【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）｜リアクション

【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）

とある腐女子の祭典前夜

【レベル６：寮友と爆発してみた】

　常盤四月は実はプロの漫画家である。
　そして腐った同人作家でもある。
　彼女は人一倍ネコミケにこだわっていた。
　漫画家として、原稿を落とすなんてもっての外なのだ！
「でも全然間に合わない……！　正直ピンチ！」
　コンビニで栄養ドリンクとまたたびメイト買い込んで気合充分だったのに、まだ殆ど手付かずで時間だけが過ぎていく。
「かくなる上は……、時枝さん！　アシスタントになってー！　トーン貼りとベタの塗り方教えるからー！」
　常盤は寮友の時枝香苗に泣き付くのだった。
「学校側から課題が出されていますが……。まぁ、こちらは文芸で書き終えているので問題はないでしょう。時間はありますので手伝いますね」
「ありがとー、時枝さん！　大好き！」
　早速、常盤はトーン貼りとベタの塗り方を指導。
　すると、神魂の影響ですぐにモノにしてしまう時枝である。
「すごいすごいよ！　時枝さん、センスある！」
「ありがとうございます。自分でも出来栄えに驚いているのですけど……」
　嬉しさ反面、困惑気味の時枝だが、早速作業に入ると凄まじい集中力でこなしていく。
「常盤さんは大変ですね。これを１人でやろうとしていたなんて。プロの作家さんはもっと大変なんでしょう。塗ったり切り貼りするだけで集中力を要しますから」
「そ、そうだねー？」
　常盤は友人に、自分がプロの漫画家だと打ち明けていないのだ。
　彼女はヒヤヒヤしながら作業に没頭する。

　数時間後、約束をしていた八十八旗と志波がやってきた。
　時刻は夕食過ぎ。桜花寮の女子寮へ立ち入りの許可は前もって行っているので問題ない。
「あら、貴方は八十八旗さんじゃないですか。ここは女子寮ですが？」
「やぁ、香苗ちゃん！　ダイジョーブ、許可は取ってあるのさ！　デラっち先輩の入寮説明に時間が掛かっちゃったけどね！」
「どうも、ついでのブドーでぇす☆」
　志波は自虐ネタで笑いを取ってみせた。
　八十八旗は時枝にカメラを見せた。
「今日は常盤っちを撮影しにきたのさ！　あ、この先輩はすぐ脱ぐから気を付けて！」
「ブーメランパンツ穿いてるから恥ずかしくないもん！」
　志波もカメラを構えてみせた。
「はあ、なるほど。常盤さんの写真を」
　頷く時枝に、八十八旗が爽やかスマイルを向けた。
「香苗ちゃんも１枚どうかな？」
「はあ、私は構いませんが」
「そうこなくっちゃ！」
　というわけで、２人とも撮影モデルとなった。

「いいねいいねー！　２人とも可愛いよー！」
　八十八旗のヨイショが部屋に響けば、
「笑顔ぷりーず☆　ほらほらー、腹筋動くよー？」
　志波が体を張って笑いを取りに行く。
　それでも、常盤の表情が硬い。
「ああ、もう！　八十八旗くん、交換条件出していい？」
　しびれを切らした彼女は、ペンとスケッチブックを取り出した。
　そしてカメラマン２人に、際どいBL本の１コマを見せた。
「このポーズが上手く描けなくて困ってたの、実演してくれなきゃモデルやりたくないなぁ」
「え、さ、さすがにそれだけは勘弁して欲しいかなぁ？」
「えー、そんなぁ？　紳士の八十八旗くんは女子の頼みを断っちゃうの？」
「や、やろう！　デラっち先輩！」
　八十八旗は女子に頼まれると断れない。
　何故から彼は紳士だから！
「チョット、ナニヲイッテルカワカラナイナァ？」
　志波の顔がどんどん青ざめていく。
「時枝さん、そこのダンボールにコスプレ衣装があるから出して！　軍服！　スク水！　ナース服！　出てこいやぁー！」
「ええ、では２人の着替えを手伝えばいいんですね、常盤さん？」
「時枝さんが話が分かる人で嬉しい！」
　女子２人は野郎どもににじり寄る。

「「アッー！？」」

　この夜、１輪の真っ赤なバラの花が咲いた。