働く夏の日｜リアクション

働く夏の日

○リサイクルショップ五所川原

　旧市街に10年ほど前から経営されている、リサイクルショップ五所川原。
　扱ってる商品は幅広く、家具家電からゲームのハードやゲームソフト。スペースは狭いが古本も置いてあるし、何故か楽器なども扱っていて、節操がなく、よく探せば何でもある。
「こんにちは～、ゲーム買い取ってください」　
　飛び込んできた小学生に、店主の五所川原隆道が尋ねる。
「なんだこんな時間に。学校はどうしたんだ」
「とっくに夏休みだよ～。いくらになる？」
　ゲームソフトと親の承諾書をカウンターに出し子供が尋ねる。
「ケースと説明書はあるな。どれどれ」
　ソフトの状態を確認し、相場表をチェックする。
「５００円だな」
「やすっ！　もうちょっと色つけてよ、よっ店長男前！」
「褒めても高くならねえよ」
　苦笑する隆道に、子供はふくれっ面をしてみせる。
「ちぇー。まあいいや、そのお金でこれください」
　なんだかんだ言いながら、中古のソフトを買って嬉しそうに子供は出て行く。
「おーおー、何か最近変な時間にガキが騒がしいと思ったらもう夏休みか、どーりで暑いはずだぜ」
　見送った隆道はカレンダーを見ながらつぶやいた。
「ま、空調のきいてる店内にいる俺なんかはまだ恵まれたほうだけどな」

「こんにちは。ふー暑かった」
　汗を拭き拭き入ってきた客に、隆道は声をかける。
「らっしゃい、なんだおばちゃんじゃねぇか、よく来たなぁ、どうしたんだ？」
「聞いてよ、この暑いのにクーラーが壊れちゃってねえ」　
　ここから片道３０分以上はかかる、クーラーの室外機とかもアクロバティックなところに取り付けてる家に住んでるおばちゃんだ。
「あ？　修理？　いやそりゃ最近出張サービス始めたけどよ、一応予約してくんねぇと……」
　隆道は手先が器用で、頑張れば何でも直せるらしく、壊れた家電などを持ってくる年寄りや主婦などが後を絶たなかったが、最近はそういうのが面倒になって、時間があるときに依頼があった家に直しに行ったりしている。
「そう言わないで頼むよ。ここまで出てきたんだから」
「あー、でも寝たきりのばあちゃんもいんのか……分かった分かった、んじゃ一時間したら行くからちょっと待ってな、その代わり修理代は普通の電気屋より高いぞ？」
「一時間もかかるの？　スイカごちそうするからまけといてよ」
「そう来たか……」
　巨漢で口は悪いが、評判は悪くないのは面倒見の良さの所以である。

　おばちゃんの家まで修理に出向くと、宮祀智瑜が寝たきりのおばあちゃんと話していた。
「こんにちは、五所川原さん。おばあちゃん、クーラー直してもらえますよ、よかったですね」　
「宮祀青果店の嬢ちゃんか」
　配達ついでに話し相手をしていたのだろう。
「お疲れ様です。おばあちゃん暑くて大変みたいなので、よろしくお願いしますね」
「わかったよ。スイカのために頑張るか」
　隆道も寝子島の出身、宮祀青果店には昔からなじみがあるのだ。
「あ、もうこんな時間……失礼しますね。おばあちゃん、お大事に」
　入れ替わりに帰っていく智瑜だった。

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