運に見放されたあいつ｜リアクション

運に見放されたあいつ

「日暮君！」
「わかっている」
　北原の声に日暮がノートＰＣを見る。
　しばしの沈黙。
「あれ？　増えてる……」
　GPSの反応はなぜか三つに増えていた。
　絶句する一同。
「すごい……。あの子って増えるんですね」
「いやいや、わかめじゃないんだから」
　感心する宮祀と呆れる八十八旗。
「理由はわからないけど手分けするしかないな」
　八神の意見に皆が賛同する。
「柿内、お前が割り振りを考えろ」
「えええええ？」
　大和の絶叫。
「今回の捜索はお前のねこったーへの書き込みから始まったんだ。任せるからやってみろ」
「も、もうどうなっても知らないっすよ！」

　五分後。
　大和によって組分けがなされる。
　Ａ班。
　御剣刀。
　北原みゆき。
　日暮ねむる。
　瀬田レオナ。
　西村成海。

　
　Ｂ班。
　立井駒鳥。
　吉祥寺黒子。
　八十八旗信彦。
　塔ヶ崎瑠亜。

　Ｃ班。
　柿内大和。
　八神修。
　宮祀智瑜。
　旅鴉月詠。

　各組に被害者を分散させたか。いい組み分けだ」
「なんか疲れた……異様に疲れた……」
「おいおい、しっかりしろ。戦はこれからじゃ！」
「そうだよ、柿内君。こんな所で休憩している場合か」
　立井と八十八旗が大和を抱え起こす。
「個性きつすぎるんすよ……。それよりまだ二人足らないんすけど」
　メンバーを確認した大和が気付く。
「風雲児と恵御納だな」
「夏朝ちゃん遅いねぇ。用事があるって言ってたけどなんだろ？」
「風雲児も遅いな。少しでも人手が欲しいというのに」
　北原と八神が周囲を見渡す。
「恵御納夏朝さんと風雲児轟（ふううんじごう）君すよね？　どうしたのかな」
　大和がメモ帳を確認していると、
「僕が行ってあげよっか？」
　ヨルが申し出た。
「無関係の君をこれ以上巻き込むわけにはいかない」
「困っているんでしょ？　人捜しは少しでも人数多い方がいいよ」
　少し考える面々。
「勝手について来られても面倒だ。連れて行こう」
　じっとヨルを見つめていた八神が言うと、ヨルは嬉しそうにＣ班へと加わった。