【ネコミケ番外編】怪盗へブンの楽しい休日？｜リアクション

【ネコミケ番外編】怪盗へブンの楽しい休日？

破：動くよ、ヘブン！　皆の笑顔の為にっ！

　テオが呼びかけて既に１時間以上経過していた。シーサイドタウン中のホームセンターをあたろうとしていた夏朝は、中学生コンビの勇樹と奈々美と出くわした。……と、いうのも情報収集に気を取られ、奈々美と夏朝がぶつかろうとしたのだ。そこを上手い具合に勇樹が引き止めてカバーし、事なきを得た。
「ご、ごめんなさいっ！」
「ボクのほうこそゴメンね、情報収集に夢中になってて……」
「情報収集？　なんか俺たちと同じか？」
　勇樹の言葉が気になった夏朝は２人に事情を聞く。と、目的が一致していた。夏朝はそこで１つひらめく。
「よかったら、一緒に探さない？　丁度この近くのホームセンターで目撃情報があったから、行ってみようと思っているんだ」
「奇遇ですね！　私達も今そこへの地図を呼び出していた所なんですっ」
　奈々美の横で勇樹が苦笑する。というのも彼女は方向音痴であり、明後日の方向へいこうとする度に勇樹がフォローし続けているのである。
「うん、じゃあ……」
　夏朝は早速彼らと共に向かおうとしたのだが、そこで見覚えのある女の子を見かける。スーツ姿の為印象は変わっているが、夏朝の記憶が確かなら真央である。早速声をかけてみると、やはり真央だった。彼女はにゃふっ、と笑顔を見せる。
「ヘブンに登場するお色気担当っぽい記者さんの格好なのだ！　これでヘブンのいるらしいホームセンターに突撃なのだっ！！」
「「……あっ」」
　真央の姿と言葉に夏朝と奈々美が小さく声を上げる。ねこったーでの情報の中にそういえば、記者のコスプレをした女の子がヘブンを探してるような事を誰かが呟いていただろうか？
「もしかしたら、別の店に移ってるかもしれない。急ごうぜ」
　勇樹の言葉に、３人娘は頷いた。そして、逆方向へ行こうとする奈々美を真央達総出で連れ戻したりするのだった。

　ちょうどその頃。夏朝達と同じようにヘブンを探していた円達は、瑠奈の情報をもとにホームセンターへと向かっていた。
「結構広そうですね……」
　蓮は円が呼び出したホームセンターの案内図を見ながら呟く。その傍らで、修はレイに質問をしていた。
「え？　出てきた時の状況とその時に思っていた事？」
「はい。細かい事でもいいんです。教えていただけませんか？」
　レイは異変が起こったときの状況を思い出しながら、ゆっくり語る。
「円ちゃんには話したとおり、在庫整理をしていた時に起こったんだ。ヘブンの番外編が思いのほか売れてね。それで、色んな人に読まれていてヘブンも幸せ者だなぁ、って思いながら表紙を撫でたんだ。そしたら急に光って……」
　気が付いたときは抜け出していた、と主人公がいなくなった同人誌を取り出しつつ答えるレイ。修はふむ、とそれを受け取りつつ考える。
「という事は……これをヘブンにかぶせたりしたら戻ったりするかな？」
　円がふむふむと言いながらそれを覗き込むと、今度は瑠奈が問いかける。
「それでは、レイさん。ヘブンがやろうとしている事について、なにか心当たりはありますか？」
「うん。君の目撃情報が正しかったら……次の『週刊少年にゃんぷ』に掲載される予定の話の内容かもしれない」
「どういう事をやるつもりなのですか？」
　蓮も気になって問いかけると、レイはにっこり笑った。
「双子の妹と女神のノノカに協力してもらって、一緒にゲリラ的アイスクリームパーラーをやろうとするんだよ」
　その言葉に、修たちは思わずぽかん、としてしまった。ただ１人蓮だけが「なるほど」とぽん、と手を打った。

　ホームセンターでは、ヘブン達が買い物をしていた。皆で分担して必要な物を揃え、すぐにでも使えるよう工夫しておく。勿論、ののこの『フツウ』を壊さないよう気を配りながら、である。が……こんな事が起こっていた。

　――ガシャーン！！

　移動中、うっかり足を滑らせたヘブンが、ガラス瓶の並ぶ棚へとぶつかってしまう。音を立ててガラス瓶が割れ、ヘブンへと降り注ぐ。
「ヘブン様っ！？」
　凪が声を上げて駆けつけると……ぶどうジュースとガラスの破片に塗れたヘブンが苦笑していた。
「あはは、こんな雨ならいつでも歓迎さ☆」
　彼の能力により、怪我は笑って済ませられるレベルの物になっていたが、店員から見れば信じられない現象である。しかし、幸いにもここに信彦がいた。彼のろっこん『Money In The Bank』はクレジットカードを対象となる人へ見せる事で信彦に対し信頼感・安心感を抱かせる物である。いいくるめにはもってこいだ。

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