寝子島は夏真っ盛り。良いお天気の日が続いています。
山や川では連日、子供達が走り回って遊んでいました。こんがり肌は焼けて、みんなが笑顔で元気です。
休日の朝の早い時間に
小島 海美は虫取り網を持ち、ツインテールを弾ませて歩いていました。水色の半袖にピンクのホットパンツを穿いて、きびきびとした動きで繁みの辺りに目を向けます。
「なんだろ、このあな?」
桜台墓地の手前にある繁みの一部に丸くて大きな穴が空いていました。中を覗くと、白い砂浜に青い海が見えました。
海美は墓地と穴の中を見比べて、首を傾げながらも入っていきました。数十歩で穴を抜けると、そこには大きな砂浜と海が待っていました。人は誰もいない状態なのでプライベートビーチのようでした。
嬉しくなった海美は網をほっぽり出して走りました。踏まれた砂はキュッキュッと可愛らしい音を出します。
「なんか、すごーい!」
砂浜には波で打ち寄せられた物が色々とありました。組み合わせれば何かを作れそうな予感に海美は興奮して言いました。
「ひみつきちが、作れちゃうかも!」
一人では難しいと考えたのでしょう。海美は入ってきた方向に目をやりました。
目の前には岩の壁がありました。砂浜と同様に果ての見えない長さで、目が眩むような高さを誇っています。そこに点のような穴が空いていました。
海美は穴を潜り抜けると、すぐに後ろを振り返りました。
穴は消えていませんでした。綺麗な海もちゃんと見えています。
「みんなに知らせなくっちゃ!」
自分を急かすような声で海美は走り出しました。
少しして穴は数ミリくらい縮まるのでした。
神魂の影響で空間に穴が空いて、どこかの海に繋がりました。一人の女の子によって発見されました。
穴は故意に隠されている訳ではないので誰もが目に出来ます。今のところ、出入りも自由に行えます。
詳しい情報は下記をご覧ください。
名もない海:美しい景観の海である。遠浅の為、泳げない子供でも十分に楽しめる。危険な海洋生物は存在しない。
白い砂浜 :砂のキメは細かく、素足でも問題なく歩くことが出来る。色々な漂着物が創作意欲を刺激する。
巨大な岩壁:縦横に途方もない大きさを見せつける。亀裂からは巨木が生えていて、至る所で目にする蔓は縄のように
丈夫である。手の届く位置には真水が滾々と溢れていて喉の渇きを癒してくれる。
空間の穴 :直径は約二メートルで時間と共に縮小。穴が塞がるにはそれなりの時間を要する(目安は約一日)。
※取り残された場合、寝子島のどこかに強制送還される。アクションで指示することも可能。
その他の注意事項(穴の先の世界)
① 天気は快晴で時間の概念がある(時間の進み方は通常と変わらない)。
② こちらの物を持ち込むことは出来るが、向こうの物を持ち帰ることは出来ない(写真を撮ることは可能)。
③ 持ち込んで出たゴミは持ち帰ることが出来る。
以上の事柄を踏まえて大いに楽しんでください。
波によって運ばれた廃材で秘密基地を作るのもいいでしょう。
岩壁を利用したロッククライミングでいい汗を流したり、
持ち込んだ器具でバーベキューを楽しむ人々もいるかもしれません。
もちろん、食材の一部を海に求めてもいいですよね。
子供から大人まで、誰もが無心になって遊べる。
そんな名もない海があなたを待っています。