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- 00月00日生 00歳
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ある夏休みの試練～サンマさんりたーんず～
旅鴉 月詠は予め対策を考えていた。何への対策かというと、脱走者へのである。補習会場の隣室が家庭科室となれば、脱走してくる者がいるに違いない。補習前に先生方と打ち合わせして、『課題が終わった証として美和先生の捺印を貰い、家庭科室で相原 まゆ先生に見せる事』とした。補習者のリストは家庭科室にも貼っておけば、誰かがこっそり紛れ込んでいたとしても分かるという寸法だ。ついでに打ち合わせ時に久保田先生が食べたいものは必ず取っておくことを約束しておいた。こうすれば先生もやる気が出るだろうとの考えである。脱走対策は、課題の確認だけではない。家庭科室前廊下の左右それぞれに立て看板を設置した。文面はこうだ。
『脱走者に告ぐ
課題終了の証がない者は家庭科室入場時点で以後課題が終わったとしても料理を食べられない決まりである
課題増加及び反省文追加のおまけ付きだ
ここで踏み止まる者は罪に問われない為大人しく席に戻れ』
早く補習課題が終わっても食えない、と解ったならば立ち止まるだろう。そしてどんなに家庭科室に興味を惹かれたとしても、補習会場である会議室に戻っていくに違いない。しっかりと対策の準備を終えてから、月詠はクッキング・パーティーの準備を手伝うために家庭科室へと入っていった。
高梨 彩葉は家庭科室のクッキング・パーティーに参加していた。今作っているのは、オレンジムースである。食材は白沢 絢子先生から少しもらってきた。材料は、オレンジジュース・卵白１個・生クリーム・砂糖・ゼラチンである。まずゼラチンをふやかし、オレンジジュースを沸騰直前で止めてゼラチンを入れ、氷水につけて混ぜる。次に、八部立てと七部立ての卵白を作り、七分立ての卵白に先程のオレンジジュースを入れる。それから、八部立ての卵白を２回に分けて優しく混ぜるのだ。
オレンジムースを作りながら彩葉が想うのは、ただひとり、拓郎のことだ。ここに来る前に、補習になって落ち込んでいる拓郎に会った。落ち込んでいる気持ちを少しでも良い方に持っていきたくて、クッキング・パーティーのことを耳元でこっそりと教えてあげた。
「補習が終わったら来てね？ 美味しいケーキを作って待ってるから、頑張ってね」
そんな一言と一緒に。だからこのムースは補習を頑張って終わらせて来る拓郎のためのもの。拓郎に美味しいと言ってもらえるように、彩葉は気持ちを込めて丁寧に作るのだ。ムースの材料を混ぜ終えたら、透明のミニカップに入れて、冷蔵庫へ。しばらく冷やしている間に、白沢先生のお手伝いをしよう。そう考えて、彩葉は白沢先生の元へ向かう。可能ならば、お手伝いをしながらどこのお店のお菓子が美味しかったとか、最近作ったお菓子とか話をしたいと思いながら。
「白沢先生ー、何かお手伝いさせてくださーい」
椿 美咲紀は赤点が無かったので、クッキング・パーティーで調理していた。家庭科は結構ギリギリな点数だったので、白沢先生のお手伝いをしつつ、料理の腕を磨こうというわけである。差し入れに家庭菜園で採れた完熟プチトマトとキュウリ、ゴーヤを持ってきた。畑でじっくり育てた野菜はとっても美味しい。オクラとナスも持ってきたので、これにカボチャとパプリカを追加すれば、夏野菜のカレーが出来上がる。白沢先生の手際の良さは、さすが家庭科の先生と言ったところだ。
「ほわー、手早いのですぅ」
感嘆の声を上げつつ、美咲紀もカレー作りに取り掛かる。ルーは市販のものでお手軽に……と思っていたのだが、白沢先生お手製の特製スパイスで作ったルーを貰えたので、それを使わせてもらうことにした。基本のポークカレーに夏野菜をトッピングする形で、夏野菜の素材の美味しさを活かす。そうでないと、一緒に煮込んだときに溶けてしまうからだ。味も大事だが、彩りも大切だ。きっと補習を受けてきた人たちは、頭いっぱい使ってお腹を空かせているに違いない。だからカレーは多めに作る。大鍋料理でどーんとたっぷり作るのは得意だ。細かく材料を計らなくてもいいからだ。味見をちゃんとすれば、それなりのものが出来上がる。
鍋を煮込んでいる間に、白沢先生を手伝いに来た彩葉と一緒にサラダを作る。彩葉が野菜を洗って、美咲紀が切って。２人一緒に盛り付けて。作りながら白沢先生と彩葉と、お菓子の話をしていたにも関わらず、思っていたよりも早い時間で完成させることができた。
クッキング・パーティーに参加した冴木 竜司は、食べて安心出来るようなおふくろの味的なものを目指していた。定食メニューだからそんな大それたものではない。が、以前教わった料理の腕を早速生かせる良い機会である。
（今こそ、俺は料理人になる！）
心の内でキリッと決めてから、調理に取りかかった。まずは海鮮丼。サーモンに鮪、イクラと帆立に出汁巻き卵を大葉＆酢飯の上に乗せる。仕上げに秘蔵のタレという名の、相原先生への愛を掛ければ出来上がりだ。作るものはそれだけではない。おふくろの味として、味噌汁も作る。味噌汁は栄養価も高く、生活習慣病の予防に効果的、さらに美白効果もある優れものだ。具材はねぎと豆腐、それとは別にわかめだけの味噌汁を作った。味噌は白味噌である。作った竜司が向かうのは、もちろん相原先生の所だ。
