みんなの秘密基地｜リアクション

みんなの秘密基地

　茜色の空が全てを同じ色に染め上げる。
　パラソルの下、刀と海は水平線を眺める姿で座っていた。二人の身体は共に火照ったような色をしている。
　刀は隣りに顔を向けた。腰にまで届く長い髪が風に靡いている。
　それは無意識の行動だったのかもしれない。刀は揺れる髪を手に取った。慈しむような動きで触っていると、少し緊張した表情の海が横目で窺う。
「髪を結んでいる時には気が付かなかったよ。結構、伸びたんだな」
　海は刀に顔を向けた。二人は見つめ合う姿となった。
「似合ってるよ」
　告白にも似た甘い囁きに海はスケッチブックに文字を書いた。
『ありがとう』
　小さな文字は画用紙の中央で精一杯の自己主張をした。
　砂浜にパラソルと二人の影を落とす。黒い線で書かれたような相合傘の中の二人は、腕が触れ合うくらいに近づいていた。

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