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いつかのあの日の、
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「ありがとうございました」
夏の夕日が差し込む路地に、黒髪の少女の丁寧な声が通る。
オールバックの銀髪を僅かに揺らし、
ハクア・クロスフォード
は深い森の色した瞳を声の主へと向ける。
日暮れの路地の奥には、赤提灯を吊るした店舗が一軒。
「ここは日本の古きよき酒場ってわけね」
傍らを歩く
リリー・コルヴィッツ
が湖水色した眼を柔らかに細める。清楚なシスター服のベールから、朝陽色の金髪が零れて覗く。
「こっ、……こんにちは」
明らかに外国人な謹厳な司祭と朗らかなシスターの視線を受け、智瑜は頬を夕日の色に染めながらも頭を下げる。
「はい、今日は」
ドイツの田舎で教会併設孤児院の院長を勤めるリリーが、子ども達に向けるのと同じ慈愛に満ちた笑みを浮かべるのに対し、同じく教会の司祭であるハクアはほとんど表情も動かさず小さく目礼を返す。
路地を駆け去る黒髪の少女に手を振り、リリーは楽しげな視線をハクアに向ける。
「ちょっと寄って行きましょうよ、ハクア」
神学校に通っていた頃からの古い友人の言葉に、ハクアは感情を映し難い深緑の眼を瞬かせる。寝子島の教会に仕える養い子の元に、時折ドイツからこの島に訪れることはあったものの、地元の人々と触れ合う機会はあまりなかったように思う。
「あらあら、珍しいお客様ねえ」
「こっち、どうぞ。日本酒は飲めますか」
路地裏に迷い込んだ風情の異国の司祭とシスターを迎え、女将がおっとりと笑む。店員がいそいそと椅子を勧め、二人にコップを差し出す。
「日本のお酒は祭祀にも使われる神聖なものなのでしょ?」
女将達の厚意に甘え、ハクアと並んで簡易ベンチに腰を下ろしながら、リリーは青い眼を輝かせる。
「飲んでみたいわ」
「折角だもの、鳥も焼きましょうねえ」
二十歳半ばにも見えるリリーに一升瓶から酒を注ぐ店員の脇、女将が立ち上がり店内に一度引っ込む。
「神父さんも」
「有難う」
背筋を真直ぐに伸ばしたまま、ハクアは淡々と杯を受ける。
ごゆっくりどうぞ、と店員が炭の前にしゃがみこむ。女将が店内から持ち出した鳥を慣れた手つきで焼き始める。
日本の酒場の前に並んで座り、司祭とシスターはコップ酒の縁を軽く合わせる。
口に含めばふわりと広がる日本酒の甘い味と香りに、リリーは小さく笑みを零す。この場でいかにも浮いている自分達の様子を思い、もう一度笑む。
(でも、海外に行ったら皆こんなものよね)
特に気にはせず、日本酒を喉に流し込む。シスターのいい飲みっぷりに店員が楽しげに驚き、焼き上げた鳥の串の皿と並べて二合徳利に入れた冷酒を置く。
「日本の料理は美味いものだな」
炭火焼きの鳥を口に運び、ハクアが口元を淡く綻ばせる。
「ええ、本当ね」
女将がこっそり置いて行った糠漬けをつまみに口当たりのいい日本酒をすいすいと飲みながら、リリーが頷く。
機嫌良く杯を空けるリリーから離れたハクアの視線が、ぎくり、固まる。深緑の瞳が丸くなる。
――この島は不思議な事が起こるのです
寝子島を訪れる度、養い子から聞かされていた言葉が耳を掠める。
それでも。
(なぜ)
どうして、と思わずには居られなかった。
隣には、いつの間にか養い子の父である友人が静かに座していた。何十年も前にこの世を去った、友人。
まるでずっと隣に居たかのように、彼は瞠目するハクアを真直ぐにその瞳に映す。そうして、あまりにも穏やかに微笑んだ。
ハクアは忘れていた息を取り戻す。今は亡き友人を見つめ、
(神父としてあるまじきことかもしれないが)
「久しぶりだな」
微笑む。目の前の死者と、語り合いたかった。
リリーにも彼の姿が見えているのだろうかと傍らを見遣って、ハクアはまた瞠目する。
瑞々しい瞳の縁を紅色に染めて、シスター・リリーが泣いている。
