大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「食キングの血が騒ぐのだ！」
　どどーーーーん！
　そんな文字を背景に、後木真央はmiaoに乗り込む。
「北海道旅行の代わりに、試食しまくるのだ！」
　今にも走り出しそうな勢いで、真央は大北海道物産展に突撃☆

（本当に蒸し暑いな）
　御剣刀はカニの着ぐるみ『たっくん』の中でそんなことを思う。
　短時間高収入。
　そんなバイト募集につらてて、刀は大北海道物産展に来ていた。
　てっきり、魚介類だの大量の菓子類だのの販売物を荷運びする重労働を考えていたのだが……。
「はい、御剣君はこれを使ってね」
　そういいながら一郎太に手渡されたのは、カニの着ぐるみだった。
　北海道名産タラバガニのたっくんだ。
「歩くときは、カニを意識して横歩きでね」
　いいながら横歩きをしていた一郎太を思い浮かべ、刀は横歩きをしてみる。
「カニかにカーニ、カニかにカーニ！」
　たっくんのテーマソングを歌いながら、刀は看板片手に横歩き。
　さかさかとは決して歩かず、リズムに乗って、屈伸を十分に使っての横歩きだ。
（そういえば、水分をしっかりとるようにも指示されていたな）
　一郎太は着ぐるみバイト達に、一時間に一回、１０分の休憩をとるように指示を入れていた。
　大物産展の会場はクーラーが効いているとはいえ、真夏の着ぐるみの中は蒸し風呂だ。
　リズミカルに動けば動くほど汗が滝のように流れ、まるでサウナ。
（いい修練になりそうだ）
　腹筋の割れた刀の身体は、この過酷なバイトも乗りこなせるだろう。　　　

「大北海道物産展なんてやってたのか」
　一太郎の呼び込みに、呉井弦月は足を止める。
『あ、もしもし母さん？　あ、父さんもいる？　そう、いまさ、miaoにいるんだけど。北海道物産展やってるらしくて。うんうん、そう。何がほしい？　……北海道豚ジャガと、バターサンドレーズン入りだね？　了解』
　即座に実家に連絡を入れた弦月は、父と母へのお土産を確認する。
　兄も家にいたかもしれないが、それは無視。
（余裕があったら買っていってやってもいいけどね）　　
　そんなことを思いながら、弦月はもうすでにかなりの人だかりになっている大北海道物産展へ足を踏み入れた。