ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】｜リアクション

ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】

　　【ボンゴレ最強伝説】

　「待ってろよ……よーた。これから……美味しい、ボンゴレを作るから……」
　「ボンゴレぇ？」
　幼児化した呉井陽太に、榊彩斗の出した料理名は分からない。
　しかし、何となく彩斗が目の前のハマグリの切り身を美味しくしてくれるのは分かる。
　「よーた……あぶないから下がってるんだぞ……？」
　そう言って、愛しく堪らないとばかりに優しく陽太の頭を撫でる。
　……先ほどの事例といい、これは正に過保護の極みレベルまで達していた。
　これ以上追求すると在らぬ疑惑まで立ち湧きかねない。

　「ハーイ。オレ、おとなしく待ってる♪」
　そう言いつつ、可愛らしい足音を立てながら彩斗の後に下がる陽太。
　そんな陽太の可愛らしさにメロメロになりながらも。
　かなりの手際の良さでハマグリの砕けた貝殻を取り除き、真水に漬けて砂抜きを忘れずに。
　フライパンには、そのハマグリとにんにくを一緒にオリーブオイルで炒めて、茹でたパスタを加えて出来上がり。

　「よーた……ボンゴレが……出来──！？」
　振り向いた彩斗は、その光景に驚愕した。
　料理に手間隙を掛けている間。なんと陽太は、自分の意思でフォークやお皿の準備をしていたのである。
　「ふぅ～。こんなもんかなぁ」
　「……！　よーた……！！」
　きちんと人数分の用意を終えた陽太を綾斗が感極まってひしっと抱き締める。先ほどの「ク○ラが立ったわ！」の再現である。
　しかし、今度の目撃者は、倉前七瀬一人ではない。　
　今度は、いろんな人の目の前で、幼児と青年のきゃっきゃうふふは繰り広げられた。言い訳の仕様は無い。

　──片方が幼児で良かった。本当に。

　【ボンゴレ２種類目、完成！　１種類目と風味が違うよ！！】

　　【料理は本気です(もちろん戦闘中でも本気です)】

　握利平はまな板の上に置かれた目の前の具材に集中していた。
　ハマグリの堅い貝殻にダイビングヘッドをかます事を恐れない彼であったが、料理はそうはいかない。
　料理が得意な彼にとって、料理はとても崇高なものなのだ。
　選んだものは、ハマグリの「貝足」の部分。
　よく動く筋の塊の一部であるため、大変よく旨みが詰まっている。　
　「堅いのが難点っつっちゃー難点だが、そこは料理人・握利平の出番だぜ」
　言いながら、ステーキくらいの大きさにざっくり切り分けてから、こっそりと隠し包丁を入れていく。
　「後は、レモン醤油とコショウも少々だな……レモンの酸味とコショウの隠し味が夏っぽくていいな」
　空腹の食欲に任せて、まずは自分の分、と作ってみたが漂う良い香りに、他の人にも味わってもらえたらと思い。
　さり気なく、気が付けば他の人にも充分振舞えるだけの量を作り終えていた。

　「よーしっ。早速味見──」
　沢山作った中の最初。早速、自分の分のステーキを味見する。
　歯ごたえ噛みごたえは最高だ、
　しかも、隠し包丁のお陰で噛み過ぎで疲れることも無い。
　「よしっ、隠し包丁も正解だったな。
　味も絡みやすくなって良いことだらけだ！」

　こうして、利平は誰にも負けないと自負できる安定の技量を持ってしてハマグリステーキを完成させた！！

　【焼きハマグリステーキ、一丁完成です！！】