山でレンジャー！｜リアクション

山でレンジャー！

　ロープウェイを使って下山した直後、美咲紀はデジカメの画像に真剣な目を向ける。
「これは構図が悪いですねー」
　修は無言で忍び寄り、斜め後ろからシャッターを切った。被写体にされた美咲紀が膨れた顔で振り返る。
「またですかー。いきなり撮らないでくださいよぉ」
　今度は正面の顔を撮った。美咲紀は澄ました顔で対抗したが間に合わなかった。
「いつまでテンション高いんですか！」
「椿は気持ちが表情に凄く出るから、つい撮りたくなるんだよ」
　修は微笑みながらシャッターを切った。
　美咲紀は無表情に近い顔で目を見開いた。
「八神部長、いきなり撮らないでください。私の表情でわかりますよね」
「レ、レンジャーです」
　修は緊張した声で答えた。
「そんなことより、八神ぶちょーも写真を見てくださいよー」
「ああ、そうだな」
　警戒した様子で修は写真の出来に目を向けた。
　人には色々な一面があることを学んだ一日であった。

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