美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！｜リアクション

美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！

【弾けるポップコーン　可笑しなお菓子なおかしいな？】

「ポップコーンがなぜ膨らむように弾けるのか。これは膨張圧というものがあって……」
　修の声を聴きながら、アガサは次のグループを見て回る。
　すると、ポンッと勢い良く弾ける音が聞こえてくる。
　どうやら、次からはポップコーンを見て回ることになりそうだ。
　と言いつつ、アガサの鼻には美味しそうな臭いが舞い込んできた。
「……？」
　そのにおいは、志波拓郎、桜井ラッセル、森蓮らがひとかたまりになっている場所からしたものだ。
　さて、当初の話だが、蓮は一年五組。……そう、担任の五十嵐先生が、化学の授業でポップコーンの作り方を教えてくれるものだと思っていたが実はそうではなく、仕方なく黙々と実験に取り組んでいたところを、ラッセルと拓郎がなだれ込みこの組み合わせが誕生したのであった。
　実際のところ、蓮は油を使わない方法でポップコーンを作ろうと努力していたのだが、なかなかに手ごわい、その横で何やらラッセルと拓郎が騒ぐ。そんな構図である。
　また、ラッセルと拓郎はお互いの材料などを交換し、足りなければほかから持ってきてカルメ焼きとポップコーンと電気パンを組み合わせた一見最強そうなカラメルポップコーンなるものを作り上げようとしていたのだ。
「カルメ焼きの、材料……あるなら……カラメルにして……たべたくなってな」
　との拓郎の言葉に。
「え？　カラメルポップコーン？　そのままのポップコーン渡せばいいのか？　OK」
　と承諾し。
「あとは場所だな、お？　ここ借りていいか？　というか一緒にやんねー？」
　とラッセルが蓮と交渉し。
「興味深いですね、あとで教えてくださいね」
　と蓮は二つ返事で場所を開けたのであった。
　さて、その成果の方はどうだろう。アガサは興味深く覗き込む。
　カラメル段階でバターを入れ、重曹の代わりにポップコーンを投入して絡めて冷ましてばらして完成。という流れだ。
　隣で蓮とラッセルのポップコーンもそれぞれ完成しているのを見て、ここはアドバイスはいらなさそうだなとアガサは次の場所へとそっと移っていった。
「おおおおっ！？　破裂音すげぇ！」
　破裂音に驚くラッセル。
「うーん、こちらはうまくいきませんね」
　考えに考える蓮。
「それ、油……入れてないから」
　うまく欠点を見つけ、改善しようとする拓郎。
「えっ、油入れてないのか？　塩もいれてないみたいじゃねぇか」
「私は粗食が好みですので、塩もいりません」
　一見、かみ合っているのかそうでないのか、でもやっぱりかみ合っているような会話を続けながら、ポップコーンにキャラメルポップコーンを作っていく。
「事前に調べたところ、ポップコーンは爆裂種のトウモロコシを乾燥させ、数分間炒る事で、粒の中の水蒸気と熱でデンプン質が膨張し、固い種皮が耐えられなくなって弾けるらしいです」
　蓮は事前に調べたことをしっかりとレポートに活かそうとする。
　もちろん、実験によるメモもしっかりと記述している。
「へぇ、なるほど後でレポートとかも教えてくれよ」
「……なんだか、難しい……な」
「でも、ぜってー失敗したくねーのっ食いもんは」
　そう言いつつ、男３人でテキパキと実験をこなしていく。
　なんやかんやで実験は成功しているようだ。
　気が付けば最初には場所目的だのなんだのという目的は吹き飛んで、楽しく実験をしていたことに、彼ら３人は実験が終わったあとはた、と気づいたのであった。
　それは無論、とても良いことであった。