寝子島書房『寝子島の不思議』　～海猫様と海鳴り～｜リアクション

寝子島書房『寝子島の不思議』　～海猫様と海鳴り～

【おおきなほこらのなかで！　――22時45分】

　飛鳥と真央はおおきなほこらの中に足を踏み入れていた。
「に、しても建物の中に海水が引いたような痕跡がないのはどういうことなんだろう？完全に密閉されてたのかな？　どういう技術なんだろう？　どう思う？　ま、それよりも立派な立派な海猫様だ、一体どこの誰が作ったんだろ？　いや、それよりも、ここに昔陸地が会ったなんて話はあったのかな？　でないと、ここは海の中で作られた事になる……。そうだろう？　いや、あるいはこうして引いてる間にちょっとずつ創ったとか？　うーん、いいねぇいいねぇ、いい謎だねぇ。そう思わないか？」
「いっいいいい、いっぺんに言われても頭どーんなのだ！」
　マシンガンのごとくしゃべる飛鳥に、目がぐるぐるしている真央。きっと脳みそが追いついていないかもしれない。
「あはははっ！　ごめんごめん」
　そう言いつつ謝る飛鳥に、全く反省の色はない。
　心からこの状況を楽しみ、かつテンションが上がっているので、多分止まらないだろう。
「あと、それとデジカメは辞めた方が良いよ」
「どうしてなのだ？　デジカメ生活防水なのだ証拠写真だけは残る可能性があるのだ♪」
　ピントがずれたことを言う真央に、飛鳥はメモを示して見せる。
「こういうときは、メモの方が良いのさ。そもそも、それ、ちゃんと映ってるかい？」
　そう言われて、真央はメモリーを起動してみるが。
「な、なんじゃぁぁこりゃぁー！　なのだ！」
　全く撮れていないどころか、機能障害があるらしくどこか挙動がおかしい。
　そこから、なんとかくポツポツと会話を交わしながらおおきなほこらを探索したが、特に成果は得られなかった。
「終わったら家で文献の調査だ！　忙しくなるぞぉ！」
「まだまだ調べるのだ？　がんばるのだ」
　若干、真央が疲れているが、気にしない。
　飛鳥も何かしらのつかみはあったようで、帰ったら調べる気満々である。
「さぁ、出よう！」
「……そうするのだ」
　そうして、メモを満載した飛鳥と真央は外に出たのであった。