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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
シーサイドタウン二丁目『オカマバー・ネコ』
●立樹君労ろう会
ピンクが一瞬にして、木目を思わせるやさしいブラウンに変わる。
「いやん素敵なお店じゃない」
隣で姉小路 ネイサンが声を上げ、それと同時に店員がやってきてふたりを席に案内してくれた。
「あれ？ 店長も初めてなんですか？」
「アタシもここは初めてなのよねん」
檜山 立樹はネイサンの言葉に苦笑しながらも、意外と落ち着いた内装に安堵して席についた。
「ちょっと昔働いてた所を思い出すな」
柔らかいソファーに身を沈め、馴染みのあるアルコール臭を吸い込む。
「……あらやだ立樹クンって昔オカマバーでも働いてたのねん……初耳だわん……」
そんな立樹に対し、ネイサンはじっとりとした視線を向ける。
「いえ、普通のバーです」
慌てて否定したところで、オネエキャストたちがやってくる。
立樹としては店長みたいな人がたくさんやってきた、という印象だった。
「ささ、取り敢えず乾杯しましょん！ 今日はアタシが奢るわよお！」
ネイサンがグラスを元気よく突き上げてはしゃぐと、オネエたちから「キャー太っ腹！」と歓声が上がった。
立樹は静かにグラスを掲げて「乾杯」と笑った。
そうして一斉に自分の酒を飲みだして、立樹君を労ろう会が始まった。
始まってしばらく。
「うふん、アタシの目は確かだったわねん」
ネイサンが目をすぅっと細めて呟く。
「店長があの時俺を誘ってくれたからここに来れたんです。いとこ達とも会えて、新たなお客さんと会って……」
立樹も同じように目を細めて、彼と出会ってから今までを脳裏に描いた。
思い出すのはいいことばかりでもないけれど。
「寝子島に来て良かったです」
けれどこれだけは確かだった。
ネイサンが立樹の横顔を見て、目を大きく開く。
そして「だってこんなイイオトコを誘わずに放っておくだなんて勿体無いでしょん？」とわざと明るく言うのだった。
子供のように天真爛漫かと思えば「いつもありがとねん、本当に助かってるんだからん！」と、大人の余裕をネイサンは見せる。
店長には敵わないな。なんて思いながら、立樹は「俺のセリフですよ」と笑うのだった。
「やーん！ いい雰囲気♪」
まわりのオネエたちが羨ましいと身をよじる。
会話の邪魔をせず、けれど知らんぷりもせず、お客も自分たちも楽しめる接客スタイルを、立樹は純粋に好ましく思った。
(お酒は楽しく飲めないとね)
手首を回すと、カランと氷が音を立てて崩れた。
「これからも末長くよろしくお願いしますねん！」
その音に合わせるように、ネイサンが立樹に向かってウインク＆投げキッス。
「アタシのおまじないは本物なのよん？」
なるほど、と立樹は微笑みながら頷いた。
ネイサンのろっこん：豪運砲台は、相手に幸運を呼び込む力があるのだ。
ところが立樹の笑顔を見たオネエたちも、我先にと立樹に投げキッスを繰り出した。
「え、えっと」
チュチュチュと途絶えることのないリップ音。
「あん、アタシも負けてられないわ！」などと言って挙句の果てに唇を奪おうとする者まで現れる。
それもこれも無自覚で発動したろっこん：テンダースマイルのせい。
もっと幸せになりたいと願う貪欲な乙男たちは、全力でキス合戦を繰り広げるのであった。
「て、てんちょう、た、」
助けを求めるも、ネイサンはさくら(桜花 満)と話していて知らんぷりを決め込んでいる。
「ところでどうしてネイサンもいるんだ？」
まさか転職――とさくらが言う前に「立樹君労ろう会なのねん」とネイサンは笑顔を浮かべた。
「エルデストの方は放っておいていいのか？」
「今日は、いいのよ」
ふたりはすっかりとお話モードで、立樹は自力でこの難を逃れるしかないらしい。
「ところで桜花チャン、じゃなくてさくらチャンは……？」
「見ての通り僕も……このざまだ」
そう思いながらも、立樹はさくらから目を離せずにいた。
いつもは男装をしている満も、赤い瞳と薄く透き通る髪を足したような桜色の膝丈ドレスを身にまとっているせいか、すっかり女の子のさくらちゃんだった。
ドレスの腰部分には若葉色のベルトが撒かれていて、右前で大きなリボンになっている。
そのリボンの中心には桜のコサージュ。
こんな危機的状況にもかかわらず、思わず立樹は見入ってしまっていたのだ。
「よければそのオカマの振舞い方というのを教えてくれないか？」
女として、ではなく、オカマとしてというところが彼女らしい。
顔見知りのいつもと違う一面といつもと同じ一面に和んで、立樹がすっと頬の力を緩めると、またオネエたちの間で歓喜の悲鳴が上がった。
ピンクが一瞬にして、木目を思わせるやさしいブラウンに変わる。
