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- 00月00日生 00歳
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ネコミュージックフェスティバル ｉｎ ＳＵＭＭＥＲ！
スターステージの表舞台から、即興オーケストラの面々が奏でる『熊蜂の飛行』が聞こえてくる。
その名の通り、熊蜂の羽音を模したスピーディな曲調に急かされる気がして、塔尾 松生はジャージの裾をぐいと捲り上げる。額から溢れて頬を伝う汗を首に掛けたタオルで拭い、ついでに隈の浮いた眼の下もごしごしと擦る。うっかり昨日も夜遅くまでゲームにかまけてしまった。
ちらりと視線を巡らせる。舞台裏で衣装を纏う劇の出演者も、楽器の調律に余念がない演奏者も、大道具や小道具を運ぶ裏方も、皆がどこかしらに花を白いリボンで飾ったコサージュを着けている。
寝子島クラシック同好会、略してNCCの面々。ネコフェスの、仲間。
今回のネコフェスの大舞台で、NCCは大掛かりな音楽劇を行うことになっている。
一息吐くほんの僅かの間、松生は今日この日を迎えるまでに追われた事前準備の慌しさを思い出す。背景や小道具の作成に準備、脚本や流れの確認、照明の手順の暗記。衣装は最近WEB通販サイトで始動したばかりの服飾店『Lechat』の協力を得られたけれど、それでもすることは山のようにあった。
同級生の因幡 月子と一緒に小物の買出しにも走った。色んな店で、月子とあれはどう、これはどう、と話しながら買い物をするのは、忙しくはあったけれどとても楽しかった。
(ラジオで天気予報もチェックしたっけ)
松生の肩から提げた鞄にも、汚れるのを嫌って着けた皆とおそろいのコサージュ。花は好きなものを選べばいいと伝えられ、松生が選んだのはガーベラの花。
舞台袖に並べられた書割にも、ちらり、視線を投げる。
NCC代表代理で同学年の篠崎 響也や御陵 春哉、それに芸術科OGの鳳翔 皐月達と一緒に相談しながら描き上げた、我ながら見事な背景。
背景の下書きを一気呵成に何枚と仕上げて見せた皐月は、今はコサージュをつけた帽子を被り、用意してきた書類一式を舞台袖のクリップボードに留め付けている。
「ぶっつけ本番じゃなくて準備期間があると楽でいいな」
青天井に映える書割を仰ぎ、皐月は思わず呟く。前に自主制作映画を製作した時は、急場凌ぎばかりで散々に慌しかった。今回もそれなりに慌しかったけれど、あれほどではない。
その上、運営スタッフやバイトが居てくれる。機材の運び込みは彼らに任せ、
(私は最終調整とかだな)
暑さ対策にと用意して持ち込んだクーラーボックス入りの飲み物、タオルや制汗スプレーをNCCの皆が使える位置に置き、皐月は周囲を素早く見渡す。
コードが絡まったりしていないか、演者が躓きそうな機材やコードがないか。
細身の体を舞わせるように、皐月は舞台裏を駆け回る。
奏者のそれぞれの楽器が分かりやすいように、どこにどれが置いてあるか咄嗟に分かるように、床にビニールテープを貼り付け、楽器の種類を書き込む。演者が使う小物やマイクを、スペアも含め細分化させて一箇所にまとめる。
炎天下を裏方作業に駆けずり回り、あと何か他にないかと見回しながら、流石の暑さに常に着込んでいる白衣を脱ぐ。シャツの第二ボタンまで開けて団扇で胸元を扇ぎ、小さく息をひとつ零す。
「あっちぃな……」
くるくると働く皐月の姿に、NCCの皆がおそろいでつけたコサージュに、今までがんばり続けてきた何もかもに力を得て、松生は重たくて一度地面に置いた音響設備をもう一度持ち上げる。
(重いものは出来れば男子に持ってほしいんだけどねー)
補助スタッフに頼めるんだっけか、と思いつつも、どうしても無理だったら頼むかしら、と内心ぼやきつつも、結局助けは求めず自力で指定の場所に運ぼうとする。
(まあ、出来るだけ自分たちでやりとげたいしね)
それに、表に出るよりも裏方として頑張る方が性に合っている。
「手伝おう」
機材を運ぶ松生の傍ら、眼鏡の青年が小走りに駆け寄る。
服の裾には紫陽花のコサージュ。同じNCCの関係者だ、と安心する松生が持つのとは反対側に手を掛け、斑鳩 遙は舞台裏の端のクリップボードに貼り付けられた見取り図を見遣る。
男手を得て一気に軽くなった手応えに松生は瞬く。
「こういうのって何か楽しいよね」
「そうだな」
松生を手伝いながらも、遙は補助スタッフ達に大道具や小道具の置き場所を指示する。所定の位置に二人で運んだ設備を置き、遙は次の仕事に掛かる。
(この機会に交流を深めておけば利に働く)
担当の楽器も決まって居ない、NCCの幽霊会員が今回参加した理由は、忙しさに追われて不義理をした分の埋め合わせだけではなく、多少の打算もある。
そもそも、NCCに参加した理由ですら、自殺した友人がNCCに嘗て所属していたと聞いたからだ。友人の死に近づくヒントがあればと考えたからだ。
(イベントに乗じ人脈を広げておいて損はない)
義務と義理を果たすべく参加しておきながらも、否、だからこそ遙は精力的に現場で働く。