人前で泣かないシスターの大粒の涙に、ハクアは微かに眉間に皺を寄せて動揺する。酒が入っているせいだろう、と半ば強引に結論付けて心を落ち着かせる。
「もうっ、」
シスター服の長いスカートを白い両手で握り締め、リリーは気のおけない古い友人二人の前で感情を露わにする。
「なんで私達の前に出てくるのよ」
神学校に通っていた頃の口調で叱られ、亡き友人はあの頃と変わらぬ困った笑顔を見せる。
「……出てくるなら娘の前にしなさいよ」
「すみません」
兄と同期である灰人に、あの頃と同じに心底申し訳なさそうに詫びられ、リリーは取り出したハンカチで涙を拭う。折角の邂逅、伝えたいのはこんなことではない。
「娘は健やかに育っている」
五歳の娘を一人きりでこの世に残し、妻と共に事故死した年上の友人は、その娘の養い親を引き受けたハクアの言葉に泣き出しそうに瞳を歪める。大きく頷く。
「あの子は一人でも立派に歩き出しているわ」
「今は無事シスターとなった」
「でも昔から自分の事より他人の事を考える子だから、自分の幸せにも目を向けてくれるといいのだけれど」
リリーの言葉を聞きながら、ハクアは養い子の顔を思い浮かべる。
「お前ではなく母親似だな。ますます似てきた」
二人から愛娘の様子を聞くうち、堪えきれなくなって両手で顔を覆っていた灰人が安堵の息を零す。神学校時代の後輩二人の前に膝を折り、二人の手を取る。ありがとう、と涙声で繰り返す。
ハクアは先輩の手を握り返し、立ち上がらせる。昔、神学校に通っていた頃も、年上なのによくミスをし、その都度ショックを受けて蹲る灰人の手を取って立ち上がらせていた。
「お前は本当に昔から手間がかかる」
リリーと二人で灰人先輩のフォローをした。
「本当よ」
酒精に頬を薄紅に染め、リリーが灰人の手を叩く。
「いつもどこか抜けていて」
子どもにするように、灰人のはねた髪を手櫛で撫でつけ、取れかけた胸のボタンを示す。
「身だしなみをチェックするのは私の役目だったわね」
帰ったら奥さまに直してもらってね、とリリーは悪戯っぽく笑む。妻の話題が出た途端に顔を輝かせて口を開こうとする灰人に向け、人差し指を唇に当てる。
「役目から解放されたと思ったら、さんざん惚気話を聞かされたわね。当時はうんざりすることもあったけど」
「すみません」
「……でも灰人が幸せそうだったから」
亡き旧友の手を両手で握り、リリーは優しく微笑む。
「あの子にも、あの時の灰人のように幸せな顔をしてもらいたいわ」
生まれた時から知っている灰人の愛娘を、ハクアの養い子になってからシスターとなり独り立ちするまでも、独り立ちして後も、ずっと見守り続けてきた娘自身の幸せを、リリーは願う。
「ありがとう」
手を取り立ち上がらせてくれた二人に、灰人は深く頭を下げる。
「本当に、ありがとう」
灰人の手を握り締めたまま、ハクアはこの不可思議な会合の終わりを感じ取る。
「お前たちの魂が安らかである事をいつも祈っている」
あの頃と変わらず冷たい灰人の手の感覚が、ふわり、風のように解ける。友人の姿が夕風に優しく滲んで消えてゆく。
「会えて良かった、灰人」
ハクアは思わず追い縋ろうとした手をもう片方の手で押し止め、
「Auf Wiedersehen.」
さようなら、と囁く。
灰人の手の支えを失い、リリーがふらり、足をもつれさせる。
「酒が過ぎる」
「そう、かしら」
同期の司祭に体を支えられながら窘められ、シスター・リリーは淡く淡く、ほんの少し寂しげに微笑む。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月07日
参加申し込みの期限
2014年08月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年08月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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