大怪獣襲来！～寝子島防衛戦～｜リアクション

大怪獣襲来！～寝子島防衛戦～

●破壊するもの

　防衛チームの獅子奮迅の健闘で局地的には半魚人の侵攻を食い止める事はできているものの、いかんせん敵の数が多過ぎて、全体としては対応できずに多数の半魚人があふれ出しているのが現状だ。
　また、巨大サンマに対しては有効な手が打てておらず、その歩みはゆっくりではあっても止める事はできていない。

『なんだかすごいことになってるの……とにかくあの巨大サンマさんは止めないと』

　海は観覧車の上から迫り来る巨大サンマとその足元の半魚人の群れを見下ろしていた。

　ゴンドラの床には用意しておいた火炎瓶が並んでいる。
　それをろっこん『アクセラレイトライン』で加速し、ロケット弾のように射出する。

　口の中に放り込もうと狙うが、相手は常に動いており、それを見越して誘導するのは至難の技。
　しかたなく体内へ火炎瓶を放り込むのは諦め、普通にぶつける事に専念する。
　そして、発射された火炎瓶のいくつかは巨大サンマに命中し、火傷を負わせる事に成功。
　外れた火炎瓶は推進力を失って落ちると、地上で活動する半魚人や防衛チームの頭上に降り注ぎ、混乱をもたらしていた。

　火炎瓶をぶつけられ、怒り狂った巨大サンマは雄叫びをあげ、大観覧車に身体を揺らしながら猛然と突進。相撲の取り組みのように真正面から強烈な体当たりを炸裂させた。
　耳をつんざく轟音と土煙が巻き起こり、たちまち鉄骨が耳障りな悲鳴を響かせる。

　立っていられないほど激しく揺れるゴンドラに、これ以上ここに残るのは危険と判断した海は、スケッチブックをビート板のように持つと、それを『アクセラレイトライン』で加速誘導して外へ飛び出した。
　コントロールが難しく、振り落とされないようにしがみ付いているのが精いっぱい。滑り込むように地上に着陸し、少しの擦り傷を負うが、なんとか巨大サンマの攻撃からは逃げ切る事ができた。