「という訳で俺、まゆ先生の為に毎朝美味しいみそ汁作るんで結婚してください！」
「遠慮しておくわ！」
「どいひー！？」
『脱走者に告ぐ
課題終了の証がない者は家庭科室入場時点で以後課題が終わったとしても料理を食べられない決まりである
課題増加及び反省文追加のおまけ付きだ
ここで踏み止まる者は罪に問われない為大人しく席に戻れ』
早く補習課題が終わっても食えない、と解ったならば立ち止まるだろう。そしてどんなに家庭科室に興味を惹かれたとしても、補習会場である会議室に戻っていくに違いない。しっかりと対策の準備を終えてから、月詠はクッキング・パーティーの準備を手伝うために家庭科室へと入っていった。
高梨 彩葉は家庭科室のクッキング・パーティーに参加していた。今作っているのは、オレンジムースである。食材は白沢 絢子先生から少しもらってきた。材料は、オレンジジュース・卵白１個・生クリーム・砂糖・ゼラチンである。まずゼラチンをふやかし、オレンジジュースを沸騰直前で止めてゼラチンを入れ、氷水につけて混ぜる。次に、八部立てと七部立ての卵白を作り、七分立ての卵白に先程のオレンジジュースを入れる。それから、八部立ての卵白を２回に分けて優しく混ぜるのだ。
オレンジムースを作りながら彩葉が想うのは、ただひとり、拓郎のことだ。ここに来る前に、補習になって落ち込んでいる拓郎に会った。落ち込んでいる気持ちを少しでも良い方に持っていきたくて、クッキング・パーティーのことを耳元でこっそりと教えてあげた。
「補習が終わったら来てね？ 美味しいケーキを作って待ってるから、頑張ってね」
そんな一言と一緒に。だからこのムースは補習を頑張って終わらせて来る拓郎のためのもの。拓郎に美味しいと言ってもらえるように、彩葉は気持ちを込めて丁寧に作るのだ。ムースの材料を混ぜ終えたら、透明のミニカップに入れて、冷蔵庫へ。しばらく冷やしている間に、白沢先生のお手伝いをしよう。そう考えて、彩葉は白沢先生の元へ向かう。可能ならば、お手伝いをしながらどこのお店のお菓子が美味しかったとか、最近作ったお菓子とか話をしたいと思いながら。
「白沢先生ー、何かお手伝いさせてくださーい」
椿 美咲紀は赤点が無かったので、クッキング・パーティーで調理していた。家庭科は結構ギリギリな点数だったので、白沢先生のお手伝いをしつつ、料理の腕を磨こうというわけである。差し入れに家庭菜園で採れた完熟プチトマトとキュウリ、ゴーヤを持ってきた。畑でじっくり育てた野菜はとっても美味しい。オクラとナスも持ってきたので、これにカボチャとパプリカを追加すれば、夏野菜のカレーが出来上がる。白沢先生の手際の良さは、さすが家庭科の先生と言ったところだ。
「ほわー、手早いのですぅ」
感嘆の声を上げつつ、美咲紀もカレー作りに取り掛かる。ルーは市販のものでお手軽に……と思っていたのだが、白沢先生お手製の特製スパイスで作ったルーを貰えたので、それを使わせてもらうことにした。基本のポークカレーに夏野菜をトッピングする形で、夏野菜の素材の美味しさを活かす。そうでないと、一緒に煮込んだときに溶けてしまうからだ。味も大事だが、彩りも大切だ。きっと補習を受けてきた人たちは、頭いっぱい使ってお腹を空かせているに違いない。だからカレーは多めに作る。大鍋料理でどーんとたっぷり作るのは得意だ。細かく材料を計らなくてもいいからだ。味見をちゃんとすれば、それなりのものが出来上がる。
鍋を煮込んでいる間に、白沢先生を手伝いに来た彩葉と一緒にサラダを作る。彩葉が野菜を洗って、美咲紀が切って。２人一緒に盛り付けて。作りながら白沢先生と彩葉と、お菓子の話をしていたにも関わらず、思っていたよりも早い時間で完成させることができた。
クッキング・パーティーに参加した冴木 竜司は、食べて安心出来るようなおふくろの味的なものを目指していた。定食メニューだからそんな大それたものではない。が、以前教わった料理の腕を早速生かせる良い機会である。
（今こそ、俺は料理人になる！）
心の内でキリッと決めてから、調理に取りかかった。まずは海鮮丼。サーモンに鮪、イクラと帆立に出汁巻き卵を大葉＆酢飯の上に乗せる。仕上げに秘蔵のタレという名の、相原先生への愛を掛ければ出来上がりだ。作るものはそれだけではない。おふくろの味として、味噌汁も作る。味噌汁は栄養価も高く、生活習慣病の予防に効果的、さらに美白効果もある優れものだ。具材はねぎと豆腐、それとは別にわかめだけの味噌汁を作った。味噌は白味噌である。作った竜司が向かうのは、もちろん相原先生の所だ。
「という訳で俺、まゆ先生の為に毎朝美味しいみそ汁作るんで結婚してください！」
「遠慮しておくわ！」
「どいひー！？」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年04月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年05月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年05月01日 11時00分
