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炭に落ちた甘辛いタレの焦げる匂いに、
中之条 靖史
は家の軒に挟まれた路地裏の夕空を仰ぐ。
確かこの辺りに焼き鳥屋が一軒あったっけ、と夕暮れの路地を見回して、
「ん?」
軽やかな風鈴の音が通り抜ける路地の向こう、見知った背中を見つけた。天然パーマの短髪、福々しい背中、半袖シャツから覗く柔らかそうな二の腕。
「おう、クラちゃん」
作家仲間の
南戸河 蔵人
に、靖史は明るい声を掛ける。軽く掛けられた知った声に、蔵人は人懐っこい笑顔で振り返る。
「おーす、やっさん。何かこうして会うのも久しぶりだね」
「取材か何かか?」
蔵人が片手に持ったメモ帳を目に留め、靖史はちらりと首を傾げる。体型も相まって柔和な印象が強い蔵人は、夢と魔法に溢れた童話や、想像力を駆使した冒険小説を書く。とは言え、本業とする童話や冒険小説よりも、エッセイの方が売れているらしい。
「籠もってると何にも浮かばない時もあるよね」
メモとペンを胸ポケットに仕舞い、蔵人は照れくさそうな笑みを浮かべた。
「やっさんこそ、取材?」
「ま、ぶらぶらと」
靖史は伝承関係のルポを本業としている。とは言えこちらも、現地取材の合間に片手間で書いてみた『ヤスシのぶらり独りメシ』と題したグルメルポに人気が偏っており、伝承ルポライターとして内心複雑な思いがある。
本当に読んで欲しいものが売れない作家同士、二人は顔を合わせて困ったように笑いあい、
「折角だし、ちょっと一杯引っ掛けていかない?」
「とりあえず立ち話もなんだから飲みに行こうぜ」
ほとんど同時に同じ事を口にする。
「こうして再会したのも何かの縁だ」
「だね」
頷く蔵人の前に立ち、靖史は記憶を頼りに路地を進む。途中、白い頬をふうわりと薄紅に染めたほろ酔いシスターと、千鳥足のシスターをさり気なく気遣って歩く銀髪の神父と擦れ違う。
道の先に辿り着いた目当ての焼き鳥屋は生憎の臨時休業ではあったけれど、
「お、こういうのも風情があっていいね」
店員と女将に店先の簡易ベンチを勧められ、蔵人は嬉しそうに頬を綻ばせる。
蔵人と並んで座り、靖史は七輪の前にしゃがみこむ熊の風貌の店員と浴衣姿の女将を見遣る。夏の夕暮れ、今日は酒と焼き鳥と、仕事の話をつまみに一杯やるのも悪くない。
「とりあえずビールでいいですか」
自分の分なのだろうか、空になったジョッキを掲げて暢気に訊ねる店員に、靖史は頷く。
「あと折角だし地酒なんてあればいいね」
「あ、私ビール駄目なんで、……冷酒でお願いしますわー」
はいはい、と店員がおそらくはいつもの営業時よりも気楽な口調で笑い、店内に引っ込む。
「ごめんなさいね、ちゃんとしたものお出しできなくて。おつまみ、焼き鳥くらいならお出しできるけれど、どうしましょうか」
胡瓜と茄子の糠漬けを差し出し済まなさそうに頭を下げる女将に、靖史と蔵人は揃って首を横に振る。
「いえ、こういうのも楽しいですよ」
靖史が礼儀正しく微笑み、
「つまみは、とりあえず鳥かな」
蔵人が場を和ませる大らかな笑みを浮かべる。
「何にしましょう」
靖史にジョッキビール、蔵人にコップに注いだ地酒の冷を手渡して問う店員に、グルメレポに定評のある伝承ルポライターはちょっと考える。
「カシラにネギマ、ナンコツ、あとシシトウがあると嬉しいです」
「シシトウなら、さっき届いたばっかりのいいのがありますよ」
「お、じゃあお願いします。塩で頂けますか」
丁寧に注文し、エッセイが人気の冒険小説家に向けてジョッキを掲げる。
「そんじゃま、くらちゃん……とりあえず乾杯」
「おっし、ではでは、乾杯ッと」
ジョッキとコップの縁を重ね、互いに一口。夏の暑気を吹き飛ばす酒精に、思わず揃って深い息。
「で、どうよ最近」
蔵人が酒の肴の仕事話に水を向ける。
「本業の方のネタは見つかってる?」
「んー」
胡瓜の糠漬けを齧り、靖史は眼鏡の奥の眼を細める。
「そう言えばこの前ドライブしてて魚市場でちょっと気になる話を聞いたぜ」
