ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】｜リアクション

ドラゴン喚ぼうぜ！【蛤】

　　【召喚にゃんこはハマグリカレーの夢を見るか】

　「食べてみたいものならいっぱいあるのだ、潮汁、煮ハマ、焼ハマ、酒蒸しなんかも捨てがたいのだ！
　でも普段作ったことないものばっかりだからレシピが分かんないのだ～！？」
　どこから真水を汲み出し、どこから燃料を持ってきてガスコンロに火が付いているのか分からない完全なキッチン状態のキャンプ場のシンクを前に、真央は全力で猫のように鳴いていた、もとい叫んでいた。
　そして、先程から取り出したるはスマートフォン。
　これが、異世界お約束の(もちろん、電波が届く世界がある可能性もあるが)電波遮断で使えない！
　
　「うあ～、そういや蛤も浅利も生で食べたことないのだ帆立は食べられるのに不思議なのだ……生食不可食品なのだ？」
　確かに海外には『ハマグリ生で』文化はあるのだが、ビタミンもとい元気の元を直撃して破壊していく酵素がある為、日本では生食は勧められてないもようである。

　「しかし、ここで食べなければ、食キングの名が泣くのだ。
　しょうがないのだ最後の手段なのだカレーにするのだ。
　──お肉の代わりに蛤入れた蛤カレー、１度食べたら忘れられない美味しさと聞くのだ！
　海鮮カレーなら大体作り方分かるのだチャレンジなのだ」
　
　真央はさっそく、まだ貝殻の上に乗っている巨大ハマグリの身をザッパリと切り捌く。
　一口サイズよりほんの食欲分だけ気持ち大きく、細かく切り分け。塩茹でした後冷蔵庫へ。
　そして、にんじんとたまねぎは、みじん切り。
　じゃが芋は１ｃｍの角切りへ。

　真央は肉無しカレーの要領で、その手順を極めて手際よくこなしていく。
　家事をしっかりこなせる、将来良いお嫁さんになれそうだ。

　その合間にも、真央はその手を休めない。
　入れるルーの辛さは『辛い』と『中辛』の半々に。
　野菜を炒め、その香り付けにもルーを使用してからジャガイモが溶けないように良く煮込む。
　傍らで、何故か使用可能な炊飯器もあったが、ここは敢えての飯盒炊飯。
　「炭火焼きでうまうまなのだ」
　そして一生懸命火を起こす。人が沢山いるので、その分ご飯も沢山だ。
　カレーのルーを投入して、仕上げ用にもほんの少し香り付けとして残しておく。

　そのカレーの香りに惹かれるかのように、そこに樋野秀吉と同様に開放された鬼河内巌がやって来た。
　「ん？　いい匂いじゃの。これはカレーに違いない！」
　背後に稲妻のエフェクトを走らせ、衝撃を受ける巌。
　「真央！　ネコを出すんじゃ！」
　「あっ、巌ちゃん！　こんばんはなのだ！
　お猫様？　かおーのことなのだ？」
　首を傾げつつも、真央はろっこんを発動させた！
　「にゃにゃにゃがおー！」

　【発動条件】にゃにゃにゃがおー！と叫び両手を丸める
　【能力】三毛猫１体召喚。召喚した三毛猫にお願いして戦闘その他１つだけ代わりにやってもらう
　
　「がおーを呼んだのだ。がおーに何を手伝ってもらうのだ」
　そこに現れたのは極めてふくふくとした可愛らしい猫の「がおー」
　疑いの無い眼差しを向ける真央に、巌はひょいとがおーを持ち上げた。
　「ネコはカレーの具じゃー！！　がははははは！」
　「がおーを食べちゃダメなのだーっ！」

　真央の半泣きとなった叫び声が聞こえてくる。
　余りのショックにおろおろと動揺しつつも、光速にも近い手際で、がおーが出汁として使われる前にハマグリの海鮮カレーを完成させた！

　【ハマグリカレー、完成！(がおーの無事も確認)】