シーサイドタウン二丁目『オカマバー・ネコ』｜リアクション

シーサイドタウン二丁目『オカマバー・ネコ』

●赤い月

　バックヤードに戻り、大江山結月も含め、キャストたちは着替えていく。
　ただ、宇佐美実とジニー・劉は疲れきっていてそれどころではないようだったが。
　手早く着替えた結月が休憩室に顔を出すと、桜花満がナルミと話をしていた。
　どうやら酒屋を営む満と、注文の話をしていたらしい。
　邪魔をしないようにこっそり入り、結月はすこしの休憩を堪能する。
「ところで今後の見込みはどうなんだ？　客は入りそうか？」
「うふ、お陰様でね。にしてもどうしてそんなこと？」
「ここも大事なお得意様だ、経営難になられては困るからな」
「まぁ経営はね～大変よね。女の子と一緒。
　手を掛けないと、綺麗にはなれないのよ」
　でも、常連さんも居るし潰れるほどじゃないわぁ。
　そうしてナルミはケタケタと声を上げて笑う。
(すごいなぁ……)
　ナルミのパワフルさに、結月は純粋な尊敬の眼差しを向ける。
　女性が羨むほど、男をとりこにするほど美しいお姉さん。
　それは結月が望む姿のひとつとも言えた。
「女性らしくしてないと、満ちゃんの美貌だって衰えていく一方なんだからね！」
　無理しなくてもいいけど、勿体ないわ。
　努力に努力を重ねて『女』であろうとするナルミの言葉は深く深く満に染みこんでいく。
「女性らしくか……いつ頃からだったかそんなことを気にしなくなったのは……」
　けれど満の呟きは、ナルミではなく結月の胸に響いた。
　女性らしく。
　その言葉は漢らしくと願いながら半端者に甘んじている結月の胸に突き刺さる。
「満ちゃん、気をつけてね。納品は明後日でいいから」
「ああ、また」
　そして満が去り、いつの間にか着替えたらしい実もジニーも帰路(実には家なんてないのだが)についた。
　店に残ったのは結月とナルミだけだ。
　ナルミはゆったりとした足取りで結月の側に歩み寄り、目を細める。
　それから自身の長い人差し指をぺろりと舐めて、その指で結月の唇をなぞった。
「覚悟、決めな」
　声を聞いた途端ざわつく結月の背中。
　腹の奥が熱くなるような感覚が湧き上がり、その熱が背筋を駆け上り、一気に全身に広がっていく。
　頭の中でなにかがパチンと弾け、真っ白になった。
　迷いが消える。
「大丈夫。最後まではしないから」
　教え子には手を出さないっていうのが、フジコとの約束だから。
　ナルミの真っ赤な三日月に結月はそっとくちづけた。

　こうして、オネエ系として目覚めた大江山結月。
　そんな彼女はフジコに完全に正体がバレていたため、後日執拗なまでのスキンシップを受けることになる。

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あとがき

担当マスター：つるこ。
ファンレターはマスターページから！

おつかれさまでしたー！

ハイテンションコメディでお送りさせていただきました。たぶん。
今回は皆さんホントに楽しんでアクションを書いてくださったんだな、と思わず嬉しくなってしまうようなアクションばかりで、
その気持ちにお応えできるよう、頑張ってみました！
かなりキワドイ方もいらっしゃいますが、それもゲームならではの醍醐味ということで、笑って目を通していただけると幸いです。
初めましての方も大勢いらっしゃる中でしたが、気持よく執筆させていただきました。ありがとうございましたっ！
後は皆様にも楽しんでいただけるように祈っております……！　オネエパワーを私に下さいっ！

細かいことは個別で失礼致します。
なにかご意見・ご感想がございましたら、気軽にコメント欄・ダイアリーをご活用下さい！
それではありがとうございましたっ！

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