美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！｜リアクション

美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！

【準備だよ！　化学部見参】

「じゃ、僕はこれで。頑張ってください」
　授業開始後、五十嵐尚輝先生は既に実験の世界へと没入していた。
実験の準備を終えたアガサ・プレラチはずらっとならんだビーカーや牛乳パック、アルミホイルや実験のために用意した調理道具たちを見回して満足そうに頷いた。
　生徒たちは楽しそうに実験内容に付いて話し合ったり、誰と組むかで話したりしている。
「んー……」
　それにしても五十嵐先生は適当である。実験が大好きなのも、先生の魅力ではあるが……。
　そして、生徒は楽しそうだからなんとかなりそうではあるが。
　そういう考えをアガサが浮かべていても不思議ではなかった。
「作りながら聞いてくれ。テスト云々はさておき作っている物が”何か”を知ると色々応用出来る。化学はけして教科書の中だけの物ではないぞ」
　その瞬間、八神修が何やら教鞭を取ろうとしている姿が目に見えた。
　化学部部員としてはまっとうではあるが、既に美味しい実験に夢中な生徒らは聞いてない。
「もちろん、難しいと思う人もいるだろうが……」
　授業の説明は様になっていると思いつつ、その姿にアガサは一つ、やりたいことをやってみることにした。
「課題だけ提示しておいて、何もしないというのも無責任ですよね？」
　そうアガサは呟くと、制服の上に白衣を身にまとったのであった。

このページにイラストを設定する