事の起こりは、とある古本市での事。
学校の帰りに、いつもの日課の如く、
倉前 七瀬は何かに誘われるかのように、そこに足を向けた。
ここには様々な本が置いてある。
活字中毒の彼にとっては、寝子島のあちこちで時折開催される古本市はオアシスの様な場所だった。
その中で一際珍しい古ぼけた本がある。七瀬は思わず手にとってその背表紙を見た。
『魔術師の召喚術、ドラゴン召喚の儀』
のっけから胡散臭い。余りに極めて胡散臭い。
どうしようもない位に有り得ない。そんなもの、嘘に決まっている。
しかし、七瀬は興味本位からその本を手に取っていた。
今日の古本市は在庫処分を兼ねているらしく、その本は『激安! 1円コーナー!』という籠の中に入っていたのである。
更には、その本は表紙はもちろん装丁が完全にボロボロ状態。
明らかに、色々な意味で(内容とか売り上げとか)何かが諦められた本である事には間違いなかった。
しかし七瀬にとってはそれはどうでもいいことだった。
活字中毒の彼にとっては、本は活字を読む為にあるものだからだ。
もちろん、内容も興味が惹かれればそれに越した事は無いが。
──そう、例えばドラゴンの召喚方法を生真面目かつ事細かに記載した本とか。
「……いや、何事もやってみん事には……とも言うしなぁ」
最初こそはその様な事を言いつつ、手に取り訝しがっていた彼であったが、せっかく手にした本である。
更にはネタ的に面白い事が書かれていれば、それはそれで好奇心がうずくというもの。
もちろん七瀬にとって、それはドラゴン召喚についても例外ではなかった。
そして夕暮れ時を過ぎた、夜。
海辺の砂浜には、タイミング良く観光客の姿も無い。
岩陰から砂浜を覗き込み、七瀬はさっそく魔法陣を砂浜に拾った棒で書き込んでみる。
そして、彼はついに召喚の呪文を唱え始めた。
「ドラドラコイコイ~、ドラドラコイコイ~……」
もちろん、召喚儀式をやったところで、普通ドラゴンなどが出てくるはずも無い。
七瀬もそれは承知である。ネタとしてチャレンジする事に意味があるのだ。
そんな思いもあり、呪文は気抜けして間延びした、非常に牧歌的なものになった。
しかし、その間延びした呪文が、功を奏してしまった──
七瀬が目を閉じ祈っている間に、ふわりと漂う神魂のかけらが、そのまま魔法陣に溶け込んでしまったのである。
ボムッ!と激しい音がして何か、生物の気配がする。
「おお! 何事もやってみんばって……ね…
──────」
叫ぶ間もなく、七瀬は現実を見て絶句した。
魔法陣の上には、七瀬の知っているドラゴンの姿は何処にもなく。
そこには、縦5m横10m以上の、一匹の巨大なハマグリが、まさに鎮座ましましていたのである……!
はじめまして、こんにちは。冬眠と申します。
シナリオガイド登場に倉前 七瀬さんに登場して頂きました。有難う御座います。
昔の逸話では、ドラゴン(龍)を目指し修行中である蛤(ハマグリ・蜃という仮想の妖怪という説も)は、楼閣の幻を見せ人を惑わせる霧を吐くと言われています。
さて、今回の巨大ハマグリはどうでしょうか。
今回のミッションは、
【召喚の影響で、寝子島そっくりの別世界に飛ばされました。
脱出の為、攻撃してくる巨大ハマグリをろっこん・物理問わず、好き勝手に倒して頂き、最後に皆で美味しくいただこう計画】
です。
誰が立てたのか、誰の目にも留まるところに、のほほんと立った看板にも書かれています。
『あなたは~、ハマグリを~、食べたくて~、仕方が無くなる~♪
(ハマグリを食べると元の世界へ帰れるよ☆)』
頭が悪い看板内容ですが、別世界の影響でお腹はぺこぺこ、ハマグリが美味しそうに見えて仕方がありません。
心行くまで海の幸(?)を堪能しましょう。
【NPC・その他】について
・NPCは、家庭科担当の白沢 絢子先生が、空腹による自覚なしろっこん『今日からダイエット』を発動させ、幼児状態で迷い込んでしまっています。
ハマグリをおばけだと思い込み、丸見えながらも岩陰から様子を伺っています。
空腹のためか、ろっこんは若干暴走状態です。この世界に来た瞬間に、影響を受けて幼児状態になってしまう方もいるかも知れません(ご希望者のみ)
開始直後から思考も体も幼児です。そんな幼児になってみたい方は必ずアクションにその旨の記載をお願い致します。
・他のNPCは出てきません。
・ハマグリを満足いくまで食べ終わった時点で神魂効果は切れます。
手順的には、
1.ハマグリを退治します。
ハマグリは、男女問わず【下着を残して服を溶かす】超ご都合主義の霧を吐いて攻撃してきます。(ご希望者のみ)
【男女問わず】セクシーになりたい方は、その旨の記載と「下着の形と色」を忘れずに。下着描写表記が無かった場合には、MSが勝手に妄想致します。
2.ハマグリを調理します。
こんな世界で誰かが用意したのか知りませんが、キャンプ機器が一通り用意されています。
※置かれている物の意図はあくまで調理用です。
調理方法・味はアクション準拠で。複数の同じ料理が並ぶのも、もちろんありです。
3.実食
食べます。
親切にも人数分の紙皿、プラスチック製のナイフとフォーク、飲み物が用意されております。
※飲み物:お茶、コーラ、スポーツドリンクなどバラエティに富んでいます。
※大まかに行動が3フェーズに分かれておりますが、行動は2フェーズまでに絞って下さい。
3.の『食べるだけ』も大歓迎ですが、調理する人が誰もいない場合、
生でかじって食べる事になります。お気をつけ下さい。
幼児化や何をやるかなどを含めまして、コメントページでのご相談も大歓迎です。
【注意】
異世界は寝子島に酷似しています。場所はの寝子島での「寝子ヶ浜海岸の砂浜」となります。
また、たいていのものは(ちょっとした武器も含めて)既に持っている状態からのスタートでも問題ありません。
巨大ハマグリを見て慌てて取りに行くアクションも無くて大丈夫です。
今回はコメディです。コメディです。
ですが、参加者様がされたら不快に思うであろう内容はマスタリング対象です。
その際にはGAを組んでいただけるようにお願い致します。GAを組んで頂ければ思い切り書かせて頂きます。
それではご縁がありましたら、リアクションでお会い出来ます事を願いまして。