第二次ねこじま魔法少女大戦ブレイヴ！～ニンジャ襲来～｜リアクション

第二次ねこじま魔法少女大戦ブレイヴ！～ニンジャ襲来～

【Side：闇】挙式

　礼拝堂では、32人の花嫁（一部、男性含む）と闇の皇帝の挙式がつつがなく繰り広げられていたのだ。
「……本物のナナの方が良かったなぁ」
　皇帝が小声でぼやく。
　そこへ小走りで駆けてくるひとりの女性。
「リッキー！」
「その声は……ナナ！」
　花嫁姿の光の女王が闇の皇帝の胸に飛び込んできた。
「ごめんなさい、驚いたかしら？　こういうサプライズも悪くないと思ったのだけど……？」
「ああ、ゆ、夢みたいだ！　本当にナナなのですね？」
　皇帝が歓喜の涙を流す。
「ああ、ナナ！　愛しのナナ！　……思っていたより華奢な体なのですね……！」
「え、ええ？　そうかしら……？」
　花嫁は戸惑いまくっていた。
（華奢で悪かったな！）
　内心、毒突く花嫁。
　……お分かりかもしれないが、この花嫁、もちろんフェイクだ。
　正体はなんと、ヤガ＝ミンだった。
　姿が女王そっくりでもモチベが上がらない皇帝を見かねて、ヤガ＝ミン自身が身を呈して花嫁に化けたのだ！
　彼の闇の光魔法の精度の高さが伺える。
（光を操り排除した所に闇が生まれる。闇の真の使い手は光を操るのだよ。……まさかこうなるとは）
　ひっそりと白目を剥くヤガ＝ミンだった。
　もちろん、性格などの設定は演技。
　現実世界の菜々緒をモデルにしている。
　本名はさきほどさりげなく聞いたのでバレていない様子。
（ていうか、ベタベタしすぎだ。気持ち悪い！）
　加齢臭がヤガ＝ミンの鼻腔を強烈に刺激する！
「あの……、そろそろ式を再開しませんか？」
「そうでした！　それでは、誓いのキスを……！」
「い、いきなりですか！？」
　ヤガ＝ミン、貞操の危機！
「ちょっと待った！」
　バーンと扉が開け放たれた。
　そこには新江天懸が礼儀正しくお辞儀をしていた。
「ドーモ、オナゴスレイヤーです。さぁ、俺にときめいてもらうぜ！」
　新江は忍術『一目惚れの術』を発動！
「って、皇帝の花嫁候補の中になんで男がいるんだよ！」
「「シャッチョサーン、コセキハイッテクダサーイ！」」
　花嫁32名が新江に殺到！
「やってられるかよ！　花嫁と護衛の魔法少女たちがここにいるって聞いたから連れ出そうとしただけなのに、このザマはあんまりだぜ！」
　新江はビル５階建て相当の高さの窓からキリモミダイブ！
　花嫁も一心不乱に窓からダイブしようとする！
　だが、彼らは一般人。飛び降りたら大惨事だ！
「世話が焼けるな」
　ヤガ＝ミンは魔法『幻光惑乱』の光の明滅で「窓がない」と錯覚させることに成功。
　誰ひとり、飛び降りることなく事なきを得た。
「さぁ、リッキー！　式の続きを……あれ？」
　ヤガ＝ミンは皇帝がいなくなっていることに気付いた。
「待ってくれー、あの少年はどこですかー！？」
　ヤガ＝ミンは見た。
　皇帝が礼拝堂の外で新江を探すために窓から飛び降りる瞬間を！
「何やってんだ、あの人！　なんで忍術掛かってるんだ！？」
　結婚作戦、忍者の妨害で失敗に終わってしまった！
　やむなく、ヤガ＝ミンは皇帝捜索と忍者撃滅の号令を全兵士に下した。
　ほどなくして、珠菊敗北の知らせがヤガ＝ミンに届く。
「前線が突破されたか……」
　悪いことは重なる、とヤガ＝ミンは頭を抱えた。