世間話でもするような軽い口調で話し始めるのは、ここ最近の海の様子。
「巨大サンマが大量襲来したとか、蛍烏賊が空を舞ったとか、果てはクラーケンが現れた、だの」
漁師たちの間で噂されていた海に関する怪異を指折り数え上げ、隣の蔵人をちらりと見遣る。
冒険小説に出来そうな話に、蔵人は興味深げに瞳を輝かせ、美味そうに酒を口に含む。いい酒の肴が提供できたかな、と靖史は冷えたビールをあおる。
「噂話を聞き集めていくうち、『落神伝説』に辿り着いた」
「落神伝説ね……」
「知ってるか、くらちゃん」
「伝承によると、ひとつ、ささやかな願いをかなえた時、世界を救う神様、だったか」
「そう、その『落神伝説』とやらが関わってるそうだ」
心底楽しげに言葉を交わす二人の作家の邪魔をしないよう、店員が簡易ベンチの端にそっと焼き鳥とシシトウの皿と地酒の二合瓶と靖史の分のコップを置いて去る。
「ふーむ、なるほど」
「にしてもよく知ってたな」
ふくよかな顎に手をやり目を輝かせる蔵人の空になったコップに酒を注ぎ、靖史は新しいコップに自分の分の酒を手酌する。
「まあ、この島に住んで暫く経つからね。それ位は知ってる」
「どうだいくらちゃん、仕事の匂いがしないか?」
「確かに話を聞く限り実に混沌とした感じがぷんぷんしてるわ」
らっかみ様ね、と呟き、蔵人は黄昏の空を仰ぐ。
遠い昔、この島に空から落ちてきて、そうしてまた空に帰ったという神。
「その神様が持っていた、ささやかな願いってのはなんだったんだろうね?」
空を見つめる蔵人の目に、童話作家らしい優しい光が宿る。
「案外、こうやって酒を飲んで美味い物を食べる事、だったりして」
ひととしてフツウの日々を過ごすこと。
「神様ってそんなものかもしれないね」
「神様ってなどんな生活してんだろな」
神様が憧れているかもしれないささやかな酒宴に興じながら、靖史は蔵人の視線を追うて空を仰ぐ。自由業の身にはそう関係はないが、世間ではそろそろお盆休みの頃だろうか。
「ひとではないからこそ、ひとの何気ない日常に憧れる……」
うん、と蔵人はコップ酒をぐっと飲み干す。胸ポケットのメモ帳を取り出し、
「ちょっとこいつは創作意欲がわいてきたぞ」
胸に浮かんだイメージを白紙に書き留める。
「お互い片手間に書いたものが売れるジレンマ、ここらで払拭してぇもんだ……と」
筆が乗り始める蔵人を横目に、靖史は焼き鳥と地酒の瓶をスマホで撮影する。
「ん……」
スマホ画面を操作し、撮ったばかりの写真をネコッターにアップする。『焼き鳥うめぇ』と短いコメントも添え、七輪の前で並んで炭の番をする女将と店員を眺める。一応、この店の事もネタにさせて貰おう。
「よし、」
思いついたイメージをある程度書き殴って、蔵人はメモをポケットに仕舞う。脇に置いたコップ酒を手にする。
「それじゃあ今日はらっかみ様に乾杯と行こうか」
コップを掲げ掛けた手が、靖史の手の中のスマホ画面を見た途端に止まる。女将に渡すつもりなのか、靖史の膝の上にはいつの間にか名刺も取り出されている。
「おいおいやっさん、それじゃあまたグルメネタになっちゃうぞ」
照れくさそうに頬を引っ掻く靖史を見つつ、
「ま、私もこの事を書くといつものエッセイになるんだけど」
蔵人も明るい苦笑いを見せる。
「ホント、売れて欲しい方が売れるようになりたいもんだね」
「だよな」
作家二人はのんびりとコップ酒の縁を合わせ、何度目かの乾杯をする。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月07日
参加申し込みの期限
2014年08月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年08月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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