの潤いを与えた。
日本情緒に溢れる神無組に巨漢の
松崎 竜平
が足を踏み入れた。グレーのサマースーツを着て両手はズボンのポケットに突っ込んでいた。周辺で掃き掃除をしていた若い組員達は姿勢を正し、お疲れ様です、と威勢の良い声を出した。
おう、と竜平は鷹揚に答えて奥へと向かう。声を掛けられる度に少ない口数で返した。
「こんなところにいたのか、松崎」
横手からの声は
神無月 文貴
であった。黒いスーツに全身を包み、細いメタルフレームの眼鏡の奥から鋭い眼光を放つ。
「組長、あっしに何かご用ですかい?」
「とぼけてる、訳でもねえようだな。やれやれ、先が思いやられるぜ」
文貴は額に垂れた髪を撫で付けた。オールバックの髪が陽光に照らされ、抜き身の刃のように光る。
「薬局の地下では良い様にやられたからな。目出度い今日にリベンジさせて貰うぜ。嫌たァ、言わせねえ。松崎、覚悟を見せな」
「リベンジ、でやすか。組長、組のもんが見てる前であっしに本気を出させるのは酷っていうもんですぜ」
「俺の力量を読み間違えるんじゃねえ。縁側に回れ。舞台は用意してあるぜ。てめえら、休むんじゃねえ!」
手を止めていた周囲の組員に一喝すると、文貴は肩で風を切って歩いていった。まいりやしたねぇ、と禿頭に手を当てて脇に逸れた。
竜平は手入れの行き届いた庭を寡黙に歩いて行く。小川の流れるような音が聞こえてきて鹿威しの澄んだ音が響いた。
右手の日本庭園に目を細めつつ、竜平は縁側に目を移した。急に表情が緩んで顎の先端を摩る。
「これが勝負の舞台ですかい? 組長もお人が悪い」
「誰が腕力勝負と言ったんだ?」
着流し姿の文貴が座敷から笑って現れた。黒い生地の右裾には無造作に置かれたような将棋の駒が縫い込まれていた。
「松崎の誕生日を祝ってリベンジマッチを始めるぜ」
文貴は縁側に置かれた飴色の将棋盤の一角に胡坐をかいた。
「今日はあっしの誕生日でしたか。どうも忘れっぽくていけねぇや」
「毎年のことじゃねえか。座布団も用意したぜ、遠慮なく座りな」
「こりゃ、どうも」
革靴を脱いだ竜平は身体を丸めて座布団に腰を下ろした。
文貴は盤上の木箱の中身を引っくり返す。
「先手は振り駒で決めるぜ」
「組長が振ってくだせえ」
文貴は無造作に歩兵を五枚、手の中に握ると盤面に転がした。表は三枚で文貴の先手が決まった。
「幸先が良いな」
「勝負は下駄を履くまでわかりやせんぜ」
二人は凄みのある笑いを交わし、黙々と駒を並べていく。不意に池の鯉が跳ねた。竜平は横目で見て目尻を下げた。
「あとは極上の酒と肴だろ」
近くに待機していた組員が部屋の奥へと音を立てずに走り去る。待っている間に文貴は穏やかな表情を竜平に向けた。
「思い出すぜ。親父が生きてた頃、お前と将棋を指してた姿を横で見てたっけ」
「そうでしたねぇ。こう向かい合っていると、先代の組長の若い時を思い出しやす」
文貴は上体を斜めにして膝を叩いた。その姿のまま、竜平に挑戦的な眼を向けた。
「あの時の俺は見るだけだったが、今はそうじゃねえ。親父とお前の指し方を目に焼き付けた神無組の四代目だぜ」
「……先代は将棋も強かったですねぇ。時間があれば勝負を挑んで何度も負けて、あっしが一度も勝てない内に幕切れとなりやした」
「いつの時代も組長の力ってもんは絶大だ。当然だが俺も勝ちに行くぜ」
文貴は背筋を伸ばして言い切った。相対した竜平は目を伏せて口元で笑う。
「先代で叶わなかった一勝を頂戴いたしやす」
「いい感じに士気が上がってきたじゃねえか」
そこに組員が大きなデキャンタに入れた酒を運んできた。
「猪口でいちいち酒を注ぐのは面倒臭え。お前もぐい呑みでやるだろ」
「お供しやす」
返事を聞く前に文貴は青い蛸唐草のぐい呑みに酒を注いだ。片手で差し出すと、竜平は恭しく両手で受け取った。
「今日だけはシノギを忘れて、ぐいっとやれ」
手本を見せるかのように文貴はぐい呑みを威勢よく呷った。口の端を流れた滴は手の甲で拭い、腹の底から息を吐いた。
「まあまあの大吟醸だぜ。肴もきたようだな」
