みんなの秘密基地｜リアクション

みんなの秘密基地

　穴は完全に閉じた。残っていた人々は世界の理で全員が弾き出された。ある者は家の布団で夢だと思い、ある者はテントごと寮まで飛ばされた。散らかった部屋にラジコンカーと共に送り戻された者もいた。
　修は桜台墓地で穴の最後を見届けた。カメラのビデオモードに収められている。
「必要な情報は手に入れた。あとはＮＭＲの記事として編纂すればいい」
　修を乗せた折り畳み自転車は風を纏って走った。
　竜平は暗い路地に立っていた。割れた酒瓶の破片が道に点々と転がって、酔客の呂律の回らない声が壁越しに聞こえてくる。
「帰れたようだな」
　薄く笑った竜平は背広のポケットから煙草を取り出し、何となく眺めて元に戻した。
「早く帰って無事を知らせやしょう」
　ズボンに両手を突っ込んだ竜平は夜の道を帰っていった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

　不思議な穴から行くことができる、名もない海では楽しく過ごせたでしょうか。
　この世界の物は持ち帰ることができないので、集めた貝殻などは思い出として胸に収めてください。
　あ、写真の撮影は可能なのでお気に入りの一枚を引き伸ばしたり、焼き増しして配ってもいいですね。

　神魂の影響で空いた穴は不安定な存在です。人々の強い願望などで、再び名もない海に繋がることもあるかもしれません。
　その時の季節はどうなっているのでしょう。常夏なのでしょうか。それとも寝子島のように巡る季節があるのでしょうか。
　全ての物語は人々の手で紡がれて広がっていきます。

　またの再会を祈りつつ、お話を終わりたいと思います。
　物語を一緒に作ってくださった皆様、ありがとうございました。

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