箒星は夜闇を駆けて｜リアクション

箒星は夜闇を駆けて

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夜20時、洋菓子店『Raton』。
そろそろ時間、と荒井景貴は閉店作業にとりかかった。
そんな折、そっと扉が開かれる。
「景貴さん、こんばんはー」
隙間から顔を出したのは、紅林柳霞。少し身を乗り出すような格好に、ストレートの髪がさらさらと流れる。
微笑む景貴。しかし閉店作業があるから少し待っていてほしい――そう告げると、
「なら手伝おっかー？」
柳霞はにこーっと笑ってみせた。
景貴は少しだけ考える素振りの後、
「では、お言葉に甘えて。お掃除をお願いできますか？」
と小さく笑みを浮かべた。
「はーい！　任せてー」
早速お掃除にとりかかる柳霞に、ありがとうございますと感謝をしつつ。景貴は翌日の仕込みに集中する。
今日はこの後、二人で流星群を見に行く予定。
ピークまでまだ時間はあるけど、できればちょっとでも長く一緒に星を見たいから。

――今日は、寝子島に星が降る日。

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