灯篭流しの夜は更けて｜リアクション

灯篭流しの夜は更けて

「運営のテントの片付けも始まったのだ。市子ちゃんは手伝わないのだ？」
「ああ、ちょっとヤボ用済ませたら手伝いに行く」
　獅子島市子は、あちこちを撮りまわっていた後木真央と別れ、一人で川辺に向かった。
　人はもう、スタッフを除いてほとんどいなくなっていた。お祭りのあとの、何とも言えない寂しい雰囲気。
「今日最後のひと仕事、すっか」
　市子は残っていた最後の灯篭を取って、念を入れながら火をつけた。誰に向けて、というようなものはない。敢えて言うなら、今夜送られた全ての霊に向けてのものと言えるかもしれない。
　市子は、水面に柄のない灯篭をそっと浮かべた。たった一つの灯篭は、今年のお盆の終わりを告げるかのように、ゆっくりと下流に流れていった。
　市子は一言だけつぶやき、川べりから去っていった。
「―――また、来年な」
　冷たい風が、山の方から吹き降ろしてきた。

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あとがき

担当マスター：三城俊一
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三城俊一です。今回もシナリオご参加ありがとうございました。

猫又川灯篭流し、いかがでしたでしょうか。

ある人は幻想的な風景を楽しみ、
ある人は気になる人に淡い想いを抱き、
ある人は自分のルーツに思いを馳せる。

それぞれのキャラクターの過去と現在が詰まったアクションを形にするのは、楽ではないですが楽しい作業でした。
（ちなみに、一番楽しくかつ時間を食って大変だったのは、浴衣の柄を考えている時でした）

未熟な構成ではありますが、どうか、楽しんでいただければ幸いです。

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