【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）｜リアクション

【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）

　弘明寺能美子は寝る前に神魂の影響を受けた。
「む、寝る前のマッサージももう終わったっていうのに何か、こう、胸の高まりが止まらないわね」
　知識欲求の高まりを感じた弘明寺は、眠気が来るまでの間ネットサーフィンをすることにした。
「とは言っても、具体的に調べたいものはないのよねぇ……」
　それでも未知の情熱がこみ上げてくる。
　一向に冷めない胸の熱さに困惑しながら、彼女の目にふと、サイトの広告欄が飛び込んできた。
「あ、間違えて広告押しちゃった」
　気が付けば、指が勝手に広告バナーをクリック。
　それは彼女でも名前くらいは聞いたことがある、魔法少女アニメの劇場版の告知ページだった。
「私あんまりアニメってみないんだけど、魔法少女？っていうのはこう、フリルとかキラキラビーズとかいっぱい付いてるのね」
　魔法少女は魔女と違う。キラキラでカワイイ、そして魔法を使うことを重点に置いている。
「……この衣装、着てみたい、かも」
　弘明寺自身、口から漏れた言葉に驚いた。
「え、私、何言ってるのかしら？　ああ、でも、これは着ないといけない！」
　彼女のモデル魂に火が付いてしまった！
「可愛い系は合わないから、この、ライバルのセクシー系魔法少女の衣装にするわ！」
　弘明寺が選んだのは、ヒロインのライバルの紫を基調とした、やや露出のある衣装だった。
「ベースとなる紫のドレスなら……うん、前シーズンのだし構わないか」
　弘明寺は高価そうな紫のイブニングドレスの裾を大胆にハサミで切り裂き始めた。
「あとは、手持ちのアクセサリーで似たような形のがあったはず！　……あったわ、これに色を塗って……」
　神魂の影響を受けているせいか、衣装製作の腕前は急激に向上している。
　弘明寺はライバル魔法少女の画像を漁りながら、手際良く寝る間も惜しんで衣装製作に取り掛かる。

　――数時間後。
「完成したわ！　結構あってると思うわ」
　出来上がった衣装は、完全にライバル魔法少女の衣装を３次元化していた。
　小物やアクセサリーまで細部にこだわり、再現度はかなり高い。
　高級な素材を使用したこともあり、どこかで商品化されているといっても疑わない程のクオリティである。
　弘明寺は早速衣装に袖を通すと、ネットで知り得たライバル魔法少女の決め台詞とともにポージング。
「スターライト☆みらくるパワー！」
　鏡の前で得意満面の弘明寺。
　だが、そこで神魂の影響が急に薄らいでいってしまう。
「わ、私ったら、こんな際どい服着てドヤ顔してるのかしら！？　こ、これってコスプレって言うのよね！？」
　急に恥ずかしさで全身が真っ赤に染まっていく弘明寺。
　だが、意に反してその衣装を脱ごうとする素振りを全く見せないあたり、ほんの少しだけ神魂の影響が残っているのかもしれない。