あ　そ　ぼ　？｜リアクション

あ　そ　ぼ　？

　５人は物置の物色を開始。
　その間に、恋々出が先ほど襲われた猫のぬいぐるみのことを３人に話した。
「それって、ひとりかくれんぼで使う人形にそっくりじゃないか……！」
　渚砂が思わず声を上げた。
「記憶喪失なのに、よく知ってるな？」
　八神の問いに、「深雪を驚かせようとネットで調べてた」と渚砂。
　それに深雪が不服そうに答えた。
「変なもん検索してんなよ。つーか、ぜ、全然ホラーとか興味ねぇし？　今もビ、ビビってねぇし……！」
　しかし、言葉とは裏腹に、深雪はしきりに周囲を気にしている。
（って、強がってみたけどよ……、俺、ホントはお化けとか苦手なんだけど……。マジ怖いけど悟られないよう頑張るしかねぇ……！）
　本人は気丈に振る舞うが、なんとなく「あっ……」と察せるくらいに挙動不審である。
　他の４人は小動物と化した深雪をそっとしておくことにした。
「窓は、開きませんわね……。まるで別の力で押さえ付けられているかのようですわぁ」
　毒島が窓の外を覗けば、地の果てまで続く和式の墓石が立ち並ぶ光景が目に入る。
「館と違って洋式ではないのですねぇ。そしてこの高さ……、私たちはどうやら、３階以上の建物の一室にいると思われますわ」
　地表との目測で、自分たちの部屋が建物のどのくらいの高さにあるのか、彼女は見当を付けた。
「とあるゲームでは傘が便利武器なのだよ!!　必殺アンブレラなのだよ!!」
　恋々出は鉄の傘を発見した。
　骨組みも壊れておらず、新品同様だ。
「あー、鋼球は流石にないか……」
　既に鉄パイプを入手済みの深雪は、指弾で使えそうな弾を見繕っていた。
「深雪！　ナットとボルトはあったぞ！　あと暗いからマッチ！　たくさんあるぞ！　ハサミも見付けた！」
　渚砂はクセ毛を今にも犬の尻尾のように動かしそうな様子で深雪に擦り寄ってきた。
　そのポケットにはマッチをたくさん詰め込んでいる。
「近ぇよ、渚砂！　しかもマッチそんなに持っていくのか？」
「照明にもなるし、ネットの通りなら、この先は火が必要になると思うぞ。それに……」
　渚砂の言葉を遮るように恋々出がハイテンションに口を開いた。
「そういえば、カンテラが廊下にあったんだよ!!　それで使うからいっぱいあるんだよ！」
　恋々出の意見に、八神が「間違いないだろう」と同調した。
　マッチは10箱。渚砂は５人で２箱持つように分配した。
「ところでやがみん、何を探しているのかなっ？」
「早速あだ名か」
　八神は苦笑しながら、食器棚らしきタンスを引っ掻き回していた。
「あった……。猫の話を聞いて、防刃にトレイが使えないかと思ってさ」
　四角いトレイを服の下の腹に当て、適当な布切れできつく巻き付けた。
　他にも、裁断バサミと靴墨を発見した。
　倉庫メンバーも八神に習って、お腹をトレイでガードした。
「燃料も発見しました。渚砂さんのおっしゃることが正しければ、燃料も必要でしょうねぇ」
　毒島がガラスの小瓶に入った燃料用アルコールを発見した。纏まった束のロープも持ち去ることにした。

　と、廊下から少女の大声が聞こえてきた。
　５人は倉庫を飛び出し、声の元へ向かうことにした。

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