【ネコミケ番外編】怪盗へブンの楽しい休日？｜リアクション

【ネコミケ番外編】怪盗へブンの楽しい休日？

　その頃、菜々緒はというとあるホームセンターで野々ののこと共に買い物をしていた。
「菜々緒ちゃんっ！　アイスクリーム、いっぱいだねー」
「そうね……。どれだけ買い込むつもりかしら？」
　2人が押しているカートの中には、業務用サイズのアイスクリームやウエハース、ドライフルーツなどのトッピング類。別のカートにはカキ氷機や果物の缶、カキ氷のシロップ等色々入っていた。無邪気にはしゃぐののこの横で、菜々緒の内心では「はしゃぐののこちゃんも可愛い♪」とか思いつつも、ヘブンの事も気がかりである。
「ある程度揃ったし、次は場所だねー。皆にひえひえでおいしい気分にするには、素敵な場所が必要だねぇ」
　彼女達の隣でカートを押すのは、白銀の髪に赤いリボンを編みこんだ怪盗ヘブン。漫画の世界から飛び出した彼はぱちっ、とウインクしながら言う。
　そして、この３人の他にも一緒に行動する者たちがいた。１人は街で声をかけて来た綾辻綾花。もう一人は噂を聞きつけた八十八旗信彦である。不自然な所があればカバーに走ろうと考えていた信彦であったが、今のところそういう場面には出くわしていない為、率先してレディ達の手伝いをしている。より重たい荷物の入ったカートを押しつつ彼は爽やかに笑って見せた。
「確かに場所が問題だね。シーサイドタウンだったらイベントにもってこいのスペースがあったような？」
「ま、そこも華麗に解決してみせるさ」
ヘブンが爽やかに笑うも、どう解決するのだろうか？　疑問に思っている中、綾花は冷静に考察する。
（ヘブンさんは……、パーティーを開こうとしているのでしょうか？）
　綾花はヘブンの漫画を知っている。故に、彼がどんな人物かは少しわかっているつもりだ。そして、テオからのメッセージも聞いている。今買い求めている物や知識から言っても、その可能性がある。だったら、とことん手伝いたい、と真面目な顔で頷く綾花。
「他にも、協力してくれる人がいるかもしれません。成功させましょう！」
「だよね！　レディ達の為にも、ヘブンの為にも！」
　相槌を打つ信彦だが、先に『レディの為』と出る辺りが、本当に彼らしかった。その事に思わずくすくす笑っていると……ののこが何かに気づいた。
「あれ？　こっちに近づいてくる人がいる～。手伝いに来てくれたのかな？」
　その声で、ののこが見る方向へ顔を向けると……つんつん頭にバンダナというスタイルの風雲児轟と鋭い目と柔和な雰囲気が印象的な御剣刀だった。轟はヘブンと目が合うと、真面目な顔をして近づいた。

　吉祥寺黒子と鷹峰凪はホームセンターへと買い物に来ていた。２人はネコミケの打ち上げをしようと準備をしていたのだ。
「これなんか面白そうね」
「いや、凪。お願いだからそれはやめような」
　凪が見つけたのは罰ゲーム用のパーティーグッズ。嫌な予感がした黒子がつっこんでいるとわいわいとした声が聞こえる。不思議そうに見ていると、その中に仲の良い菜々緒の姿を見つけた。
「よぅ、菜々緒じゃねーか！　偶然だなぁ！」
「ふふ、こんにちは。ちょっと色々あって」
　そういえば傍らでののこや刀達が挨拶をする。と、その中に知らない顔があった。誰だろうと思っていると……凪の目が白い髪の青年に留まっていた。

「やぁ、風雲児轟君！　はじめましてっ！」
　ヘブンが直感で名前を言い当てた事に内心でさすがだな、と思いながらも轟はきりっ、と目を合わせる。
「いかにも、俺は風雲児轟だ。お前に聞きたい事があるっ。お前が本物だったら、すべて答えられるはずだ！」
　轟は、目の前のヘブンが本物かどうか確かめようと、考えてきたらしい。彼は一つ頷くと早速質問をした。
「１つ目、バイクで曲芸をした場所と理由は？」
「バイクで曲芸？　海浜公園だったねー。理由は結婚式の余興だよっ！　皆笑顔になってくれて大盛り上がりだったよっ！」
「正解だ！　２つ目、特大ホットケーキを作ったのは？」
「それは公民館だね。悪い奴らがお菓子をとっていっちゃったから、子供達の為に作ったんだ」
「それも正解だな。……最後に、アカデミーでやった事！」
「ノノカ様へのサプライズとして、壊れた噴水を直して虹を出した」
（全部正解だ……！）
　轟は「参った」と苦笑して頭を下げる。
「疑って悪かったな、ヘブン。良かったら、俺にも手伝わせてくれないか？」
「勿論だよ、轟君。一緒に皆を笑顔にしよう！！」
　ヘブンと轟は硬く握手を交わし、サプライズを成功させようと誓い合った。その近くで、若い女性の声がする。

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