運に見放されたあいつ｜リアクション

運に見放されたあいつ

　集合場所のシーサイドタウン駅前。
「柿内大和っす！　この度は呼びかけに応じて下さり、恐悦至極……」
「かったいのう。そんな堅苦しい挨拶はいらん」
「だいたいなんで敬語なのさ」
　柿内大和の挨拶を遮る立井駒鳥（たていこまどり）。
「は、はぁ。敬語は癖なもので。とにかく遅れて申し訳ないっす。来る途中で自転車に激突されました」
　背中のタイヤの跡をみんなに見せる。
「うわぁ。クッキリついてるなぁ。大丈夫だったかい？」
　思わず眉をしかめる八十八旗信彦（とどろきのぶひこ）。
「柿内くん。こちらへ来ないんですか？」
　その場から動こうとしない大和に宮祀智瑜（みやまつりちゆ）が首を傾げる。
「いいんすか？　自分が近くにいても」
「あ～……そういや、近くにいる人間も不幸になるんだっけ？」
　八十八旗の言葉に、心なしか皆と大和の距離が開く。
「ほらね……」
「アッハッハ！　冗談冗談！　落ち込むなって」
　大笑いしながら大和を抱き寄せる。
「そうだ。だいたいそんな噂を気にするようなら最初から参加しないさ」
「おう！　そんなヤワな奴ぁここにはおらん！　どこまでも一緒じゃ！」
　八神修（やがみおさむ）と立井の言葉に、大和はようやく笑顔を見せた。
「そんなに離れていては打ち合わせもできない。こっちに来い」
　旅鴉月詠（たびがらすつくよみ）に言われて、大和はようやくみんなの元へと歩み寄った。

「ところであそこにいるのって北原みゆき（きたはらみゆき）さんっすよね？」
　大和が道路の向こうにいる北原を見ながら尋ねる。
「ああ。ほら、あっちにはカフェテラスに日暮がいるだろ？」
　八十八旗がカフェテラスにいる男子を指差す。
「日暮って、日暮ねむる（ひぐれねむる）君すか？　参加者っすよね」
「ああ。なんか二人で作戦あるみたいだよ」
　自分を見ながら話していることに気付いた北原が駆け寄ってくる。
「柿内大和っす。よろしくっす」
「よろしくぅ。そうそう、夏朝ちゃんはあとで合流するって」
「おお、恵御納夏朝（えみなかあさ）か。頼もしいのう」
「じゃあ私は元の場所へ戻るねぇ」
　そう言うと北原は元いた場所へと駆けていった。
「とりあえず俺達も移動するか」
　八神のあとに皆が続く。
「まだ人数揃ってないですけど」
　大和が人数を数えながら言う。
「ああ、残りのメンバーならすでにあっちで待機している」
　八神が道路を隔てた向こう側を指差す。

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