【Side：？？？】決着

　触手との戦いは凄惨なものだった。
　開始直後、バンビエッタとマオは触手に絡め取られ、麻痺毒で身動きが取れなくなってしまった。
　２人は漸羅の元まで連れてこられると、なんと魔法石をかじりつかれた！
　当然、魔法石を失った魔法少女は基本世界へ戻っていってしまう。
　あっという間に２名脱落し、ヤガ＝ミンが焦る。
「あいつの技を自滅させる幻影を作りたいのに、触手が気持ち悪くてイメージ作りの邪魔をする……！」
　粘液まみれでうねる触手は、お世辞にも清潔感は持ち得てない。
　不潔なものが嫌いなヤガ＝ミンの天敵といえよう。
　ノーラも触手をスターブレードで切り落とすのが精一杯。
　切った触手は再生するので厄介だ。
　しかも、漸羅は魔法石を取り込み、パワーアップしているようだ。
「くそ、このままじゃジリ貧だ！　……って何だあれは！」
　伊予柑が指差す方向に、巨大な魔女２体の姿が！
「こっちに来るぞ！」
「あれも戦うのか？　って、誰か来るぞ？」
　１人は魔女に追い掛けられている御剣。
　あ、踏み潰された！
　もう１人、いやもう１騎は……！
「いっけー！　バルツァーンの力を見せてやれー！！」
『NAGOOOOOOOOOO!!!』
　ピンキーモエとその愛機バルツァーン！
　モエは果敢にも魔女２体と格闘戦を行うようだ！
「いおりもいっくぜー！　うりゃー、軽くなって超ジャンプ！　からの！　いっくぜー！」
　今度は重力の負荷を上げて棘バッドを振り下ろした！
「ひっさーつ！　デッドリーディザスター！」
　フラウの臼にクリーンヒット！
　割れ目から餅が溢れてしまうと、フラウは急におとなしくなってしまった。
「あれが魔力源なんすね！　って、きゃー！！」
　カーフェンのまな板攻撃がイオリを狙う！
「させないよ！　ビーム竹刀！」
　ヴァルツァーンのビーム竹刀がまな板を切り刻んだ！
「よーし、新しい魔法だよ！　必殺魔法『カレーなる饗宴・改』発動！」
　ヴァルツァーンは後ろを向くと、お尻の部分に設置された高圧砲から粘度の高い熱々のカレーが噴射された！
「ウォータージェットのカレーだから鉄板も切れるよ！」
　カレーの聖剣が鯉を一刀両断！
　肉体的、精神的にも大ダメージだ！
「トドメは任せて！　トウ！」
　伊予柑が全魔力を魔法石に集中！
「俺が死んでもミカンのことは嫌いにならないでください！　出力最大必殺ウンシュウメテオ！」
　広範囲に降り注ぐ蜜柑の雨が大爆発！　周囲を焼け野原にする！
　だが不幸の呪いで、伊予柑自身にも巨大蜜柑がヒット！
「そうだよ俺達は自由だ！　葉っぱ１枚あればいい！　新たな歴史を刻め！」
　ダメージを負った伊予柑は全魔力を使い果たし、その存在が消滅してしまった。