花鳥風月の絢爛豪華な大皿が二人の側に置かれた。
「こりゃ、豪勢ですねぇ」
「どれも自慢の逸品だぜえ」
文貴は満足した顔で添えられた箸を手に取った。
醤油ダレで丁寧に焼いた地鶏に、食べ応えのありそうな各種ソーセージ。珍味には河豚の卵巣の糠漬けを選び、一口大に切り分けられていた。箸休めにはサンマの刺身を宛がった。細かい氷の上に笹の葉と共に鎮座した。
竜平は箸でサンマの切り身を摘まんだ。
「組長、このサンマに手足は付いてないですよねぇ」
予期しない言葉に文貴はむせた。中身の入ったぐい呑みを側に置き、大きな咳で静めた。
「や、やるじゃねえか。お前の先制パンチで鼻の奥にツンときたぜ。こっちも始めるか」
派手さはない。文貴の静かな一手で盤上の戦いは始まった。
淡々とした指し手が続く。攻めているのは文貴であった。竜平は守りを固めながら局面を窺う。
「なあ、松崎よ。娘に会う気は本当にねえのか」
「組長、答えは同じになりやす。いねぇと思っていた娘ですぜ。今更、筋者の父親が現れても迷惑なだけでしょうよ」
指が迷って更に守りを固めた。文貴は歩兵を進めて端から崩す戦法に切り替えた。
「守りが固ぇのはいいが、それは本当の親心って言えるのか? てめぇの弱い心を守ってるだけじゃねえのか」
「……あっしには自分なりの考えがありやすんで」
竜平は視線を下げて攻め立てる歩兵を桂馬で取った。文貴は持ち駒の銀将を手にして桂馬の鼻面に打ち込んだ。
「目出度い日ですっかり忘れてたぜ。ヤクザ者の勝負に賭けは付き物だろ」
「何を賭けるつもりで」
「話の流れでわかってんだろ。この勝負、俺が勝ったら娘に会いに行け。てめぇが父親であることをちゃんと話せ。子供の幸せを願う気持ちは伝わるはずだぜ」
竜平は厳しい表情を盤面に向けた。桂馬の後ろに金将を指して重い口を開く。
「その勝負という喧嘩、確かに買いましたぜ。組長が負けた時はどうしやす?」
「大盤振る舞いだ。てめぇの望みをなんでも聞いてやるぜ!」
「久しぶりに血が滾るねぇ」
竜平の指し手が変わった。守りを最小限に留めて苛烈な攻撃に転じたのだ。縦横に動く飛車で活路を見出し、崩した箇所に持ち駒の全てを注ぎ込む。
「やるじゃねえか!」
文貴は声を荒げながらも辛うじて攻撃を防いだ。合間に竜平の固い防御の一点突破を狙う。
「物事は、そう上手くはいきませんぜ」
その機を逃す竜平ではなかった。手薄になった敵陣を攻め立てて、王手まで一手と追い詰めた。
「松崎、俺の持ち駒を忘れてねえか?」
守りの僅かな綻びに文貴の大駒の角行が鋭く打ち込まれた。一瞬で竜平の顔色が変わる。こめかみに一筋の汗が流れた。
「王手飛車だぜ!」
「こりゃ、いけねぇ」
前のめりになった竜平が王将をどん詰まりの上へと逃がす。
「これで詰みだぜ!」
片膝を立てた文貴が角道に最後の持ち駒、金将を打ち付けた。乾いた音の余韻が残る中、まいりやした、と竜平は畏まった態度で頭を下げた。
「賭けは俺の勝ちでいいな」
「組長のおっしゃる通りで。恥ずかしながら親子を名乗らさせていただきやす」
「餞別だ、これを持って行け」
文貴は袖から出したお守りを投げて渡した。
「組長、これは」
「寝子島神社で買った家内安全のお守りだ。松崎、お前には俺と神様が付いてることを忘れるな」
「……こいつは何より、ありがてぇ贈り物……組長、ありがたく頂戴いたしやす」
深々と頭を垂れる竜平に文貴は清々しい笑顔で、ぐい呑みの残りを飲み干した。目は陽光が降り注ぐ庭園に向けられた。
「今日は良い日だな」
「最高の日になりやした」
あとには何も語らず、二人だけの酒宴を満喫した。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月30日
参加申し込みの期限
2014年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年09月06日 11時00分
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