「いやん素敵なお店じゃない」
隣で姉小路 ネイサンが声を上げ、それと同時に店員がやってきてふたりを席に案内してくれた。
「あれ？ 店長も初めてなんですか？」
「アタシもここは初めてなのよねん」
檜山 立樹はネイサンの言葉に苦笑しながらも、意外と落ち着いた内装に安堵して席についた。
「ちょっと昔働いてた所を思い出すな」
柔らかいソファーに身を沈め、馴染みのあるアルコール臭を吸い込む。
「……あらやだ立樹クンって昔オカマバーでも働いてたのねん……初耳だわん……」
そんな立樹に対し、ネイサンはじっとりとした視線を向ける。
「いえ、普通のバーです」
慌てて否定したところで、オネエキャストたちがやってくる。
立樹としては店長みたいな人がたくさんやってきた、という印象だった。
「ささ、取り敢えず乾杯しましょん！ 今日はアタシが奢るわよお！」
ネイサンがグラスを元気よく突き上げてはしゃぐと、オネエたちから「キャー太っ腹！」と歓声が上がった。
立樹は静かにグラスを掲げて「乾杯」と笑った。
そうして一斉に自分の酒を飲みだして、立樹君を労ろう会が始まった。
始まってしばらく。
「うふん、アタシの目は確かだったわねん」
ネイサンが目をすぅっと細めて呟く。
「店長があの時俺を誘ってくれたからここに来れたんです。いとこ達とも会えて、新たなお客さんと会って……」
立樹も同じように目を細めて、彼と出会ってから今までを脳裏に描いた。
思い出すのはいいことばかりでもないけれど。
「寝子島に来て良かったです」
けれどこれだけは確かだった。
ネイサンが立樹の横顔を見て、目を大きく開く。
そして「だってこんなイイオトコを誘わずに放っておくだなんて勿体無いでしょん？」とわざと明るく言うのだった。
子供のように天真爛漫かと思えば「いつもありがとねん、本当に助かってるんだからん！」と、大人の余裕をネイサンは見せる。
店長には敵わないな。なんて思いながら、立樹は「俺のセリフですよ」と笑うのだった。
「やーん！ いい雰囲気♪」
まわりのオネエたちが羨ましいと身をよじる。
会話の邪魔をせず、けれど知らんぷりもせず、お客も自分たちも楽しめる接客スタイルを、立樹は純粋に好ましく思った。
(お酒は楽しく飲めないとね)
手首を回すと、カランと氷が音を立てて崩れた。
「これからも末長くよろしくお願いしますねん！」
その音に合わせるように、ネイサンが立樹に向かってウインク＆投げキッス。
「アタシのおまじないは本物なのよん？」
なるほど、と立樹は微笑みながら頷いた。
ネイサンのろっこん：豪運砲台は、相手に幸運を呼び込む力があるのだ。
ところが立樹の笑顔を見たオネエたちも、我先にと立樹に投げキッスを繰り出した。
「え、えっと」
チュチュチュと途絶えることのないリップ音。
「あん、アタシも負けてられないわ！」などと言って挙句の果てに唇を奪おうとする者まで現れる。
それもこれも無自覚で発動したろっこん：テンダースマイルのせい。
もっと幸せになりたいと願う貪欲な乙男たちは、全力でキス合戦を繰り広げるのであった。
「て、てんちょう、た、」
助けを求めるも、ネイサンはさくら(桜花 満)と話していて知らんぷりを決め込んでいる。
「ところでどうしてネイサンもいるんだ？」
まさか転職――とさくらが言う前に「立樹君労ろう会なのねん」とネイサンは笑顔を浮かべた。
「エルデストの方は放っておいていいのか？」
「今日は、いいのよ」
ふたりはすっかりとお話モードで、立樹は自力でこの難を逃れるしかないらしい。
「ところで桜花チャン、じゃなくてさくらチャンは……？」
「見ての通り僕も……このざまだ」
そう思いながらも、立樹はさくらから目を離せずにいた。
いつもは男装をしている満も、赤い瞳と薄く透き通る髪を足したような桜色の膝丈ドレスを身にまとっているせいか、すっかり女の子のさくらちゃんだった。
ドレスの腰部分には若葉色のベルトが撒かれていて、右前で大きなリボンになっている。
そのリボンの中心には桜のコサージュ。
こんな危機的状況にもかかわらず、思わず立樹は見入ってしまっていたのだ。
「よければそのオカマの振舞い方というのを教えてくれないか？」
女として、ではなく、オカマとしてというところが彼女らしい。
顔見知りのいつもと違う一面といつもと同じ一面に和んで、立樹がすっと頬の力を緩めると、またオネエたちの間で歓喜の悲鳴が上がった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年04月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年04月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年04月29日 11時00分
