ネコミュージックフェスティバルｉｎＳＵＭＭＥＲ！｜リアクション

ネコミュージックフェスティバルｉｎＳＵＭＭＥＲ！

「うん。よし！　なんとかなった！」
　NCC全員が舞台裏に引いたのを確かめ、ロベルトはガッツポーズで笑みを零す。衣装を着替えながら、後片付けに走り回る裏方を見遣る。自分のことを終えて、それでもまだ手伝えそうなことが残っていれば手伝おう。
「えへへー、みんなで演奏するの楽しかったノ！　ワタシ、音楽が大好きだワ！」
　チェロを抱きしめ、セレッソが花咲くように朗らかに笑う。
「うん、皆さんと演奏できてとても楽しかったです！」
　相棒の伊左衛門の手入れをしながら、春哉はセレッソと笑みを交わす。
（お疲れさま、伊左衛門。お陰で、今できる一番良い演奏が出来ました）
　伊左衛門をしみじみ労いつつ専用ケースに仕舞い、代わりにデジタルカメラを取り出す。裏方の人も含めた皆で写真を撮ろう。きっといい思い出になる。
「お疲れさまナノ、羽衣チャン」
　チェロから離れ、セレッソは舞台裏の隅にへたりこむ羽衣の前にしゃがみこむ。
「また機会があったらまたみんなで合奏したいノ……いいカシラ？」
「お疲れ様、鴇波」
　セレッソから笑顔と掌を、通りがかった神嶋征一郎からぶっきらぼうな優しさを、それぞれに差し出され、羽衣は力の抜けた笑みを浮かべる。舞台から降りた途端、膝が震えて立っていられなくなってしまったけれど、でも、
「うん、あたしも。あたしもまたみんなと合奏したいの」
　皆の笑顔を見て、少しずつ成功を実感できた。よろしくね、とセレッソと握手をする。
「すみませーん、NCCの方々、ちょっとだけ集まってくださーいっ！」
　カメラのシャッターを補助スタッフの一人に頼んで、春哉が皆を集めに掛かる。
「わあ、写真撮るノ！　行こう、羽衣チャン！」
　小動物じみてはしゃぐセレッソに手を引かれて立ち上がりつつ、羽衣はたった今降りてきたばかりの舞台を振り返る。
　大変だったけれど、楽しかった。
　後はもう、ネコフェスをめいっぱい楽しむばかりだ。