その名の通り、熊蜂の羽音を模したスピーディな曲調に急かされる気がして、塔尾 松生はジャージの裾をぐいと捲り上げる。額から溢れて頬を伝う汗を首に掛けたタオルで拭い、ついでに隈の浮いた眼の下もごしごしと擦る。うっかり昨日も夜遅くまでゲームにかまけてしまった。
ちらりと視線を巡らせる。舞台裏で衣装を纏う劇の出演者も、楽器の調律に余念がない演奏者も、大道具や小道具を運ぶ裏方も、皆がどこかしらに花を白いリボンで飾ったコサージュを着けている。
寝子島クラシック同好会、略してNCCの面々。ネコフェスの、仲間。
今回のネコフェスの大舞台で、NCCは大掛かりな音楽劇を行うことになっている。
一息吐くほんの僅かの間、松生は今日この日を迎えるまでに追われた事前準備の慌しさを思い出す。背景や小道具の作成に準備、脚本や流れの確認、照明の手順の暗記。衣装は最近WEB通販サイトで始動したばかりの服飾店『Lechat』の協力を得られたけれど、それでもすることは山のようにあった。
同級生の因幡 月子と一緒に小物の買出しにも走った。色んな店で、月子とあれはどう、これはどう、と話しながら買い物をするのは、忙しくはあったけれどとても楽しかった。
(ラジオで天気予報もチェックしたっけ)
松生の肩から提げた鞄にも、汚れるのを嫌って着けた皆とおそろいのコサージュ。花は好きなものを選べばいいと伝えられ、松生が選んだのはガーベラの花。
舞台袖に並べられた書割にも、ちらり、視線を投げる。
NCC代表代理で同学年の篠崎 響也や御陵 春哉、それに芸術科OGの鳳翔 皐月達と一緒に相談しながら描き上げた、我ながら見事な背景。
背景の下書きを一気呵成に何枚と仕上げて見せた皐月は、今はコサージュをつけた帽子を被り、用意してきた書類一式を舞台袖のクリップボードに留め付けている。
「ぶっつけ本番じゃなくて準備期間があると楽でいいな」
青天井に映える書割を仰ぎ、皐月は思わず呟く。前に自主制作映画を製作した時は、急場凌ぎばかりで散々に慌しかった。今回もそれなりに慌しかったけれど、あれほどではない。
その上、運営スタッフやバイトが居てくれる。機材の運び込みは彼らに任せ、
(私は最終調整とかだな)
暑さ対策にと用意して持ち込んだクーラーボックス入りの飲み物、タオルや制汗スプレーをNCCの皆が使える位置に置き、皐月は周囲を素早く見渡す。
コードが絡まったりしていないか、演者が躓きそうな機材やコードがないか。
細身の体を舞わせるように、皐月は舞台裏を駆け回る。
奏者のそれぞれの楽器が分かりやすいように、どこにどれが置いてあるか咄嗟に分かるように、床にビニールテープを貼り付け、楽器の種類を書き込む。演者が使う小物やマイクを、スペアも含め細分化させて一箇所にまとめる。
炎天下を裏方作業に駆けずり回り、あと何か他にないかと見回しながら、流石の暑さに常に着込んでいる白衣を脱ぐ。シャツの第二ボタンまで開けて団扇で胸元を扇ぎ、小さく息をひとつ零す。
「あっちぃな……」
くるくると働く皐月の姿に、NCCの皆がおそろいでつけたコサージュに、今までがんばり続けてきた何もかもに力を得て、松生は重たくて一度地面に置いた音響設備をもう一度持ち上げる。
(重いものは出来れば男子に持ってほしいんだけどねー)
補助スタッフに頼めるんだっけか、と思いつつも、どうしても無理だったら頼むかしら、と内心ぼやきつつも、結局助けは求めず自力で指定の場所に運ぼうとする。
(まあ、出来るだけ自分たちでやりとげたいしね)
それに、表に出るよりも裏方として頑張る方が性に合っている。
「手伝おう」
機材を運ぶ松生の傍ら、眼鏡の青年が小走りに駆け寄る。
服の裾には紫陽花のコサージュ。同じNCCの関係者だ、と安心する松生が持つのとは反対側に手を掛け、斑鳩 遙は舞台裏の端のクリップボードに貼り付けられた見取り図を見遣る。
男手を得て一気に軽くなった手応えに松生は瞬く。
「こういうのって何か楽しいよね」
「そうだな」
松生を手伝いながらも、遙は補助スタッフ達に大道具や小道具の置き場所を指示する。所定の位置に二人で運んだ設備を置き、遙は次の仕事に掛かる。
(この機会に交流を深めておけば利に働く)
担当の楽器も決まって居ない、NCCの幽霊会員が今回参加した理由は、忙しさに追われて不義理をした分の埋め合わせだけではなく、多少の打算もある。
そもそも、NCCに参加した理由ですら、自殺した友人がNCCに嘗て所属していたと聞いたからだ。友人の死に近づくヒントがあればと考えたからだ。
(イベントに乗じ人脈を広げておいて損はない)
義務と義理を果たすべく参加しておきながらも、否、だからこそ遙は精力的に現場で働く。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年06月09日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年06月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年06月16日 11時00分
