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箒星は夜闇を駆けて
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◆
仕事の休憩中に、
仁科 宝良
はラジオで聞いた。
今日は流星群で、よく見えるのは桜台墓地の辺りだと。
(あいつの墓があるところか……)
紫煙をくゆらせ、灰皿に火を押し付ける。
こういう日だ、夜にあいつのところに行くのもいいだろう。
「にしても、物好きな連中ってのはいるもんだ」
桜台墓地の中を歩きながら、宝良はひとりごちた。
墓地の周りで、ちらほらと人影を見かけた。
そのほとんどは流星群を見にきた連中だろうが、夜更けに墓地とはまあなかなか。
「……俺も人のこたぁ言えねえが」
目的の場所について、足を止める。
当然といえば当然だが、周りには誰もいなくて喧騒はずっと遠い。
「さて、と」
ビニール袋から、缶を二つ取り出す。
「本格的に降り始めたら周りも騒がしくなっちまうだろうしな。先に一杯やってっか」
騒がしい中で墓参り、というわけにもいかないだろう。
プルタブを引くと、小さな音が耳朶を打つ。片方を墓前に供え、もう片方は手に持って。
「……お前は結局死ぬまで酒も呑まなかったが……軽いカクテルにしといたんだ、付き合ってくれ」
返事は聞かないで、
「こうしてお前と飲むのも、初めてだしな」
そっと乾杯。
中身を半分ほどを飲み干して、大きく息を吐く。
「お前が逝ってから何度もここに足を運んだが、特別な日ってのぁなかったな」
視界の上の方を、光の線が一つ走った。
つられて見上げれば、もう一つ。
「……流星群か」
『夜空の星は死んだ人間達だ』――なんて話もある。
もちろん、そんなのは喩え話に過ぎないが……残された者には支えになる、のだろう。
残された物は、そうして居なくなってしまった人を探すのに。
立ち止まって空を見上げていたら、星はさっきのように降ってしまう。
また、地上に新しい生命として生まれるかのように。
ひょっとしたら、と宝良はひとりごちる。
(……先に逝っちまった奴の方が、よっぽど前に進んでんのかもしれねえな。)
立ち止まって空を見上げるだけの者に、比べたら。
墓石に視線を降ろすと、小さく笑いがこぼれた。
「……お前のことだ、お前もそうなんだろうな」
ぐいっとカクテルの残りを煽る。
俺も前を向いていく。
お前のことは忘れねえが、歩みも止めねえ。
「だから、安心して生まれろよ」
また一つ、星が流れた。
◆
供える白薔薇の花束は持った。
タブレット端末よし、GPS携帯から叔母への連絡も済んだ。
あとは、父さんの墓へ向かうだけ。
――仇敵よ、儂を護ってくれ。
借りっぱなしの緑のコートを羽織り、
大田原 いいな
は歩みを進める。
その姿を、少し離れたところで見ている者が居た。
「……はて? あれに見えるは、いーなっち?」
八十八旗 信彦
である。
白薔薇の花束を抱え、夜更けにどこへいくのだろう。
「白薔薇……花言葉は『尊敬』だったかな?」。
気づいた時には、信彦はいいなの後を追い始めていた。
アンニュイな表情をしていたのが、どうしても気になったのだ。
――桜台墓地。
しんと静まり返った空気を、砂利を踏むかすかな音が揺らす。
「……?」
自分の足音かと思ったが、それにしては少し遠い。
(誰かがついてきているようじゃ)
手近な墓石の影に隠れ、いいなは追跡者の様子を伺う。
段々と足音が近づいてくるが、こちらが隠れたことには気づいていないようだ。
そのまま墓石の横を通りすぎようとしたところで、
「何の用じゃ貴様!」
花束を武器代わりにつきつけた。
「うぉぅ!?」
素っ頓狂な声をあげて後ずさったのは、いいなも知っているバカ騒ぎ仲間だった。
「……何じゃボケ彦か、儂の後を付けて何をしておるのだ?」
自然とため息が漏れる。夜に女の後を付けるなど、不審者扱いされても文句は言えない。
落ち着きを取り戻した信彦は、コホンと一つ咳払いし、
「いーなっち、流れ星が消えるまでの間に三回願い事を言いきれば願いが叶うって話を知っているかい?」
突然そんなことを言いだした。
「聞いたことくらいあるが……それがどうしたというんじゃ」
「今日は流星群の極大日らしいからね、数えきれないほどのチャンスがあるんじゃないかと思ったのさ」
手元でタブレットを操作し「確かにそうじゃな」と呟くいいなに、
「とはいえ、人が多い所で願い事を叫び続けるなんてシャイな俺にはとてもできなくて」
自分で自分を抱きしめるようなポーズを取りながら続ける信彦。
「しゃい?」
誰がだ、と言いたげないいなの視線はスルー。
「そこでこうして、天体現象の一大イベントでもひと気が少ない墓地に辿り着いたというわけだよ」
「……ふん、なるほどのう」
タブレットを操作し、今日の星空を確認する。
「この時刻じゃと……夏の大三角が真上に来た状態で見ることにじゃろうな」
見上げた星空には、デネブ、アルタイル、ベガが描く大三角。その周りを、時々流星が流れていく。
(前は春の大三角、今は夏の大三角……時は巡るものだね、父さん)
白薔薇に視線を落とすいいなに、信彦がびしぃっと夜空を指さして言う。
「さあ、いーなっちも胸の淵に秘めている思いの丈を声に乗せて星に届けようじゃないか!」
「胸の内かや?」
「ああ、例え願い事が浮かばなかったとしても、大きな声を出すだけでスッキリすることもあるだろうさ!」
フッ、と小さく口の端を歪めるいいな。そこに込められたのは、自嘲? それとも他の何か?
「儂には人前で披露できるほどの話など無いわ」
だがそうじゃな、と少し考えて。
「強いて挙げるなら……儂はこの寝子島に『普通の生活』を求めておる」
『フツウ』ではなく、『普通』。
「……ふつうの生活?」
微妙な違いをつかみそこねたのか、きょとんとした表情を浮かべる彼を見て、いいなは笑う。
「ああ、『普通の生活』じゃよ」
――猫鳴館で級友と話したり。
――叔父貴と定期試験の対策をしたり。
――仲間とのんびり部活動をしたり。
「そんな毎日を過ごしたかったのじゃ」
母の再婚先では、かなわなかったこと。
だからここで叶えたかったのに、ろっこんなんて貰ってしまって。
目尻が微かに熱くなったのを誤魔化すように、夜空を見上げる。
そして天頂に輝くベガ目掛け、
「儂の普通を返せ、馬鹿野郎~っ!」
叫ぶ。
墓地中に響きそうな大声で。
反響が空気に溶けていき、静寂が再び辺りを覆う。
「で、ボケ彦の願い事は何なのじゃ? 願いを叫びに来たのじゃろう?」
「え!? あ、ああ、そうだね!」
あっけにとられていた信彦は、いきなり話を振られて若干戸惑いながら
「世界平和!」
流れる星に向かって叫んだ。
願わくば、すべてのレディが笑顔でいられる世の中に――
「まあ、俺が実現してみせるけどね!」
白い歯を輝かせ、キメの笑顔。
咄嗟に考えたものだから、なんだか浅いのはご愛嬌、だ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月26日
参加申し込みの期限
2014年05月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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