故郷での夏休み｜リアクション

故郷での夏休み

●幼馴染みと過ごす楽しい時間

　８月上旬。
「夏休みといえば帰省！」
　ということで、回転院環は、幼馴染みの神堂坂呼水と一緒に帰省することに。
　幼馴染みなうえ、家族ぐるみのお付き合いをしているふたりなので行きも帰りも一緒だ。
（帰省の間は、よっちゃんと一緒なのさー！）
　双方の実家に連絡して帰省することを伝えたふたりは、互いの実家に２泊することにしたのだった。

　帰省１日目は、環が呼水の実家で過ごすことに。
「今日は、よっちゃんの家にお宅訪問ー！」
　んふふと笑い、軽い足取りで神堂坂家に向かう環。
「たまちゃん、楽しそうじゃのう」
　呼水も一緒に、軽い足取りで自宅へ。

「お邪魔しまーす！　ママさん、パパさん、久しぶりー！」
「ただいまじゃよ、父様、母様」
　嬉しさのあまり再会のハグをする環に苦笑する両親を見て、元気そうで何よりと安心する呼水。
　その後、呼水も親子のスキンシップは大事と両親にハグ。
「ハハ、さすがに、この年代の子に抱きつかれると恥ずかしいな。おかえり、ふたりとも」
　呼水の父は一族持ち前の剛運、優秀な部下に恵まれ、親子二代でかなりの大企業を築き上げた社長だ。
　そんな父も、娘が帰って来ると普通の父親の顔になる。
「何言ってるのよ、あなた。たまちゃんは呼水同様、娘みたいなものでしょう？　おかえり、ふたりとも。お母さん、張り切って夕飯のごちそういっぱい作ったから、いっぱい食べてね」
「わーい！　ママさんのお料理、たまちゃん大好きだよ！」
「そう言ってもらえて嬉しいわ」
「私も、母様の料理が好きじゃ」

　夕飯は、呼水の母が張り切って作ったご馳走だった。神堂坂家の人々と一緒に食べる環は、とても大喜び。
「ママさん、お料理すっごくおいしいよー！」
「たまちゃんが喜んでくれてなによりじゃ。あ、父様。それ、食べないならもらってええかの」
　有無を言わさず、呼水は父の皿からおかずを横取り。あとで食べようとしたのに……と落ち込む父。
「おかずを取られたくらいで落ち込まないの。私のをあげるから」
　落ち込み父を元気づけるべく、自分のおかずを分ける母。
（パパさんとママさん、相変わらず仲良しだねー。たまちゃんも、よっちゃんとずーっと仲良しでいたいな）
　仲睦まじい夫婦を見て、これからも呼水と仲良くしていこうと思う環だったが
「ママさん、おかわりー！」
　ご飯茶碗を差し出しながらだった。
「すごい食欲じゃのう、たまちゃん」
「ママさんのお料理、おいしいからねー！　まだまだ食べられるよ！」
「たっぷり食べてね、たまちゃん」

　楽しい夕飯が終わった後は、お風呂に入ることに。
「飯も終えたし、一緒に風呂にいこうかの、たまちゃん」
「うん、いこー！」
　たまちゃんと背中を流しっこしたいのう、と楽しげに風呂場に向かおうとすると、母に呼び止められた。
「？　なぜ止めるんじゃ母様？　たまちゃんと一緒に入ってもいいじゃろう？」
「たまちゃんを先に入れてあげなさい。疲れているだろうし。ね？」
　娘が環への暴走をするのではないかと心配なので、やんわりと止める母。
「よっちゃーん、早く入ろうよー！」
　風呂場の前で待っている環が呼ぶ。
　一緒に入りたい気持ちを一瞬我慢していた呼水だったが、我慢できないので環のところへ。
「すまんの、母様。私はやっぱり、たまちゃんと一緒に入るのじゃ。今、行くのじゃ」
「困った子ね……」

　神堂坂家の風呂場に、仲の良い幼馴染みの明るい声が響き渡る。
「よっちゃん、胸、またおっきくなったんじゃないー？」
「そ、そんなことはないのじゃ。そういうたまちゃんは、ウエストが細くて羨ましいのぉ」
　背中を流しっこしながら、そんな会話をするふたりだった。