ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】｜リアクション

ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】

　　【ダイエットは無事失敗しました！】

　「ひっく、あ、あーちゃんこわくないもぉん……！」
　砂浜の波打つ境目に君臨した、縦５ｍ横１０ｍ以上のハマグリを前に。
　そこから丸見えの岩陰にて、その姿に震えながらも、一人の幼稚園児が様子見を行っていた。

　園児服に可愛らしいひよこ形の名札には「しらさわ　あやこ」の文字。
　大きくて、くりくりした瞳は潤んだ涙で一杯。それでも、必死に巨大ハマグリを見つめ続ける。
　もちろんそれは「敵対心」や「運命的な恋をした」等ではなく、ただひたすらに怖くて目が離せないだけ。

　幼女はただひたすらに、ハマグリを見つめ続ける。
　しかし、だんだんと恐怖心と入れ代わりに、いきなり飛ばされたこの世界に来た時から発生していた空腹感が、幼女の中に湧き上がってきた。

　潤んだ瞳、鳴るおなか、垂れそうになるよだれ。
　この姿が、寝子高の家庭科担当、白沢絢子先生だと気付き思い出す人が果たして何人いただろうか。

　「うわぁん～！　おなかすいたよ～っ！　助けて、おにいちゃん、おねえちゃぁ～んっ！！」

　更に発動！　白沢先生の無自覚ろっこん！！【今日からダイエット】！

　【発動条件】お腹がすく
　【能力】幼児に変身する。衣服や鞄など身につけているものも年相応に変化する。

　幼女の叫びがこだました。
　白沢先生のろっこんを、半暴走状態で撒き散らしながら……！

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