　後木 真央：脱落
　弘明寺 能美子：脱落
　小山内 海：脱落
　稲場 舞：脱落
　伊予 祐：自爆
　御剣 刀：天罰

「ヌゥッ！　我が触手が全滅してしまったぞ！」
　みかん爆撃で触手が焼き払われた漸羅。
「よもや、この漸羅性刃を抜く時がこようとは！　ハァッ！」
　漸羅は陣羽織を闘気で破裂させると、股間のご立派が巨大な刀身へ変化した！
　そして両手に１対の大太刀・断衣斬鎧刀と、武者兜の一部が変化して白熱化した刃・灼熱剣角を召喚！
「漸羅鬼神流四刀乱舞！　さぁ、いくぞ！　斬って斬って斬って斬って斬りまくる！」
　全裸の変態が腰を振りながら神速で四刃を操る！
「剣には剣だ！　スノウ！」
「任せろ、コスモス！」
　２人の究極必殺技が発動する。
「「フラワーブリザード・スペシャル！」
　スノウの体が大人の女性へ変化すると、ナイスバディから氷の刃を繰り出す！
「スノウストーム！　吹雪を起こして！　アイシクルシェイドで氷柱ミサイルだ！」
「そこへ『もちぎょ』で無数の花弁の刃をぶつけるぞ！」
　漸羅の４本の刃と氷の結晶が砕ける音が響く。
「おっしゃー！　破壊音充填完了！　行くぜ！」
　大人スノウがブリザードの中へ飛び込むと、目にも止まらぬ剣技を披露する！
　灼熱剣角と断衣斬鎧刀を切り落としたが、股間の漸羅性刃の絶倫ぶりは想像を絶するものだった。
「ヌゥ！　なんというムチムチボイン！」
　原因は大人になったスノウのわがままボディにあった！
「このでかいの、すっごく硬くて長い！」
「スノウ！　それ以上はいけない！」
　コスモスは慌てて魔法でスノウを呼び戻した。
「どうした？　そこまでか？」
　身の丈の２倍まで大きくなった漸羅性刃に、魔法少女たちは恐れ戦く。
「ふん、他愛もない！　この刃で貫いてくれよう！」
　漸羅が腰をはね上げた。
　……その時だった。
「この変態！　消えちゃえー！」
　編みぐるみ部隊が漸羅性刃の根元の２つのオーブを集中攻撃！
　オーブまで防御を考えてなかった漸羅は激痛で絶叫！
「私の大切な人の前で、粗末なものをぶら下げないでください……」
　常闇が鋼糸で忍術『縛極殺』を放つと、漸羅は足を開脚したまま緊縛されてしまった。
　そして大型苦無ブレードを合体させると、極十字手裏剣（キワミジュウジシュリケン）に変化！
「ハァァァーッ！」
　常闇の忍者パワーをフル充填して投擲！
　極十字手裏剣は漸羅性刃の根元に突き刺さると、そのまま回転を続けていく！
「絶ッ！」
　常闇の掛け声とともに、手裏剣の回転速度がさらに増加！
　遂に漸羅性刃を削ぎ落とした！
「ああ、これで本当にオカマになったな……」
　ヤガ＝ミンは感慨深げに漏らした。
『忍者さん、これで終わりにします！』
　皆の脳内に浮かぶ明朝フォント。
　これは、浅山 小淋のテレパス！
『このまま傍観者になるくらいなら、たとえくだらなくても、私は受け入れます』
『この世界から帰る為にも……、力を貸して！』
　浅山の全身が、頭のリボンと同じ柄のリボンに包まれる！
『希望を包む未来のリボン。本気★狩るコバルトコーリング、行きます！』
　彼女は相棒のうさぎ妖精のウサテンを召喚した。
『まずは力を吸い取らせていただきます！　リンクルリボン！』
　漸羅に巻き付いたリボンが、コバルトへ魔力を供給していく。
『魔力200％！　彩葉さん、いえ、トワイライト！　合体究極魔法です！』
「うん、一緒にやっつけよう、コバルト！」
　２人の魔力がシンクロする時、伝説の本気狩る★オトシマエドスソードの封印が解かれる。
　空中に浮かんだ巨大なドスが、今、まさに漸羅の頭上に振り下ろされようとしていた！

落とし前、付けさせていただきます★　ドスソード……ビーム！
　刃から虹色の破壊光線が漸羅へ向けて照射！
「グワーッ！！！！」
　漸羅が断末魔を上げた！
「「てか、結局ビームかよ！」」
　イオリ、ヤガ＝ミン、コスモス、スノウ、ノーラが同時にツッコミを入れざるを得なかった。
「我の負けか……！　されど、満足行く闘争であった。故に最後は相応しい散り方をしようぞ！」
　漸羅は残された忍者パワーを腹に込めた。
「忍法『木っ端微塵隠れない』という名の最後っ屁！」
　メタンガスが誘爆を起こし、漸羅の体もろとも大爆発！
　予期できなかった魔法少女は全員巻き込まれてしまう。
　そして、ヴァルツァーンの中でカレーを食べていた鬼河内 萌以外は、誰もいなくなった……。

　浅山 小淋：脱落
　高梨 彩葉：脱落
　常闇 月：脱落
　北原 みゆき：脱落
　霧生 渚砂：脱落
　霧生 深雪：脱落
　野坂 庵：脱落
　八神 修：脱落
　尾鎌 蛇那伊：自爆

　鬼河内 萌：魔法少女で唯一生存！

　新江 天懸
　霧谷 朧
　鳳翔 皐月
　以上、３名、生還により、この大戦は忍の勝利！