祀られる猫、そう『海猫様』だ。
海岸近くでいつものように風景をカメラに収めていたときに聞いた話。
なんでも海の中に祠があるそうだ、それも一つじゃなくいくつかが点々と。
猫なのに海中か、そう不思議に思って心に残ってる。
――ある木天蓼大生のレポートより
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ぽつんと、一人エノコロ岬の浜辺にたたずんでいる白い影がある。
正体をなくしたようなそれは、波の音に合わせるかのように、
ゆらゆら ゆらゆら
そう、揺れていた。
ぼぅっとうっすら夜の闇の中白く光りながら揺れていた。
その影をある男は目撃する。
見れば、光りは、すうっと海の中へと消えていった。
とたんに、うねるような、あるいは、雷のような音が聞こえる。
ごごごごご ごごごごご
やがて、ぽっかりとそこだけすっかり海水がなくなり、
むき出しとなった海底が現れた。
「――えっ?」
男は、その海底だった場所を見て大いに驚いた。
いくつか、道祖神のほこらのようなものが点々とあり、
それらは、みな一様に猫の形をかたどっている。
そして、それらは漁師が身につけるような銛や網を持っているものもいれば、
底の開いた柄杓のようなものを持っていたり、
何か、海と縁がありそうなものを持っているものが祀られていた。
そして、ちょうどエノコロ岬の最南端に当たる場所……そこには大きめのほこらが出現した。
蜃気楼のように揺れながら出現したそれを見た男は、ふらふらと何かに導かれるように海底であった場所へと降りていくのであった。
――その後、男の姿を見たものはいない。
――寝子島書房刊『寝子島の不思議』 ~海猫様と海鳴りの章~
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そして、現代……寝子島のエノコロ岬。
時間は22時を過ぎており、ちょっと出歩くには向かない時間帯である。
そんな中、オカルトを求めて一人の少女はエノコロ岬の南端へと来ていた。
その少女……
晴海 飛鳥は目をキラキラさせて海鳴りで海が割れていく光景を見つめている。
「う~ん、何だか空気がいい感じだね! まさにオカルトって感じ!」
どうやら、このような光景の中でも意識を奪われることはないらしい。
慎重に、かつ、急いで飛鳥は海底であった場所へと降りていく。
海水は完全に引いており、降りてみれば海水の壁がまるで割れの奇跡のようにぱっくりと割れているのが分かる。
「まずは探検だね! こんな楽しそうな場所を探検せずに帰ったらもったいない!」
そう言って、少し不思議な夜の散歩が始まるのであった。
『木天蓼大学の日常 ~ある一般教養の講義風景~』リアクション4ページよりシナリオ化致しました
鷲見 貫司様、ありがとうございます!
同様に、思いつき次第となりますが(気力があれば)シナリオ化予定です
さて、今回の探検はおおよそ二時間ほどになりますが
その間に調べたり、散歩したり、デートしたりしてみましょう
海底であった場所を歩く夏の夜のお散歩って浪漫ですよね!
夢なのか、そうでないのか? それはわかりません
しかし、行ったという記憶は残ります
●場所など
E-12のエノコロ岬の最南端に四方50メートルほどの区画が出来ています。
岬の南端部分に食い込む形で【おおきなほこら】があり
中には大きな【海猫様】が祀ってあります
建物は石造りで、海水が引いた後などは一切ありません
また、照明がないので暗いですが
外に居る分には月明かりで見えます
周囲には、小さな道祖神型の海猫様が配置されており
その周囲を散歩することが出来ます
むき出しの岩などがありますが、注意をすれば転ぶことはありません
海水の壁の部分まで行けば、ちょっとした水族館気分になれます
また、貝や、海中にありそうなものが散歩が出来る部分に点在しています
なぜか、海中でもないのに生きているようです
●探索補足
夜の22時スタート、いつこの現象が終わるかは
アクション次第で変動します
途中で帰る分には問題ありません
それとは別に
内部を見たいならば灯りを持っておくと便利です
また、写真を撮ったり、それをアップロードする場合
写真は撮れますが大きく画像が乱れたり
アップロードしようとすると
突如圏外になったり、カメラやPCなどにエラーがでたりします
●動機の補足(参加動機の参考にしてください)
1,たまたまこの光景を見てしまった
2,寝子島書房の『寝子島の不思議』を見て、興味を持って来て遭遇
3,なぜか、気がついたらここに呼ばれていた……ような気がする
4,酔っ払った結果、なぜかここに居た
などです
高校生の参加については制限するつもりはありません
ただ、夜遅くで歩く高校生を注意するアクションをかけたい場合など
他者に大きく影響をあたえるアクションをあたえる場合は
きちんとPL様同士で確認してください