大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「おじいちゃん、こっちこっち！」
　伊藤佳奈はmiaoのチラシを片手に、ぶんぶんと手を振る。
　振っている先には伊藤善太郎がゆっくりと歩いている。
　可愛い孫娘の佳奈につれられてmiaoに来たものの、夏の暑さに少々ばて気味な模様。
「すっごく楽しみにしてたんだよねぇ～。おじいちゃん、はやくはやく♪」
　佳奈ははやる気持ちのままに、miaoの中に吸い込まれていく。
　そんな佳奈の後姿に、善太郎は黒い瞳を優しく綻ばす。
（うちの孫は元気じゃのぅ）
　まぁ、ワシもまだまだ負けてなどおられんが。
　善太郎は孫娘を見失わないよう、佳奈のあとを着いてゆく。

「いらっしゃいませにゃ！　いらっしゃいませにゃ！」
　一郎太は慣れた声色で呼び込みをする。
　その声色は、もうすぐ還暦とは思えないほど愛らしく、高く透明感がある。
　miaoでの展示会では、毎度といっていいほど、miaoのマスコット喜ぐるみを被って働いている彼だが、今日は一段と気合が入ってるようだ。
　喜ぐるみの中に二種類のインカムを装着し、手の中に隠したスイッチで容易に切り替え可能になっている。
　カチッと手のなかのスイッチを切り替えると、各部署のバイト達に指示を飛ばす。
『Ａグループはお客様の誘導を行って下さい。Ｂグループは展示物の配置を急いで。Ｃグループは、着ぐるみバイトに休憩の指示をお願いします』
　一郎太は指示を入れながら、自身も展示会場内をチェックして回る。

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