運に見放されたあいつ｜リアクション

運に見放されたあいつ

　悪怪の力から解放された立井が気持ち良さそうに体を伸ばす。
「兄達がご迷惑かけました」
　少女の言葉に皆脱力する。
「お兄さんなのか？」
「うん。私達みんな悪怪。兄達の能力危険。だから私が止めに来た」
「止めに来たってことは、あなたは悪い人じゃないでしょ」
「ううん。悪い人。人の物を盗んじゃうから」
「でも、あなたは柿内くん達に悪い事が起こらないために盗んだんでしょう？　だったら悪い人とは言い切れないです」
「これからは勝手に人の物を盗っちゃダメだ。わかったかい？」
「でも、いきなり知らない人から、お前の持ち物に悪霊憑いてるって言われても信じないよなぁ」
「それはそうよねぇ。怪しい人だと思って逃げちゃうわ」
「つまり……そういうことか」
　御剣が少女の頭にそっと手を添えると、少女も笑みを見せた。
「おーい、こんな小さな子までたぶらかすんじゃないぞ」
「はぁ？　俺がいつたぶらかしたんだよ！」
　そんな中、宮祀が少女へと歩み寄った。
「あなたはこれからどうするんですか？」
「他の兄を探して旅に出る」
「他にもお兄さんがいるんですか」
「うん。たくさんいる」
「た、たくさん……」
　その後、盗んだ物をそれぞれに返した少女が再度頭を下げる。
　そして、少女はまたフードマントをかぶって旅立って行った。

「そういえば風雲児轟くん、結局来なかったっすよね」
　気付いた大和が皆に尋ねる。
　どこか落ち着かない面々もいるが、
「よっ、終わったみたいだな」
　そこへやって来たのはツンツン頭の男。
「風雲児、やっと来たのか」
　特に驚いた様子もなく声をかける八神。
「この人が風雲児君すか？　今までどこ行ってたんすかぁ」
「ちょっとな。盗まれた物は取り戻せたかい？」
「ええ。それにしてもよくわかったっすね？」
「なあに。ヒーローが教えてくれたのさ」
「もしかしてザ・ストレイトって人っすかっ？」
「ああ」
「うおおお！　あの人は本物っすよ！」
　また興奮する大和の左胸に拳を添える風雲児。
「お前にも熱いハートがある限り、ヒーローの資格はあるんだぜ！」
「おおおお！」
　やたら熱い空気に包まれる二人。
　そこへ瀬田の歌声が響く。

　一行は夜の動物園内にいつまでもいたという。

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あとがき

担当マスター：裕竜
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございます。裕竜です。

　謎の少女に「災いをもたらす物」を盗まれると不幸になるという矛盾。
　その理由や少女の正体についてはすぐに思い浮かびましたが、みなさんのアクションがどのようなものになるかは、毎回予想はするのですが、そんなものを遥かに上回る内容で驚かされます。
　私は妖怪や未知の生物というものが好きでして、今回の少女やその兄達も、
「こういう人（？）が町のどこかにいれば面白いな」
　と、考えながら書いていました。
　もしかすると彼女たち以外にも、まだまだ悪怪というものがいるかもしれません。

　今回のご参加、ほんとうにありがとうございました！
　またお会いできる日を心待ちにしています！

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