美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！｜リアクション

美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！

【試食タイム７　なんでもないようなことが幸せなのだ！】

　瑞樹、拓郎、彩葉、諶之丞、刀と、それぞれは実験が終わり作品を持ち寄って交換していた。
　ポップコーン、カルメ焼き、電気パン……どれも美味しそうに出来ている。
「……美味いな」
　予め用意をしておいたバターを取り出してパンに塗って食べてみる刀。それを見て、美味しそうだなと他の４人も挑戦したり、ちょっと付けてみたりと色々と試行錯誤をして味見をしている。
「少シでも成功しテよかッた。なーんも食べレないで終ワルのは切なイからな～」
　と諶之丞は、交換しながら上機嫌で言う。
　彩葉や瑞樹も、おっかなびっくり、そして何より楽しそうにどんどん試食している。
「うまい……と、思う……ぞ」
　拓郎もゆっくりと食べながら、美味しいとふとこぼしている。
　こちらも、やはりレポートのためにしっかりとメモを取りそれぞれの実験の結果を生かそうと試みる。
　良いレポートが書けそうな、そんな雰囲気である。
「美味しいものを食べられるってだけでやる気が出てくるよね♪」
　と、彩葉は嬉しそうに言う。
「ただノ授業だったラ、こんナに賑わウことハ無いナ」
　がやがやとほかの場所でもレポートの報告や、自分の実験結果がどうなったかの会話が楽しそうに交わされている。
「面白かッたナ」
　諶之丞が言ったその言葉は、もう何人の生徒が口にしたであろうか。
　こうして、試食会が終わり、各自のレポートが提出完了したのであった。

【片付けを終えて】

　
『――……もこもこ膨らむのと温めすぎて膨らめないの。なんだかやっぱり気になります。でも中は両方同じくとても甘かったでした。
　1年芸術科 7組、夢宮瑠奈』
　瑠奈のレポートを読み終えて、ユージーンのレポートもそのまま読み終える。
「これで、全部ですね。これで実験に……」
　と言いつつ五十嵐先生は実験レポートのチェックを終えた。
「今年は個性的な生徒が多いです……多いです……、えぇ」
　ぶつぶつと、レポートの感想を垂れ流す五十嵐先生。
　ビーカーに入れたコーヒーが、なんとも美味しそうな香りを実験準備室に漂わせる。
「また、何かあったらお願いするかもしれませんね」
　既に他力本願になっている五十嵐先生である。
　しかし、今日の授業風景を思い出したのか、心なしか次に対しての何らかの思いがあるようだ。
　といっても、次がいつだなんて予定は未定なのだが……。
　ふらりと、五十嵐先生は廊下に出る。
「先生！」
「五十嵐先生！」
「お裾わけがあるんですけど、よかったら……」
「今日はありがとうございました！」
「実験楽しかったです！　またやってください！」
　口々にお礼を言って次の教室に向かう生徒たち……。
　そんな生徒たちを見ながら、早速次の授業について頭を悩ませる五十嵐先生であった。

おしまい

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