大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「そこにいるのは刀ちゃん？　今日もバイトなのだ？」
　もぐもぐごっくん、もぐもぐごっくん。
　美味しく試食を食べて回る真央の目が、刀を捕らえた。
　刀はちょうどバイトを終えた所だった。
　イートインの裏手で着ぐるみの頭を脱いで、一休みしていた。
「よくこんなところにいる俺が見えたな」
　着ぐるみを脱ぐのに、人目につかない場所を選んでいたのだ。
「真央ちゃんの目は、友達を見落とさないのだ」
　えっへん！
　たっぷり買い込んだ買い物袋を両手に提げたまま、真央はふんぞり返る。
「後木は相変わらず元気いっぱいだな」
「そういう刀ちゃんは結構お疲れな感じなのだ。カップジュース飲むのだ！」
　真央は先ほど買っておいた大量のお土産の中からジュースを取り出して、刀に押し付ける。
　クーラーの効いた大物産展内だからか、ジュースはまだまだキンと冷えていた。
「ありがとう。変わった味だな」
　刀は真央の差し出すジュースを飲むと、そんな感想を漏らす。
　寝子島ではあまり出会わない味だ。
「試食したらおいしかったのだ。刀ちゃんもバイト終わったなら試食して回るのだ！」
「一応終わったが、そうだな、少し待っていてくれ」
　流石に着ぐるみを着たまま一緒に歩けない。
　更衣室でいつもの格好に着替えてきた刀は、真央と一緒に残り時間をすごした。　

　大北海道物産展、無事、終了！
　会議室で、一郎太は社員を集めてミーティングを開始していた。
　物産展での着ぐるみ姿とはうってかわったスーツ姿は、やはり還暦の男の貫禄がある。
「やはり物産展の売り上げは客足が違います。来月の大九州展も今回同様の配置を計画しております」
　一郎太は凛とした声で社員達に説明を始める。
　そう、大北海道物産展は本日で終了だが、今後も九州展、東北展、中国展、近畿展などなど、物産展は目白押しなのだ。
「お手元の企画書をご覧ください。今回のお客様感謝箱に入っていた意見は、着ぐるみの評判が好評だったことが第一に挙げられます」
　一郎太は軽くまとめた資料をめくる。
　miaoのマスコットとして着ぐるみを着て大北海道物産展に参加していた一郎太の人気はもちろんのこと、今回初参加の着ぐるみバイトたちの人気も相当なものだった。
「今後も、着ぐるみには特に力を要れ、物産展の売り上げ貢献に勤めましょう」
　沸きあがる拍手。
　きっと、毎月素敵な催し物が開催されるだろう。
　たくさんの着ぐるみとともに。

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