第二次ねこじま魔法少女大戦ブレイヴ！～ニンジャ襲来～｜リアクション

第二次ねこじま魔法少女大戦ブレイヴ！～ニンジャ襲来～

【Side：忍】思惑

　開戦直前。
　魔法少女フィングストローズとして闇の国へ潜入した牡丹太夫（添木牡丹）は、皇帝に謁見していた。
「お目にかかれて光栄でございます、陛下」
「この緊急時、戦力になってくれるそうじゃないですか！　ありがたいですねぇ」
　皇帝はすっかり牡丹の言動に騙されていた。
（ホント、人が良すぎるのも考えものねぇ？）
　牡丹は心の中で舌を出していた。
「お任せあれ、陛下。邪魔者を蹴散らし、光の女王をここへ連れてまいりましょう。……ところで、こういう話をご存知ですか？」
　牡丹の口角がキュッと吊り上がった。
「女王はツンデレ。あの言動は照れ隠しよ。もっとお饅頭と愛の告白でアピールしないと！」
「やはり、そうですよね！　ナナったら、軍隊動かしちゃうほどのツンデレっぷりとか、可愛いですね！」
　ダメだこの皇帝、人を疑うことを知らない。
（こうも簡単に行くと、却って心配になるわぁ……。でも、これで火に油を注げたわ♪）
　牡丹は下がると、この事を忍の仲間に伝えるため、テレパスジュツで紛れている忍者に語り掛けた。
（私の合図で、光の女王を拉致しなさい！）

（あーあ、勝手に指示出されると困るんさねぇ。魔力で感知されたらどうするんさ？）
　朧月（霧谷朧）は牡丹のテレパスに思わず苦笑する。
（あんたは勝手に動いて、ろくすっぽ部下に指示出してないじゃん？　いくら透明でも、兵を率いている俺の存在を無視するなっつーの）
　もう１人のトーリョーは行方知らず。
　本当に自分がまとめていなかったら、まともな作戦すら立っていなかったのでは、と朧月は呆れ果てていた。
（ま、トーリョーの指示を下忍たちは断れないけど）
　彼はやむなく、作戦を変更することにした。
　下忍は光と闇にそれぞれ25人紛れ込んでいる。
　目立たないように、一般兵として城門前で待機しているはずだ。
　うち、闇側の５名に牡丹からの指示を待つように、個別でテレパスを送った。
（これでよしさね。さぁ、イタズラしちゃうぞ♪）
　透明の月が、こっそり城内へ侵入していく。

　新江天懸は避難する一般人に紛れて、情報収集に明け暮れていた。
（えーと、モテないダッセーキモ皇帝とヒステリーな女王さま、両方を狙えばいいってことか）
　任務を確認しつつ、光側に紛れている下忍の気配を感知していく。
「……お？　全員いるな。よし、今からお前たちに闇側の情報を送るぜ」
『その役目、私にまず一括で送ってくれないか？』
　ダイレクトで送られてくるシノビテレパス。
　その声の主は、出立前に木陰で顔を隠した女性のものだった。
（あんたか……。上手く紛れ込めたようじゃねぇか）
『そっちもうまくやっているようだな。テレパス使用にちょっと問題があってだな、トーリョーの１人が勝手に全体へテレパスを使いやがった』
　新江は思わず舌打ちをした。
（誰だよ、そいつ？　下手したら魔法少女にバレるだろうが）
『如何にも単独行動に出た奴がやりそうなことだな。だから発覚の危険性を減らすためにも、まずは私に送れ。こちらの25人へは、私が偵察で得た情報という体裁で口頭で伝達する』
（なるほど、闇側の情報が広まれば、この国は余計に不利になるってことか）
『まずは闇から潰れてもらい、隙を突いて私が光の女王を暗殺する。それだけだ』
（おお、怖えぇ。でもそんなあんたが俺、好きだぜ？）
『中坊が口説いてんじゃねぇよ。生憎、私には怖い彼氏がいるんだぜ？　いいから早く情報よこせよ、長くやればバレるだろうが』
（へいへい、送りゃいいんだろ？　やっぱ強気な女はいいよなぁ……！）
　こうして、口説き文句を浴びせられながら、くノ一は闇側の情報を入手。
　それを光の兵士たちへ伝達し、いよいよ闇の国の包囲網が狭められていくのだった。